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何で俺だけ  作者: コンソン
「僕」
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何で僕だけ「生かさず殺さずと」

 あの初めて街の外に出た時から早いモノで一週間が経過している。最初の一回目を除きあれから三度街の外に出ている。

 ゴブリンを一撃で仕留めたその翌日には師匠から徹底的な「修正」を入れられた。三時間みっちりとショートソードと盾の連携攻撃を。

 その日はそれで終了した。したがその後で僕は自主練でその内容を復習したりした。もう下手な失敗を二度と繰り返さない様に、念入りに。


 そんな翌日には街の外に出てゴブリンを相手にする事になった。最悪なパターンで、もう外に連れて行って貰えない事も考えたりしたが、無事にこうして二回目の外になったのだ。


 そこで僕はゴブリンを生かさず殺さずで、教わった剣技と盾の扱いをゴブリンへと叩き付ける。

 コレがもの凄く難しい。ゴブリンは最弱の類の魔物であるのだが、力加減を考えなければ前回の様に一撃で殺してしまうし、それを回避しようとすると師匠から檄が飛ぶ。罵倒の言葉と共に。

 ソレを解消するためにもどうしたら良いのかに頭をフル回転して出した答えが「微小なダメージを与える様に斬っていく」であった。


 ゴブリンの薄皮一枚を狙い目標にしてそこへと全力で攻撃を仕掛ける。もちろんそう言った事を正確に剣を切りつける技術は難しい。そして盾も使用しなければならないのでゴブリンの方からの攻撃も受け止めなければならないのはかなりのシンドイ作業だった。

 だからこそ間合いを量ると言う技量も勘も養えたのだが。それでも失敗して余りにも一度で深手を負わせてしまうと倒してしまうし、もしくは逃げ出されてしまったりもするだろう。

 そこの見極めが神経を非常に使った。師匠からは危なくなれば助けるから思いっきりやってこいとは言われたが、寧ろ自分の命を心配するどころかゴブリンの方のダメージ計算が必要だった。

 かなりの高難易度のイベントだ。僕はこれに必死にしがみ付いて二回目のゴブリン討伐を成功させる事ができた。しかしギリギリではあったが。

 最後に逃げ出そうとしたゴブリンへと走り込んでシールドバッシュを叩きこんでの勝利だった。師匠より教わった技術を全て最低でも一度は実行してからの討伐はこうして二回目にして初成功を収めたのだが。


「ふむ、まあ、最初はこんなものじゃろ。帰るぞ。」


 の言葉しか掛けて貰えなかったのは結構悔しく感じた。次回からはもっと上手くやる、そんな気合を入れた事をハッキリと今も覚えている。


 そうして時には三時間みっちりの訓練、街の外に出てのゴブリンとの戦闘を繰り返して今現在である。

 今は槍の訓練、戦闘に変わり、ゴブリンを目の前にしている。

 ショートソードと盾の組み合わせは一旦の合格を得られたのだ。そして今度は槍の扱いを上手くなれと師匠は言う。


「どんな武器でも使える様にならなけりゃここぞと言う場面で自分が死ぬだけじゃ。切れる手札の数があればあるほどに戦略も増やせるし、死なずに済む場面もあるじゃろ。精進せい。」


 そもそも戦士の中でも何の武器を中心に使っていたかによってはジョブに「派生」が出るのだ。特化型と言って良いだろう。

 槍を得意としていればその特化型の「槍闘士」などと言った感じだ。そう言った特化型になった場合、その武器で攻撃するとボーナスが付いたりする。

 しかしそれ以外での武器を使っての攻撃は軒並みダメージが下がると言った具合だ。


(一つに特化していると確かに特定の場面では強いと言った事はあるけど。それがハマらない場面では尽くに役に立たなくなると言った面もあるか)


 だからといって余りにも多くに手を出し過ぎて「器用貧乏」になったのではこれも面白く無い事だ。

 だけども今の僕の状況でそんな心配をしても無駄だ。今は目の前の事をしっかりと一つずつ熟していく事が肝要である。

 何せここでこのイベントが「失敗扱い」になってしまえばもしかすればこの街から僕はずっと外に出られない事になる可能性がある。


 しかしコレがいつ終了になるのかが僕にはさっぱり見当がつかない。


「ゲーマーと自称する僕がそんな事で弱音を吐いてなんていられない。」

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