337.言い訳と説教
叔父の怒った様子を見た水神様は、
慌てて更なる弁明をし始めた。
……無駄な事しないで、黙っていればいいものを。
〖し、知らなかったっていうのは…言葉のあやでだな、
途中でいろいろ思い出した…と言うか、何と言うか…。〗
〔水神自身も、目覚めたばかりでだな…。〕
「そんな事はどうでもいい。
どうせ神も全てを知ってるわけじゃない…とか言うんだろ?
それならそれで、ゴチャゴチャ言うな。」
本当にそう。余計な事ばっかり…。
いつもの穏やかめな叔父とは違う姿に、
神様達は困惑した表情で固まってしまっている。
そして私は、意外にも怒りが吹っ飛んで行った。
自分以外の人間が感情を爆発させていると、
逆に冷静になると言うけど…あれって本当だったんだ。
「結希は全てを知らない状態からここまで来たんだ。
お前らと違って、何にも知らない結希がだぞ?
無駄な言い訳をする暇があるのなら、
お前らが隆延を何とかしたらいいんだ。
隆延だってお前ら神の問題で巻き込まれた人間の1人なんだから。」
……いかん。
ちょっとずつ怒りの方向性が逸れて行ってる。
それだけ色々溜まってたって事ではあるけど、
出来れば今じゃない方がいい。
もう忘れてたなら忘れてたで済ませていいし、
水神様だし意外でもなんでもない。
思い出したのがいつだろうが、もうそれは過ぎた事。
いい加減止めないといつまでも説教モードのままだし、
私が何とかするしかないか…。
今までこういうのは、祖母の仕事だったんだけどな…。
──パアァァン
「よし!
神様達がポンコツなのは今に始まった事じゃないし、
ムカついたって怒ったって私達が疲れるだけだよ。
だからカナちゃん…、もういいよ。怒ってくれてありがとね。」
手を大きく叩き、お怒りの叔父へと話しかける。
内心ドキドキだったのだが、噛まずに言えてよかった…。
ついでに神様達には、
口を開くなと言う意味を込めて睨み付けておく。
また何か言われたら困るから。
「……そう、だね。
ポンコツに何言っても仕方ないか。
それにまだまだやる事があるもんね。」
「うんうん!」
何とか落ち着いたみたいで一安心。
これでやっと、次に進める。
「じゃあ、今から池に行けばいいよね。
でも義伯父さんが居ないと始まらないんだけど…。」
時間が止まってる影響を受けてる人達の事は、
止めた張本人に何とかしてもらうしかない。
だけどどうしたらいいの?勝手に解けるわけ?
〔……………。〕
どこか遠くを見ながら、瑞樹様は固まっている。
張本人…天上の神々へ合図を送っているのかもしれない。
時間が動き出したら、そのまま池に行こう。
私には止まってるっていう感覚は無いんだけどね。
さて、所変わって例の池。
一気に飛びすぎな気がしなくもないが、
特に面白い事もなかったから仕方ないのだ。
皆で揃って、庭まで歩いて来ただけ…。
…ほらつまんない。
ではこれから何をするのかと言えば、
義伯父の祝詞を聞いておくだけらしい。
そんな義伯父は、一旦着替えに戻って行った。
曲がりなりにも神域へ踏み入れた時に着ていた装束だから、
特別な品として保存したいらしい。
私からしてみればただの池でしかないけど、
神様が住む場所だから神域と定義するのは当然か…。
敬うべき神様かどうかは疑問しか無いが、
それはあくまでも私個人の感じた事であって、
大抵の人からしてみれば神様は神様に違いない。
ポンコツでも、神様…なんだよなぁ~。
なんか不満。
〖おいこら!!〗
気付かれてしまった…。
まぁ別に、隠してないしいいんだけど。
そう考えている時、瑞樹様が話しかけてきた。
私がやる事の説明をしてくれたのだ。




