46. 巻込注意
フォオオオオオあああああ!!!!!?
ドォン! ガァン! ベコッ! ガッガッ! キューッ…ズドーン!
屋根から飛び降りた時の何倍もの速さで落っこちた。
墜落してから見上げると、大きなパイプや古びた通路が電子基板のように張り巡らされ、その更に上方、今し方まで居た部屋の薄暗い空間が小さく穴を空けている。
かなり下まで落ちたようだ。パイプの所々に大きな凹みや通路が途切れて埃が舞っている。
・・・・・・・・・( ゜д゜)ハッ! って何してんだ俺は!? 一番大事な大詰めの時にまったりしてんじゃねぇーよ!
「フグッ! ングググクゥ……(プゥ)、あぁ…」
落下中に全身をしこたま痛めて思った様に力が入らない。あと十数秒もあれば回復しそうだけど……。
せめて状況だけでもと耳を澄ませていると絶叫と銃声が聞こえた。それからまたもう一発? が聞こえたらそれっきり静かになってしまった。
静か、といっても無音じゃない。何が起きたかよく分からないけれども、聞き覚えのある声が聴こえた。
不意に頭上の穴から人影が覗き込む。暗い背景に溶け込みよく見えないが赤っぽいシルエットだ。
「エルちゃんもう大丈夫よ。さあ、こっちは任せて行きなさい」
イェナさんだ。どうやら決着がついたらしい。
ホッとするのも束の間、じっくり魔力循環を意識して十分に回復し、動けるのを確認してから辺りをグルリと見回した。
ここは屋敷の中でも一番下、つまりこの街の下層と接した場所であり、メンテナンス用の区画なのか悪臭が充満していた。灯りの殆ど無い天井には格子の付いた通風孔があり、そこから様々な臭いが吹き降ろして来ていた。
悪臭は上から流れて勢い良くどこかへ吹き流されているようで、換気扇か何かがあると思い風下へ移動していくと、エルドワーフの5倍の大きさの換気扇が超高速で回っていた。
それを目の当たりにした瞬間には吸い寄せられていて、咄嗟に近くの手摺りに掴まったものの吸引力で身体が浮き上がったと同時に錆びていた手摺りが割れ、諸共吸い上げられフィルターであろう鉄柵に叩き付けたられた。
運良く鉄柵に身体が交差する状態で吸いつけられたので助かったが、後から飛んで来た小型犬並のネズミは鉄柵の隙間を素通りしてしまい、あっと言う間にミンチになって消し飛んだ。
鉄柵に吸い付けられた状態だが、間違っても足を格子の隙間に落とさないよう這うようにして身体の向きを調整していると、換気扇の横に通用口らしき扉を見つけた。換気扇の吸い込む方向と同じ向きに通じる扉に見えるので、きっと外と通じている勝手口だ。
小さな生き物を問答無用で吸い込んで大地の肥やしに変える殺戮換気扇に恐れ戦いたが、目標が目の前に現れて勇気が湧いてきた。
ここぞの魔導回転力で全身を漲らせ、真横に梯子を登るが如く突き進み辿り着き、そしてついに下層の中へ出ることに成功した。




