第2章-21
打倒【脅獣】の為に訓練校が子供たちに教える内容は
採取、工作、調達、交信、調査、捕捉、開拓、運搬、解体、野営、撤退、始末
これらが初歩的に修めなければならない最低限度の技術や知識であり
より深く携わることになる場合は『実践級』
精査、戦略、連携
を学ぶことになる
第一線で脅獣と戦う『狩人』になるためには
討伐、撃退、捕獲
と言った直接的なことを教わる
標準化された手引きだけでは出来ることも限りがあるが
有るのと無いのとでは雲泥の差がある
特に初歩の段階で学ぶ[野営]と[撤退]は重要度が格段に高い
この項目に関してはかなり力を入れて指導があるようだ
『命を大事に』
これは脅獣との戦いにおいて全ての人間に当てはまる至上命題だ
命さえあれば次がある
この世界にはお伽噺の回復・攻撃魔法や、超兵器と言ったものは存在しない
レベルアップもなければ
超人もいない
あるのは人類の知恵と工夫と
限られた者のみが持つ有能なスキルだけだ
大型以上の脅獣に対しては基本
削っては撤退を繰り返す
寝込みを襲い
罠にかけ
ジリ貧を狙い
弱らせて一気に畳みかける
人海戦術に近い
正面から相対することなどは基本許されない
出来るものでもない
よって策略を巡らし戦う
知識と経験によって誰もが出来ることを
皆が出来るようになることで強くなる
これにより人類は脅獣の侵略を食い止めることに成功している
しかし状態は均衡しているとも言える
危険と隣り合わせで安定しているとも取れるが
何かのきっかけでその均衡が一気に崩れてしまう可能性とは隣り合わせだ
だから侵略を食い止めるに留まらず
打倒を掲げている
そんな内容をザムカイノは熱く語った
「ダイザフ訓練校では初歩の内容を学ぶことが出来る。『実践級』以上を学ぶにはまた別の訓練校に移動することになるぞ。しかしダイザフで教鞭をとる初歩の先生方は極めて優秀な専門家ばかりだから安心してくれ!ダイザフで初歩を完璧に修めた者は他の訓練校出身者に比べて圧倒的に死亡率が低く、成功率が高い!逆に言えば初歩的な内容を修めるための課題は厳し目に設定しているからな!精進するように!」
豪快な笑い声をあげて説明を終えた
体格に似合わず説明は明瞭簡潔
非常にわかりやすかった
隣で姿勢は綺麗に維持しつつも意識は朦朧としているウェスタイロンのために
授業内容をまとめて書き留めていたが
要点をおさえる必要もほとんどなくそのまま書き終えられた
自身で言っていた通り優秀らしいことはある程度裏付けられたのかもしれない
教壇に立つ人間が他の先生に変わり
配られた書類に書かれている授業日程等の説明をしている
殆ど見ればわかる内容だが
10歳であれば口頭で説明しないと頭に入って来ない子供も沢山いるだろう
半分は聞き流しながら
俺は必要そうな授業日程を押さえて自分で時間割を組むことに集中した
チラッと給仕のあの子を見てみると
先生の顔から眼を離さずに集中して聞いている
要領とかはどうか分からないが真面目そうな印象だ
授業日程とか、どうにかして知りたいな・・・
そういえばあの子は飯屋で働くことで生計を立てているんだろうが
俺はどうやって稼ごうか
『初歩』の内容でも[採取]、[工作]、[調査]、[開拓]、[運搬]に関しては報酬も出るらしい
授業を受けながらそっちに力を入れて見ても良いが
割りと時間を取られてしまう
自分としてはスキルの集中訓練に加えて体力増強訓練も日課としてやっていきたいし
『実践級』に上がってスキルを役立てる方向に進みたいとも思う
生計を立てるは割りのいい仕事をし
自分のやりたいことに時間を割くのが効率が良いのか
遠回りのように見えて『初歩』的なことを実際に多く経験していきながら
同時に報酬から生計も立てる方が良いのか
悩ましい所だ




