第2章-19
大会議室に到着すると
既に何人もの生徒で賑わっていた
ここにいる殆どが10歳だからか
これまで規律の中で集団行動をしたことのない子供が集まれば
喧しいどころではないほどの騒々しさだ
隣にいるこいつ(ウェスタイロン)が大人びているのは当たり前ではなかったな
寧ろ今見ている大勢の子供たちがより普通なんだ
俺達の方がどちらかと言うと異色なわけだ
ウェスタイロンは騒々しさも手伝って頭痛が酷い様子だ
座席の指定は特にないようなので、なるべく後方の席を選んで少しでも喧騒から遠ざかろうか
奥の窓際1番後ろの席に横並びで席に着いた
ウェスタイロンを奥の方に座らせたが
やはりかなりキツイ様子だ
机に臥せったりはしないが
腕を組んで目を閉じてじっとしている
俺はその横で騒いでいる同い年の子達を眺めていた
よくよく考えてみれば同い年とこんなに会うことなんて今まで全くない
俺が住んでいたカーマ地方ではそもそも人が少ないのもあるし
途中からは俺も避けられていたからな
だから新鮮
いや、驚きの方が感覚としは近い
こんなに沢山同年代の子供がいるんだよな
当たり前なのかもしれないけど・・・
適当に眺めていたんだが
ふと賑わいの中心人物がいることに気付いた
その人物が中心になって騒いでいる訳ではないが
周りを取り巻くようにして人だかりが出来ている
人の壁であまりよく見えないが
一瞬だけ見えた姿は間違えようもない
昨日の飯屋で見かけた給仕の女の子だ
背筋が伸びた
横目でウェスタイロンを見てみると
いつの間にかこいつも目を開けていて同じくして気付いたようだった
少し気恥しい
互いに
騒ぎ立てている子供たちと自分は違う感を出しているだけに
給仕の女の子に声をかけている子たちがが少し羨ましくなったこと
それを横にいる奴に悟られたくない
そんな妙な心理戦が微かに交わされていた
いつの間にか前のめりになっていた姿勢を落ち着けて
背もたれに背中を預けて座り直した
「騒々しいな」
「ああ、ほんとにな」
痛み分けと言ったところか
お互い触れないことにした
しかしあの給仕の女の子も同い年だったのか
これから授業を通して何度か会うこともあるだろう
まずは名前を知りたいところだが
話し声に聞き耳を立ててみてはいるが
うるさ過ぎて何も聞こえない
諦めた方が良さそうだ
そうこうしているうちに大人たちが数人
大会議室前方の扉から入って来た
先頭を歩いて入って来た大柄な男性が
「おはようございまーす!!」
と子供たちの喧騒を吹き飛ばすかのような声量で挨拶をした
子供たちはピタッと騒ぐのを止めて入ってきた大人たちを見ている
大柄な男性は
「おはよう!みんな好きな所に座って話を聞いてくれ!これから授業の説明をするからな!」
一番後ろの端の席まで余裕で届く大声で喋ることで
さっきまで騒いでいた子供たち全員を有無を言わさず着席させた
大柄な男性の後に続いて2番目に入って来たご年配の女性が
教卓を前にして子供たちに挨拶した
「みなさんおはようございます。今日から皆さんが一緒に学ぶ、ここダイザフ訓練校で学校長をやっています。ラムーズ・ミキです。ダイザフは世界でも有数の学業都市です。ここにいる先生方も優秀な方ばかりなので、気になったことは何でも質問してください。今日はこれからの生活において重要なことをお話ししますので、良く聞いておいてください。分からないことがあれば、説明が終わった後に何でも聞いてくださいね。」
それでは後はよろしお願いいたしますと
そう言って学校長は他の先生を残して大会議室から出て行った。
不思議と迫力のある学校長だった
声の大きさは大柄な男性に比べるまでもないが
静粛さを維持させるような雰囲気があった
引き継いだのは大柄な男性
「学校長が行ってた通り、これから説明を始めるな!聞きたいことがあったら終わってからにしてくれ!」
他の先生方が授業説明に必要な書類等を子供たちの席に直接配っている
その間に大柄な男性は板書している
「俺の名前はザムカイノ!君たちがこれからどうやって飯を食っていくかを説明するからな!タダじゃないぞ?飯を食うには稼がなきゃならん、しかし10歳の君たちに出来ることなんてあまり無い。しかし安心してほしい!ここダイザフでは君たちを支援する仕組みが出来上がっている。怠け者でない限りは食いっパグれることはないぞ!」
俺も、恐らくウェスタイロンもある程度の金銭は持たされているが
1年間それだけで生活できるほどではないはずだ
行けば分かると聞いて来たが
どうやら学業とは別に自分たちで生計を立てる必要もあるようだ




