何で僕だけ「目指せダイエット」
今、現実の方でも自分を変える為にしている事がある。それは筋トレだ。
ゲームの中で僕はこのだらしのない体型を晒す覚悟をしたが、ゲームの中だけではまだ足りないと思った。
師匠にはこの丸っと太った体型で素手の戦闘、格闘技は無理だと言われてしまった。その他にも無理と言われたモノは幾つかある。ならば変えなくてはならない。
僕を罵るのがNPCであるとは言え、散々言われっぱなしでいて少々悔しいと思う部分があった。だったらそのままにして置いて良いはずが無い。
僕はこのゲームを切っ掛けに「変わる」事を願った、願っていた。ならばここでこの気持ちを利用して先ず手始めに自分に自信が持てる身体づくりをし始めるのだ。
現実も、ゲームの中でも、両方で僕は変わるのだ。
「そしてネットで調べるのは楽して超簡単!これでアナタも引き締めボディにチェンジ!とか。なんだか馬鹿らしくなってきた。」
一日一回十分でオーケー!といった謳い文句で公開されているダイエット情報を見てソレを忠実に熟す。
朝起きてすぐ、昼食を摂る前、夜の寝る前。三倍である。馬鹿らしくなってきたとぼやいたりしたが、真面目に熟し続けて三日坊主にならずにいられている。
一日一回というのでは足りない、それくらいに僕の身体はあらゆる部分に脂肪が付いている。
ならばソレを落とすのに人の何倍も努力せねばならないのは明白だ。これまで甘やかされ、怠惰を極めていた僕だ。今更長年溜まって来た脂肪を消して体型を変える何て相当な覚悟を要する。
それでもゲームの中での訓練で鍛え上げられていった精神はこれを耐えられるだけの忍耐を齎してくれていた。師匠様様である。
ゲームの中とは言え、三時間ぶっ通しでの素振り訓練は相当な精神的タフさが必要だった。そしてこの訓練は現実の世界の僕の身体にも少々の影響を与えていたのだ。
そう、師匠からずっと鋭い視線を突き刺され続けていて緊張をずっとする。そうするとソレが現実のベッドに横になっている体の方にもその影響らしいモノが見られたのだ。
そう、筋肉痛だ。僅かではあったのだがそれらは師匠の下で訓練を続けている期間ずっとおきていた。
ゲームの中の感覚、緊張感が現実の身体にも表れるとは思ってもみなかったのだが、それは後に調べたらこの最先端のゲームベッドの機能の一つらしかった。「よりリアルな体験を」といった宣伝で売られており、これに僕は「安全性は大丈夫か?」と疑問に思った。まあ、そこら辺をクリアしているからこそ発売しているのだから素人の僕がそんな心配をするのは無駄である。
「僕は変われない。だけど、変わりたいんだ。」
きっとこれからも家から出ない。「引きこもり」は変えられないだろう。だけどずっと長年、今まで抱え続けて来ていたこの重たい身体くらいは軽くできやしないだろうか?
ソレはきっとできるのだ。今までソレを行おうとしてきた事が無い、切っ掛けが無かっただけに過ぎない。
今僕は師匠から教われる事は全部熟してこのゲームの攻略を始めたいと強く思い始めていた。
「あれ?このゲームってそもそも最初に決定されたアバターの体型って変えられるのか?現実の体型の変化ってアバターに反映されるの?影響とか出るの?分からない・・・格闘を教わるにはきっと「痩せ」ないといけなんだろうけど・・・課金で体型を変えれば今のままでも教われるんじゃ?」
そう気づいて、とある日の朝の日課を熟してからログインしてシステムメニューから課金アイテムをチェックした事もある。しかし。
「・・・あった!なんだ、できそうじゃ・・・ん?なに?貴方のアカウントはこのアイテムを購入できません?・・・はぁ!?」
全くどう言う事なのかがさっぱりだ。この運営は一体何を考えているのだろうか?
「他にもいくつかの課金アイテムが購入できない・・・分からない。何でこうなってるんだ?」
運営に訴えようと思った。しかしきっとこれも「無職」というジョブの仕様などと言われたらそれまでだ。
それに今は運営にクレームを入れる事をするよりもこの訓練イベントを無事に最高評価でやり切るのが大事だと思い直している。
ソレが達成できた時に僕はきっとそこで初めて本当の意味でこのゲームのスタートラインに立てるのだ。
「よし!今日もやってやるぞ!」




