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俺のスキルが使えない  作者: めん
第2章

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第2章-18

3人で行った飯屋では

俺もウェスタイロンも給仕の女の子に見栄を張りたくなったのか

無駄に沢山注文してどうにか食べ切ったが

胃の限界をとっくに超えていた


長旅もあって

疲れと腹痛により寝床には倒れるようにして眠りについてしまった


翌朝

お腹は全然空いてないが

今日から日課として走り込みをしようと思っていたので

早目に起きた


これまでも父に(なら)って基礎体力訓練はしていた

成長の妨げになってはいけないので

過度な筋力増強運動はしないようにしていたが

そろそろ持久力を本格的に鍛え始めても良いだろう

運動能力の土台は肺活量からだ

沢山空気を取り込める身体でなければ

筋肉が収縮するのに必要なものを行き渡らせられないからな


いそいそと寝床から脱して

運動しやすい服に着替えようとしていたところ

ウェスタイロンの異変に気付いた


昨日、(全く意味のない何なら逆効果まである)意地を張って食べ比べしたせいもあって

お互いかなりきつい状態のまま眠りについたが

苦しいのか?


少し寝床に近付いて様子を伺ってみると

大量の発汗と、苦しそうに息遣いをしている

手を額に当ててみるとそこそこ熱い


「ウェスタイロン、起きてるか?苦しいんじゃないか?」

と声をかけてみると

「放っておいてくれ・・・」

と力無く言い返してくる


俺は部屋の外へ出て桶に水を張って持ってきた

布を濡らして固めに絞って

目に付いた所の汗を拭いてやった


部屋は特に寒くは無いが

上がった熱を下げようと身体は大量に発汗しているはずだ

その汗で逆に寒くなっているかもしれない


俺の寝床で使っていた毛布を持ってきて

上からかけてやる

何か言われるかとも思ったが

ウェスタイロンは言い返す気力も無いようだった


ある程度汗を拭いて

また布を硬く絞って額に乗せておいた

本当は水分補給もした方が良いだろうが

昨夜は過剰に飲んで食べてと腹に収めているので

無理して起こすまではないだろう


湯たんぽのような

水袋も借りられるはずだ

それにお湯を入れて足元にでも置いておこうか


あれこれと環境を整えていく

リアやソラの体調が悪い時もラザさんと一緒に看病していた

割とこういうのは慣れている


自分の寝床の方へと戻って腰かけ

ウェスタイロンの様子を見ておくことにした



しばらくして

そろそろ準備した方が良い時間になった

初日には授業説明がある

これからのことを把握するためにはかなり重要な内容になるだろう


ウェスタイロンはと言うと顔色は悪いものの

先程みたいな苦しそうな息遣いはしていない

声はかけてやった方が良いだろうな


「ウェスタイロン、起きれるか?そろそろ準備した方が良い時間だ。きついなら今日はそのまま寝ておけよ、内容は俺があとで教えてやるから心配するな」

そう言って俺は準備を始めたが

ウェスタイロンはあろうことか起き上がって来た

「おいおい無理するな、明らかに体調悪いだろ。俺の言い方が煽るように聞こえたなら悪かったから、今日は無理しないで横になっておいた方が賢明だぞ」

そう言ってフラつきながら立ち上がろうとするウェスタイロンに駆け寄った

しかし

「大丈夫だ、死ぬわけでもない。俺ともあろうものが他の人間に後れを取るなど許されることではないんだ、いや俺が許せない。這ってでも行くぞ、起こしてくれたことには礼を言っておく。助かった。」

そう言って準備を始めた

こいつにも譲れないものがあるんだろう

身体がどれくらいきついかなんてわからないが

凄まじい気力の持ち主であることはよく分かった


「せめてこれを飲め」

そう言って白湯を渡した

「すまない」

素直に受け取って数回に分けて飲み干していた


気掛かりではあるが

あまり本人の意向を無視して制止するのも逆に時間を取られそうだと思い

準備を進めながら

最悪の場合には補助しようと決めて一先ず様子を見ておくことにした


授業説明がある部屋は大会議室

そこまでの道のりは大して遠くはない

準備に多少時間をかけても遅刻はしないだろう


とは思っていたが

ウェスタイロンは髪を整えるのにそこそこ時間を要するようだ

拘りがあるのだろう

譲れない部分もあるのだろうが

多少のズレまで気に食わないと言いやり直そうとしていたのは流石に止めた

遅刻を取るか、微妙なズレを許容するか

ウェスタイロン家にとってどっちが重要だ?と聞くと

渋々髪型に妥協した様だ

いつもはこうではない、今日は体調がすぐれないからとかなんとかブツブツ言ってたが

知らん


ウェスタイロンの肩を取るまではないが

横並びで若干フラついているこの男と

大会議室までは一緒に向かった

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