第3章-6
テージさん一家に父さんと俺の6人
久々に集まって小さい祝宴
俺が帰って来たということに皆喜んでくれた
まだ1年も経っていないが
久しく見る顏を前にして身体の奥の方にあった力みの様なものが抜ける感覚があった
これが安心というものだろうか
慣れた気がしていたけど
ずっと緊張状態にあったのかもしれないな
ご馳走も食べ終え
俺もそれなりの長旅だったので今日は早めに解散となった
父さんは俺に早く寝るように勧めてくれたが
俺は先にどうしても話しておきたいことがあったので
父さんを呼び止めた
「どうした?」
「実は今日、こっちに帰って来たことの本題というか、父さんに1番に報告したいことがあるんだ」
父さんは椅子に腰かけて
「恋人じゃないだろうな?」
「茶化さないでよ・・・。スキルのことなんだ」
父さんが俺に話しやすい雰囲気を作ってくれているのが分かる
俺としては報告内容が父さんにとって良いことだと思うけど
自分自身の問題が解決しないので微妙な感情になっている
「大丈夫だクロス。父さんに何でも話してみろ」
「うん」
「先に言うと、母さんは消えてないみたいなんだ」
「!?、・・・どういうことだ?」
一瞬目を見開いた
「俺のスキルさ、対象物を消していたと思ってたんだけどつい先日にスキル名が分かってね。【空間転移】ってスキル何だ。簡単に言えば距離を無視して対象物を移動させるスキル。厳密には移動じゃなくて交換に近いかな。このお皿とこの花瓶が一瞬で入れ替わるようなスキル」
「ほ、ほんとか!?ならミナは・・・」
「うん。消えてないなら生きてる可能性は凄く高くなったと思う」
「っっっ・・・・・・・!!!!!」
声にならない声を上げて
身振り手振りで喜びを表わしている
一先ず喜んでもらえて良かった
「クロスっ!!」
俺のことも力いっぱい抱きしめて喜んでいた
「痛いよ!父さんっ」
お構いなしに抱き上げて振り回す父さん
俺はなすすべ無しでされるがままだったが
笑いながら父が涙を流しているのが見えなくても分かったので
抵抗することなく俺も抱きしめ返した
しばらくして落ち着いてから父さんが
「ああクロス。お前の言いたいことが分かったぞ!母さんは消えてないけど、生きてるって分かった訳じゃない。それに生きてたとしても何処にいるかもわからないってことだろ」
「うん。そうなんだよね、でも母さんのスキルって【浮遊】だったんでしょ?だから」
「そうだな。地面の中とか海の底とかじゃなければ、空に飛ばされてても大丈夫だろう。母さんの【浮遊】は自分を浮かすことは出来ないんだが、自分が着ている服を浮かせることは出来るからな。当然、高い所から地面直前でビタっと止めたら結局意味がないが、母さんのスキル熟練度はかなり高いからな。自分に負荷がかからない様に調節することは簡単だろ。俺も高い所から飛び降りる母さんを見たことがあるからな!母さんは服が食い込むから嫌だって言ってたけどな」
「でもさ・・・」
「ああ、この5年以上の間全く連絡が無かった事だろ?」
5年もあれば相当遠くにいても帰って来られるんじゃないだろうか?
帰るのが難しくても手紙を送るなりなんなりは出来るはずだ
それが無いということは・・・
しばらく無言が続いてしまった
「ま、何より状況は良くなったのは間違いないさ。安心しろ!クロス。分からないことで落ち込んでもしょうがないだろ。」
「うん」
バシバシ背中を叩かれながら
俺の方が慰められた
やっぱりロヴィオは父親だ




