第3章-9
リアとソラと一頻遊び倒し
二人がお昼寝してる間にラザさんに質問してみた
「ラザさん、俺スキルが使えなくなったんだ」
「あら、そうなの?私も昔なったわね~」
「え?そうだったの?」
「そうよ。私の場合相手の体温を奪いすぎて大事になったことからだったの。ある程度スキルの熟練度も上がってくればスキルの行使中に暇が出てくるのよね。私のスキル、ゆっくりやるって言ってたでしょ?いきなり下げると身体がブルブル震えだすからって。だからホントに暇だったの!その内慣れた人との間では本を読みながらでも良いよって言われたりしてね。私も甘えて他のことしながらやったりしてたの。そして気付いた時には・・・って感じ」
「その時は大丈夫だったの?」
「ん~なんとかね。だって戻すことも出来るからさ、ヤバいと思ってすぐ体温を戻してあげて大事には至らなかったけど、その人とその家族が後から滅茶苦茶怒って文句を言いに来てね、当然っちゃあ当然なんだけどさ。その剣幕に驚いて暫くスキルが使えなくなったわ」
「そうなんだ、ラザさんにもそんなことがあったんだ」
「あるわよー、対人スキルなら誰でもあるんじゃない?割りと沢山の人がなるのよ?」
「えっ?そうなんだ」
「期待されてるスキルであればある程そういう悩みは付き纏うもの。そんなことで悩めるだけお前は恵まれてるんだ―――、なんてことも言われたっけな」
「弊害スキルで使いたくても使えない人もいるから?」
「そうそうそれそれ!もしかしてロヴィオさんに言われた?笑」
「うん」
「あははははっ!実の父親に言われておいて良かったわね!他人に言われるのとでは大違いよ!」
「やっぱりそうなんだ、なんかそんな気はした」
「・・・やっぱり賢いわね。だから悩むの」
「?」
「自分で言うのもなんだけどね、神経が図太いやつはならないのよ。相手を慮って、自分のスキルで少しでも役に立ちたい。頑張りたい。だからスキルの制御は慎重にって人間がなりがちなの。ま、そういう考えが無いやつにはそんな感じのスキルは授からないだろうけどね」
ニヤリと笑ってこっちを見ている
「前も言ったと思うけど、スキルは考え方次第よ。常識や、法則に囚われすぎると何も出来なくなるんだから。まだ難しいと思うけど適当でいいのよ、実はね」
「適当、よく分かんないよ。適当にやってもし誰か死んじゃったらって思うと・・・」
「・・・」
ラザさんは少し真剣な顔をして考えているようだ
「さっきは適当って言ったけどさ、雑にやれば良いって意味じゃないのよ。しっかり悩んで考えた上で、思ったよりも厳格じゃなくて良いんだなって所に気付くもんなのよ。そういう意味で適当ってこと。」
「・・・」
「仕方ないわね、じゃあクロス君。あなたのスキル、私と一緒に考えてみましょうか」
ラザさんに俺のスキルのことを説明した
「なるほど【空間転移】ね、確かに失敗すれば一撃で人でもなんでも死ぬわね。こりゃまたとんでもないスキルを授かったものだわ」
ラザさんは右手でグーを作って俺の左頬をグニグニ押してくる
「それで、転移元と転移先の指定が難しすぎて訳分かんなくなっちゃってるのね。ふーむ・・・、でも適当でも発動出来ない訳じゃないんでしょ?」
「まあそうだね、これまでは何も考えずにやってたんだし」
「ならそこに解決策がありそうね」
「?どういうこと?」
「要は、完全に停止している世界だったらもっと簡単に考えられるのにってクロス君は思ってる。でも例えば馬車に乗ってて目の前にある果物を飛ばそうと思ったら、同じ馬車に乗ってる自分からすれば目の前にただ置かれている様に見えるけど、馬車の外にいる人から見たら果物は移動して見えてる。自分視点じゃなくて全体で考えなきゃいけないって難しく考えてるのよ」
「でもだってそうじゃない?だから俺はスキルで物が消えてると思ってたんだ」
「そうね、転移させたと思ったら果物だけ馬車に置いてかれて地面に落っこちたわけだ。転移させたクロス君からしたら目の前から消えたように思うわね」
「うん。だから馬車の速度を考えてスキルを使わないとって思って」
「でもさ、【空間転移】って私の聞いた感じだと一瞬で起こることだと思うの。私のように体温を保存して置けるような保管所があるわけじゃなくて。果物をまず目の前から保管所に置いて、転移先を決めて、保管所から取り出して転移させる、って工程に意味ある?一旦保管する意味も、取り出す意味もないと思うの」
「・・・」
「もうそろそろ分かってそうだけど、私が気持ち悪いから最後まで言うわね。クロス君は目の前の対象物を決めてそこからスキルを発動してるから時間差が生まれてるんじゃない?スキルを発動直前まで集中力を高めて、転移元と転移先を同時に決めてスキルを発動すれば、どうなる?」
ラザさんの話を途中まで聞きながら俺は確かに堪えに辿り着いていた
でも助言をくれたラザさんの話は最後まで聞きたかった
ラザさんの目を見て深く頷いた
「もう大丈夫みたいね」
「ありがとう」
「全然構わないわ、いつもリアとソラを見て貰ってるもの。それに私も似たような経験があったからね、私は答えを知ってた様なものよ」
「そっか」
ラザさんは動く対象相手にスキルを使うこともあったと言っていた
しかし俺の場合は一瞬で事足りるが
ラザさんのスキルは時間がかかる
となれば条件は俺よりも厳しかったはずだ
色々と考えた上で
取捨選択して上手にスキルを使えるようになったのだろう
俺は人付き合いにも恵まれたな




