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何で俺だけ  作者: コンソン
「僕」
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何で僕だけ「食い飽きた」

 報酬金額はそこまで多くは無い。僕は今持っているショートソードよりも少し長いくらいの安物の剣を一本購入した。ショートソードは予備としてしまっておく。

 そして店を出て少しだけ考える。そもそも僕は師匠と外に出てゴブリンと何度も戦闘し、そして倒していた。


「ならそれでもう一つレベルが上がっていてもおかしくないんだけど。それは、イベント処理されていて経験値にならなかった?」


 しかしここで疑問が出る。じゃあ冒険者登録をして、そして依頼を受けての独り立ちをした今は?と。

 まさかチェインイベントでもあるまいに、そしてその続けたイベントでも経験値が入らない仕様と言うのはどう考えたって異常だ。


「深く考えても仕方が無いな。もう一度ゴブリン退治だ。時間はまだある。これで上がらなかったら、その時はその時で考えるしか無いな。」


 そのままもう一度ギルドへと顔を出す僕。しかしここで「テンプレ」に遭遇した。


「おうおうおう!無職の坊ちゃんじゃねえか?お前みたいな奴が冒険者だってぇ?コリャ傑作だぜ!なぁ!お前ら!」

「よくもまあ命知らずな事だぜ。ぼくちゃんよぉ?俺たちを雇えば守ってあげまちゅよ~?」

「そこらの道端に生えてる雑草を薬草と間違って持ってきちゃ駄目だぜ?なぁ?ぎゃはははは!」

「前代未聞の無職の冒険者、良いじゃねーか!俺たちの酒の肴にしちゃ上出来だぁ!」

「冒険者の恥さらしが!無職だって?舐めんなよてめえは。調子コイてんじゃねーぞ?おら!」


 五人が僕に近付いて来る。酒を片手に。そしてもう何杯かは飲んでいるらしく既に出来上がっている。

 ギルドを出る時には居なかったし、こうして絡まれイベントはもうテンプレと言った様式美とでも言えば良いか。

 既に他所で飲んできていてギルド併設の酒場に飲み直しに来たのか。或いはギルド内に居て僕が居なくなった後に飲み始めたのか。


 ここのギルドは冒険者が帰って来た後に直ぐに酒が飲める、食事ができるように酒場が併設されていた。

 コレはもの凄く便利であり、そして冒険者から金を巻き上げるのに丁度良く考えられている。


(報酬を受け取った冒険者は直ぐにでもここでギルドへと金を落とす。ほんとホイホイだよな)


 依頼が終わった後に即座に減った腹を満たせて、そして仕事内容に花を咲かせて酒を飲む。

 ギルドが経営してる酒場であるのは一目瞭然。冒険者ギルドを運営するのに金は幾らあってもいい。そんな感じなんだろう。

 これには誰も損はしないシステムだ。本当にウィンウィン関係である。


 近付いて来る五人を無視して僕は受付にお願いしてゴブリン退治の依頼をもう一度手早く受ける。

 どうやら僕を待っていてくれたらしい受付は既に準備をしておいてくれてソレをさっと済ませる事ができた。

 まだ五人は僕に「追いつける」と思っているらしく近付いて来る足取りは遅い。

 そこを突いて僕は走って外に出る。多分五人の冒険者たちは僕の手続きがまだ終わらないと思っていたんだろう。

 そしてギルドを出ようとした僕を囲って逃げられに様にしようと画策していたに違いない。

 背後で「あ?」とか「待ちやがれ!」やら「逃げ足が速い!」などと言っているが、そんなの全部無視だ。


 そのまま門へと向かってダッシュだ。門番のNPCは僕の事を見て直ぐに外に出るための手続きを取ってくれる。


「おいおい、二回目のゴブリン掃除って言ってもよ?早くねーか?ま、命は大事にしろよ?危なくなる前に直ぐに戻って来い。臆病ってのは馬鹿にするものじゃないからな。死にたくなけりゃ大事な要素だ。無事に戻って来いよ?」


 この言葉にゲームだというのにちょっとだけ僕は心が温かくなった。心配して貰えるというのは貴重で、そして嬉しい事である、僕にとっては。たとえゲームのNPCからのお決まりセリフであっても。


(それにしても、あの酔っ払いたち、追って来ていないみたいだな。はぁ、メンドクサイ)


 ああいった絡まれるテンプレと言うのには明確な「答え」が無い。

 何と言うか、どう言った対応をしたとしても、その後にそれに絡むイベントは必ずと言って良い程に発生するモノなのだ。

 あの場でどう対処しても、どんなに穏便に済ませたとしても、後腐れ無く全て清算したと思っても、後々にそれと関連した何かしらのイベントに連続突入する。

 あれはきっかけだ。それと遭遇したらもうこちらは覚悟を決めなくてはならない。それくらいに面倒臭い代物だ。逃げられないのである。

 だけどもゲーム開発者からすれば使い勝手の良いもので、これさえプレイヤーに与えておけば自然とそこからの波乱万丈人生イベントは雪だるま式に関わらせる事が可能、と良い事尽くめなのである。

 まあいわゆる「脳死」と言われる何も考えないで良いといった具合なのだ。その代わりにこちらは面倒臭いのを押し付けられている状態、アンド、飽き飽きしていると言った感じである。

 これまでに僕が遊んできたゲームには絶対に搭載されていた。もう食傷気味で勘弁して欲しい。


「さて、森に行って検証だな。もしかしたら僕はこのまま「1」のままって事もあるし。或いは何か特殊な条件が必要とかも考えてNPCに色々と話しを聞いて情報収集しないといけないかもな。」


 森へと入って僕は早速前回にゴブリンを発見した場所に行ってみる事にした。

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