第3章-13
父さんにスキルがちゃんと使えるようになったことを話すと
「おー!思ったより早かったな!よかったじゃないか」
と俺の背中をバシバシ叩きながら喜んでくれた
「あはは・・・、それでなんだけど父さん。俺のスキルを父さんの仕事で役立てられないかなと思ってね、今度一緒に連れて行って欲しいんだ」
「それは助かりそうだな、よし。早速明日行くか!朝早いからな、そのつもりでいろよ」
「うん。迷惑かけないようにするよ」
と言うことで明日付いて行くことになった
その前に俺にどんなことが出来るかちょっと考えてみた
例えば母さんが父さんの仕事を手伝っていた時は
【浮遊】で切り倒した木を運んだり
木材をそのまま浮かせながら馬車で運んだりしていたようだが
似たようなことは出来るだろう
母さんのように持続的に運ぶことは出来ないが
とりあえずの移動は持って来いだと思う
それと
何なら切り倒しも出来そうだ
生えている木の幹に対して地面と水平に、薄く【空間転移】で真横に転移させるだけで
切断は可能だろう
ただ
気は単純に切れば良いというものではないらしい
倒す方向
切る位置なども重要らしいから
そこらへんは熟練者の指導の下で、させて貰えたらやってみよう
上手くやれば木材加工もできるかもな
何しろ刃物が要らないから
余計な木くずも出ないだろうし
道具もいらない
父さんと一緒に仕事に行く前に
自分で安全な範囲でだけ練習してみようかな
やれることを試すのは全然問題ないはずだ
家から少し離れると林がある
父さんが昔から管理しているだけあって
鬱蒼としている印象はなく
それなりに人も入りやすい状態になっている
しかし全範囲を一人で管理できるようなものではないので
そこそこ奥の方に入ると荒れている所も出てくる
しばらく探索して
倒木を見付けた
そんなに大きな木ではないし
倒れたのも最近では全くなさそうな木だ
実験するには丁度いい
まずは真横に切断できるかやってみよう
倒木に対してなので
地面に対して垂直に、薄く想像する
転移先は直上
意識すると音もなく倒木の真上に現れたのは
透けるくらい薄い丸太・・・
丸太と言っていいのだろうか?これは
鉋で削られたように薄く
ヒラヒラと舞って倒木の上に落ちた
とりあえずは成功か?
余りにも薄すぎる丸太は
よく見ると中心辺りに穴が空いていた
幹の中は空洞になっているのかもな
転移させてから思ったが
木を一旦切る必要はなかったかもしれない
どうせ転移の時に切断されるんだ
そのまま範囲を指定して移動させればいいじゃないか
こういうのも実践前にやっておいたから気付けた些細なことだな
で、だ
今まではそのまま転移させていたけど
転移先に回転させて移動することは出来るんだろうか?
それをやってみたい
倒木はあまりにも薄く切り出したせいでビクともしてない
とりあえず丸太のように切り出して
直上方向に転移させ
元々木が生えていた時の向きに丸太を回転させて出現させたい
←
を
↑
こういう感じだ
これが出来れば父さんの仕事の手伝いでもかなり楽になりそうだ
想像するのはさっきよりも分厚い丸太
そうだな・・・
俺の手首くらいの厚さがあれば分かりやすいだろう
転移先での向きを想像して
・・・
出来た!
カコン
という音を立てて幹に落ちた丸太は
やはり中心が蟻か何かに食われたか分からないが空洞が空いていて
ボロボロの状態なのか落ちた時に割れてしまった
持ち上げてみると見た目よりも軽い
スカスカの状態なんだろう
倒れてからかなりの年月が経っているみたいだ
確かによく見ると幹の周りには苔が付着していた
このままもっと長い年月を経て地にかえっていくんだろうな
だからちょっとだけ分解を手伝ってあげよう
よくわからない大義名分を自分で用意して
その倒木を使って色々スキルの実験をさせて貰った




