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チャリンコ・チャリオット  作者: 怠慢兎
第1章 ーワンパク ワンダー ワールドー
37/54

35. 総額 金78 銀127

アルト視点から始まります。

8/8 34話と35話の順番を入れ替えました。内容に変化はほぼありません。

 牽制に顔を狙って撃ちまくる。特注品の弾倉(マガジン)内部はダンジョンと同じ空間を流用した迷宮箱(ダンジョンボックス)になっており、可能な限り何発でも連射が可能だ。

 狙い通り腕で顔をカバーして目眩ましになっている。いくら素早く頑丈でも弾丸の威力とスピードは脅威らしい。その隙にコートの下に着込んでいたベストから、仕込んだナックルナイフを右の逆手に握り込んだ。

 そこから左へ回り込もうと横へ一歩踏み出すと、エルドワーフは一瞬で体勢を低くし大きく腕を広げて突進した。ギリギリまで詰められた所でアルトも大きく横へ跳ぶ、擦れ違いざまに腕をナイフで切りつけ顔にも弾丸一発を見舞った。


 ふむ、圧倒的に向こうが強力なのに変わりはないが、こちらにもいくつか優位な点があるようだ。

 まず急所を正確に狙っても防がれるが、そうでない箇所にはナイフでも通用した。ただ見た目にはそれ程鍛えているようには見えないのに、切りつけた筋肉の感触が自分よりずっと固く引き締まっているのには驚いた。

 次に反応してから動き出すまでの素早さはこちらに分がある事。恐らくそれなりに戦闘経験は有っても場数は踏んでないと見える、僕が誰よりも戦闘訓練を積んでいるのも大きいだろう。

 そして勘だが魔力に目覚めたのもごく最近の事だろうか。これは学校でもよく見られる、初めて魔力に覚醒した子達の魔力制御の仕方に酷似している。ここまで顕著なのは初めて見るが身体能力の強化は目に見える変化だ、なのでその為に魔力を振り切るのもよく見られる傾向なのだ。


 ここまで解ってしまえば道が開けたも同然だ。魔力の万能感に酔いしれた後輩(・・)に、現実の厳しさを叩き込んでやろう。おっと後輩ではないか、アレは小鬼(ゴブリン)と同じ駆除すべき害獣、幼体でも成体にまで成長すれば脅威なので今の内に殺すべき敵だ。尤も既に成体の小鬼なんかよりもずっと脅威的な魔獣には違いない。

 とにかく立ち回り続けてじわじわと嬲り、そして一息で殺してやる。


 バン!バン!バン!バン!バン!バン!バン!バン!バン!バン!バン!バン!バン!バン!バン!


 毎月の小遣いの十数%を弾薬に注ぎ込んできたのでまだまだ弾切れの心配はないが、そろそろ銃身を労わってやらないとガタがきそうだ。それに決定打を与えるにはやはり一度弾種を変える為のリロードをしなければならない。となると大きな隙を作らざるを得なくなる。


 ビュゴゥッ!

「チッ!?」


 しかも何発かに一発、急所以外を攻撃する度に狙っていたかのように接近戦を仕掛けて来るが、段々と鋭さが増してきている。動き自体は素人に毛が生えた程度なのに、こちらの動きを捉えた上で適応し始めているのだ。

 信じられないが考えられるのは脳に魔力負荷を掛けて思考を加速させる魔術。実際に効果は認められているものの、話に聞いて試したことがあるから知っているが、生半可な量と質では効果は乏しく、更に匙加減を誤れば魔力酔いや激痛に苛まれる難しい技だ。特に(アルト)のような火属性や土属性の魔力では脳を傷付け易いので、将来的な習得を目指して未だ魔力制御の修行中である。出来るとしても一か八かの禁じ手に位置付けている。

 それをこうもあっさり身に付けているとすれば、彼が本当の意味で才能(センス)に恵まれているかそれに耐えられる体力と精神力を併せ持つ者だという事だ。何れにしろ厄介な者に変わりなく、天啓が無くともこれ程の人材を放っておく事は出来ないだろう。実に惜しい。


 ナイフの握りを指一本分ずらしその手になけなしの閃光爆弾を握る。あともう一個残っているが、それも含めて出し惜しみはしないつもり。例えそれが替えの利かない物でもだ。

 仕掛けるのは()だ。


 バン!バン!バン! バン!


 急所を外して接近を誘う、予定通りに突進を始めたが今回は連射を控えめにする。動き出してから可能な限り逃げつつ、右手の爆弾の栓を抜く。同時進行で脚を狙うがどうも効きが悪い。


(拙い割にあれほど動けるのも実戦の中で腕を磨くタイプか! どおりで最初と今で手応えが変わっていく訳だ)


 感心半分戦慄半分、動きもそうだが予想以上に魔力制御が洗練されてきて、急所以外の防御力も上がっている。

 だがやる事に変わりは無い、彼が魔力を根源にそれを可能にしているなら、封じてしまうだけの事だ。


 逃げるのを止め迎え撃つ。目の前にエルドワーフの握り締めた拳が接近してくるのを左腕で受け止め、その反動で弾倉を抜き落とす。その目に映るのは弾倉なのか、そうでなくても咄嗟に目で追っているのだろうか? その視線の間に右手の閃光爆弾をねじ込んだ。


 バァン!


 普段より小さくとも至近距離ならば十分の威力(音量)だ。それにさっきの今で警戒していたとしても、瞼一枚では薄くて防ぎ切れないだろう。その点こちらは右手が壁になり音も光も遮られダメージは耳以外ほぼ無い。

 そのまま大きく後ろへ飛び退る際に、落とした弾倉へ向けて薬室(チャンバー)に残された最後の一発を撃ち込んだ。


 キンッ! バシャァアン!!! ジャラジャラジャラ……!


 迷宮箱(ダンジョンボックス)と言うのは実は非常に不安定な物で、特にダンジョン空間の出入り口が壊れると中身が噴出してしまうのだ。弾倉に利用するため大枚叩いて補強を重ねたのを先頭の弾丸を誘爆させて破壊したのだった。


 弾倉から噴水の如く大量の銃弾が溢れて踊っている。エルドワーフの足元には弾丸が転がりその足を掬った。


 上手く行った。後は新しい弾倉を装填し、専用の特殊弾を撃ち込めば仕上げに移れる。

 ベストの内側のベルトから通常の弾倉を一つ抜き、弾倉の向きと挿入口を確認して差し込み……


 ズボッ! ガッ!


 弾倉から薬室へ弾丸を送り込む為にスライドを操作する直前、解放されていた排莢口に白く細い指が差し込まれていた。


「衣服が乱れてますがもう光らないのですか?」


 僅かな視線移動だけで目に映った少年は、自身の左拳を僕の鼻に叩き込んだ。

弾倉・金貨66枚 閃光爆弾x2・金貨12枚 弾薬・銀貨61枚分 整備費・銀貨66枚

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