第2章-26
部屋に戻り
汗を流してから食堂へ行き
ウェスタイロンには薬膳汁と果物を食堂で用意してもらった
俺の分は朝食にしてはちょっと重めの料理を選んだ
昨日ちょっと全体的に軽めに食べていたことと
今朝の走り込みで興が乗り過ぎて想定より距離長く、速度も出してしまい
ヘトヘトになってしまったからだ
若干・・・
ほんの少しだけだが良い所を見せたいような欲が出たのはあるが
結局走ってる距離も速度も見てないんじゃ意味がないと気付いたのは
折り返し地点を大分過ぎてからのことだった
まあいいさ
おかげで思ったよりも自分に体力がついていたことを知れた
小さい頃から身体の負担にはならない様に心がけて
基礎体力訓練を積んでいたおかげだ
いい気分で部屋に戻ると
ウェスタイロンは上体を起こして腰かけていた
「調子は良いのか?」
そう聞くと
「かなり楽にはなったさ。こうしている限りはな」
身体を動かしたくて仕方がないんだろうな
もどかしさを感じている表情をしている
机の上に食堂から持ってきた食事を置き
「この汁の味にも慣れたか?」
ニヤリと笑って聞いてみると
「この食券はあと何枚ある?」
「残り2枚だな」
「今日までだと思えば耐えられるさ」
そう言って薬膳汁を一気に煽っていた
嫌な思いは先に済ませてしまう性格かも知れないな
可愛そうなので果物包丁は取ってきて渡してやった
「借りは必ず返させてもらうぞ」
「別に貸しを作りたくてやってる訳じゃないんだから気にしなくていいぞ?」
「俺の気が済まないんだ」
「そうか」
そう言って目の前に昨日の授業説明の内容を書き留めた筆記帳を渡した
「そんなに貸し借りに拘るのならもう一つくれてやろう」
ウェスタイロンは苦虫を噛み潰したような顔をしている
「・・・有り難く使わせてもらう」
意外と素直だ
自分が今日出来ることを把握したうえで
借りを作ってでも得と判断したのだろうか?
「ああ!」
微笑んで返事すると
「今日のうちには返す」
というので
「別に急いでないからいつでもいいぞ?頭には入ってるからな」
そう返すと黙っていた
飯を食べ終わり
ウェスタイロンの分の食器も含めて食堂へ返しに行き
朝の準備を済ませた
今日はスキルについての講習がある
基礎、発展、応用と3段階の内容に分かれているようだ
基礎講習では
神託を授かる年齢や、個数、スキル被りが存在しないなどの基本的な話から
注意事項や暗黙の了解など、頭に入れておいた方が良いようなことが主目的として構成されている
大事なことが話されているだろうけど
俺はこの辺のことは理解しているはずなので飛ばしていいだろう
基礎は受けなくても良いらしい
しかし応用は発展を受けなければ受講できないとのことなので
発展から俺は行かせてもらうことにした
ウェスタイロンから
「今日のスキル講習はどうするつもりだ?」
と聞かれ
「基礎を飛ばして発展を受けに行こうと思う」
と答えると
やはりか、と言って
「俺も発展から受けるつもりだ、さっさと用意しろ」
と言って扉の方へと向かおうとしていた
当然のように一緒に行く気だ
まあ構わないが
「座学を受ける分には体調に問題ないのか?」
「大丈夫だ、それに頭を使わなければならない講習でもあるまい?身体もだが。これくらいなら部屋で自習していても一緒だ」
と言ってずんずん歩いていく
足取りから見てもかなり回復はしてそうだ
もしかしたらある程度無理はしているかも知れないが
身体に差し支える範囲ではないだろう
先を歩こうとするウェスタイロンの横に並んで歩くと
若干歩みの速度を上げて少し前を歩こうとしてきた
それに合わせるようにして横に並ぼうとすると
また少し先を行こうとする
お互い負けず嫌いなようだが
傍から見ても
何とも不毛な意地の張り合いだった




