何で僕だけ「レベル1」
帰還を果たしてギルドの受付へと戻ると手続きをして貰う。
どうやら討伐数はちゃんとカウントをされているらしく、不正などはできない仕様である様だ。
まあ倒した魔物が光となって消えてしまうのだ。こうしたゲーム的な所は便利である。
討伐部位を持ってこいなどと言われても倒せば消滅してしまう相手にどうやって討伐証明など持ってこれるのかと言った具合だ。
「はい、12体をお一人で討伐、凄いですね・・・流石に老子に鍛えられただけの事はあります。しかもレベルが1で。本当にコレは記録的ですね。」
僕はこれに違和感があった。流石にソロで魔物を倒しているので経験値はかなりの物のはずだ。
戦闘に加わった人数で割る訳では無いので独り占めしているはずである。けれどもこの受付は今なんと言ったのか?
「あの?今なんと?レベルが・・・?」
「はい、こちらの記録ですとレベルが「1」でのこれほどの記録は初ですね。有能、有望、こちらも期待が高まります。」
どうやら登録者はギルドでそのレベルが把握されているらしい。おそらくはそのレベルの把握でプレイヤーへと与える仕事の難易度を考えての仕様だろう。
「レベル・・・「1」?あの、僕はゴブリン12体も倒してレベルが上がってないんですか?」
僕は咄嗟に自分のステータス画面を呼び出した。そして驚愕する。本当にレベルが上がっていない。
コレはどう言う事だと思って受付にもう一度か顔を向けた。
「あ・・・あれ?本当ですね・・・こちらのレベル測定器には何ら異常は発生していないのですけど。」
変な言葉を聞いた。どうやらギルド専用でそうしたプレイヤーのレベルを判定するシステムがあるようだ。
受付は測定器などと言っているが、それらしい道具などが近場に置かれている様には見えない。
(僕はどうしたんだ?多分普通なら3か、或いは4くらいになっていてもおかしくは無いのに)
ゴブリンを倒した時の手応えからして僕はそうした予想を立てる。伊達にゲーマーなどと自負はしない。これまで遊んできたゲームの経験的にもそれくらいの「ソロ」での上がり方をしていないとおかしいと感じているのだ。
それでも、僕がレベル「1」なのは変わらない。しょうがないので現実を受け入れるしかない。
「えーっと?どうなされますか?こちらとしてはもの凄く速い達成だったのでもう一つくらいは簡単なクエストをご紹介できますが?」
「あ、スイマセン。そのまま討伐依頼の成功報酬を頂けますか?そうしたらもう一度装備を整えてまたゴブリン退治を受けたいです。」
「はい、畏まりました。ではこちらが成功報酬と追加報酬です。では、またのお越しを。」
そうして僕は報酬の金額の入った袋を手に取ってギルドを出た。
「このお金でもうちょっと良い武器を揃えてもう一度ゴブリンで「検証」をしてみないといけないな。」
自分のこのレベル「1」にどうしても納得がいかない僕は少し意地になっている。
「・・・何体倒せばレベルが上がる?ちょっとチェックしよう。コレは何だか後々にもっと重要な事になる予感がする・・・」
別にこの事に対して予感などと言っているが、それに関して自分の経験上に何ら根拠になる物が無い。だからコレは僕の只の勘だ。
その勘にも何だか嫌な予感がするのだ。そもそも今のこの「無職」からしてこのゲームの「普通」のプレイヤーとは全く違う。
何だか僕だけがこの同じゲームの世界で「別の」ゲームをさせられているような、そんな感覚なのだ。
「それでも僕は投げ出す気は無いけどね。」
そんな一言を口にして先ず僕はショートソードの損耗を専門家に見て貰うために武器屋へと足を向けるのだった。




