第2章-20
ザムカイノは説明を続けている
「今日この授業説明で発行される証明書は食堂で5回分の食事を受けられる。5日分ではなく5回分だから間違えるなよ!1日に3食以上食べるのも、1食しか食べないのも自由だがこの証明書で食事を受けられる期限は1年間だ。つまりずっと食券として持っておくことは出来ないぞ!1年の間に使って食べてしまうのがお得だな!」
授業を受けると学内の食堂で利用できる食券を兼ねた証明書が発行される
食券は証明書によって回数が決まっていて、発行から1年間の期限付き
1食が足りないのなら2食とれ、余るのであれば持ち帰れとのこと
ただし、1日2食以上食べようと思うと授業を受けているだけでは賄えないので
自分たちで別に生計を立てる必要があり、それは訓練校というか都市自体が補助、斡旋してくれる仕組みが出来ているようだ
授業説明自体は年に4回開かれる
よってこの時期に入校してきた学生もいれば、もっと早く来た者も、遅く来る者もいる
1年を通して授業内容の教育課程が組まれている訳ではないし
授業を受ける義務もない
だから毎日のように授業がびっしりある訳では全くないらしい
なんなら数日無いこともあるとか
なのでそれだけで食いつなぐのは無理だということだ
これら授業の日程や、それで得られる食券の利用方法や回数、期限の説明を終えた後
ザムカイノが先程までの朗らかな雰囲気から
やや緊張させるような顔つきで真面目な話をし出した
「君たちの中にはよく知っているものもいるだろうが、この世界は地域によっては非常に危険な生活を送らなければならない。ここダイザフ周辺は非常に平和だが、ナインズ大陸の半分は危険にさらされている。その危険をどうにかするために、このような訓練校が各地に無料で配置されている」
何のために訓練校があるのかと言う話だ
「人や人の生活において脅威のある獣、『脅獣』と我々は呼んでいるが、これを打倒し人々の安全な生活を維持する必要がある。君たちの中にもし脅獣を退けられるようなスキルを持った者がいれば、大陸全土を上げて補助する用意があるので、出来れば勇気を出して声を上げてほしい。しかし言わなくてもわかるほど脅獣と戦うのは危険だ。その危険な脅獣と直接的に相対する人間を俺達は『狩人』と呼んでいるが、仮に有用なスキルを持っているとしても狩人にならなければいけないなんてことはない。いやいややっても死ぬだけだからだ」
大会議室中に漂う空気がピリッとしている
教員達が入室してくる前の雰囲気とは大違いだ
中には不安で泣き出しそうな生徒もいるがザムカイノは続ける
「幸いなことに脅獣にも脅威度にピンキリがある、人類にとって手の打ちようがないとされる脅獣は現代ではもうずっと大人しくしている。存在は確認されているが、動き出す気配は今の所ないらしい。人が十分に対抗できる脅獣は、先人たちがあらゆる方法を確立してくれているおかげで、都市が壊滅するまでに至ることはそうそうないから安心しろ。狩人を支える仕事は山ほどあるからな、俺達のように生徒を教え、鍛え上げる仕事だって直接的な危険性なんて無いに等しいからな。これからゆっくり自分たちに出来ることを探して行ってほしい」
人類にとって生活を脅かす存在『脅獣』
大きさで言えば人の大きさ程度までの小型が殆どとされているが、中型、大型に加えて超大型まで存在する
大きさ以外でもさっきザムカイノが言ってた
人類にとって手の打ちようがない程の脅威とされる【厄災】に関しては存在の確認はされていても、もう何年も動き出す気配は感じられないらしい
そしてその脅獣に対抗するのが狩人
対抗できる何かスキルを持った者だけが狩人になることが出来る
ただの人間では餌になるだけだからだ
しかし有用なスキルを持っている人間なんて数が本当に限られていて
更にそれが脅獣打倒に役立つものとなれば更に数は少なくなる
よって大陸、もしくは世界全体で有用な狩人は補助を受けられる
有用なスキルを持たない人間達も
多くの手法を駆使して人間の生活圏を維持している
訓練校の本来の目的は
有用なスキルを持つ人間を少しでも多く捜し見つけ鍛え上げること
直接的に有用でないスキルでも他で大いに役立つ様なスキルを見出すこと
これらが第一、第二にくるようだ




