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俺のスキルが使えない  作者: めん
第3章

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第3章-2

喋りながら走るのが辛くなって来たくらいで今日の走り込みを終わることにした

戻ってきてからナルが柔軟運動をしながら

「あ、あのあのっ!さっきお話を聞いてて思ったのですが、キニ爺が前に都合付けてくれた研究棟の”謎”があったじゃないですか?あ、あの木材ってもしかしてクロスさんが【空間転移】で飛ばしたもの、なんじゃないですか?」


ナルの推測を聞き

以前、父ロヴィオとスキルの実験をしたときに

持ってきてもらった木材のことを思い出した


そうだった

確かあの時(※第1章-28)も父は硬く軽い木とかなんとか言っていた

思い返せばその時に俺が消した、もとい【空間転移】させた木材と形も特徴も似ている気がする


「確かにな、だとすればあの檻の中に入れることも出すことも容易いだろうな」

ルートがナルの話を聞いて頷いていた

するとタキが

「もし、先に檻の中に何か入ってたらどうなるの?」


・・・


あれ?

俺は何か重大なことを見落としていないか?


まずまずもって

【空間転移】とは何だ?

俺の前世での知識で言えば、瞬間移動の様なものだと思っていた

俺の今の知識で想像できる瞬間移動とは

時間の概念を無視して長距離移動できる超能力だ


瞬間移動がどういった原理なのかは分からない

だって超能力だし

それによって起こり得る様々なことは表現されない

蛇足だからだ


そうだ

よく考えてみよう


一瞬で移動出来ることに対してはスキルの力で説明するしかない

ここはもう考えても仕方ない


だがそれを行使した時に現実に起こる現象自体は無視できない


落ち葉を拾って観察してみる


俺はこの落ち葉を消していると思っていた

だが実際はどこかに転移させていたわけだ

つまり転移先がある

そして転移先には必ず()()がある


物体でも

無いと考えがちな空気でも

絶対にあった


それを押しのけてそこに転移させているんだろうか?

水の中に物を沈めると水が溢れるように?


いや違う

俺のスキルは【空間転移】

空間を超えて位置を変えると言う意味だろう


だとすれば移動先にあった()()と入れ替わるということだ・・・


これまでは偶然

空気というか大気か

大気と入れ替わっていたってことか?


いや

そういえば一度あった

以前、大きめの物を消したとき(※第2章-1)に大きな音が鳴った

それと同時に周囲の空気が引き寄せられるような動きをしていた


あれは真空状態になったからだ

とすれば

宇宙か?

大気圏外に空間転移させたのか?


俺のまだまだ足りない前世の知識の中では

地表から大気圏までの距離は想像より遠くなかった気がする

思ったよりも近かったはずだ


それにここは前世で住んでいた世界じゃない

大地(ホシ)そのものの大きさが多分だけど違う

だから前世の通りに当てはめて考えても無駄だ


だけど参考にはなるだろう

計算は無理だけど


----------------------------------------------------------------------------------------

※参考

地球の赤道での自転速度は

約 1,670 km/h ≒ 465 m/s

地球は太陽の周りを

約 29.8 km/s(= 29,800 m/s)で公転

単純な足し算ではなくベクトル(向き)で考え

自転:東向き

公転:ほぼ接線方向(これも東寄り)

赤道上ではかなり同じ向きに近いので、最大に近いケースではほぼ足せるとし

約 29,800 + 465 ≒ 30,300 m/s

赤道直下で、自転と公転を合わせた最大移動距離は

約30 km/秒

太陽系は天の川銀河の中心の周りを回っているので

約 220 km/s

厳密には全部ベクトルですが「だいたい同じ方向に寄る瞬間の最大値」として単純加算すると

銀河公転:220,000 m/s

地球公転:29,800 m/s

地球自転:465 m/s

合計

約 250,000 m/s

太陽系は宇宙マイクロ波背景放射に対して

約 370 km/s(= 370,000 m/s)

で移動している(双極子異方性から測定される値)

向きがうまく揃う「最大に近い瞬間」を考えて足すと

約 400,000 m/s

約40万メートル/秒(= 約400 km/s)

つまり1秒で最大400kmは移動すると考えられる


脳の伝達速度は秒速数メートルから約50m

大気圏までの距離は約100km

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俺は以前からスキルで物を消すとき

ただ物体にスキルを当てることだけを考えていた

だから始点はあっても終点のことは考えてなかった


そうすると

終点は勝手に設定されていた?

勝手に適当な終点が設定されていたとすれば考えること自体無意味になるが

仮に始点と同じ位置だったとすると


俺達は全く動いてないつもりでも

この大地は信じられないくらいの速度で動いている


要は

俺がこの物体にスキルを行使する

と考えてから実際に発動されるまでの時間差分だけ

俺が思っていた場所から、大地が移動していた分のズレがあったと考えるのが妥当だろう


今となっては落ち葉にスキルを行使するまで

殆ど時間差は生じないが

それでも0.何秒は絶対にかかる


その分だけ落ち葉は移動していたということだ

この大地がどれくらいの速度で

どんな宇宙の影響を受けて移動しているか分からないので計算しようもないが


ナルの言う通り

偶然にも檻の中に転移させてしまったのかもしれない

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