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何で俺だけ  作者: コンソン
「僕」
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何で僕だけ「失敗」

 一撃でゴブリンの頭部を割る。一直線でゴブリンへと向かい、そして剣を振りかぶって落とす。単純な動きではあったが、初めてこのゲームで魔物を倒せた事が僕には凄く体が打ち震える程に嬉しい事だったのだが。


 しかし怒られた。


「馬鹿者が!ワシは最初に何と言ったか覚えておらんかったのか!この愚図め!」


 何でここまで馬鹿にされなきゃいけないのかが最初解らなかった。魔物、ゴブリンを倒せたのだからそれでいいのでは?と。

 だけどこの考え方はそもそも「ゲームを遊んでいる」感覚のままだと言う事だ。僕は今何しにここに来たのかを忘れていると言う事だ。

 訓練、それも魔物を使っての戦闘訓練だ。魔物を倒す事が目的では無かった。一撃で倒す練習でも無ければ経験値を稼いでレベルアップする為でも無い。


「もう今日は終わりじゃ。さっさと戻るぞ。今の貴様は浮かれ過ぎておる。頭を冷やせ。間抜けめ。」


 こうして初めて街の外に出た時間はこうもあっさりと終わりを告げた。師匠を超不機嫌にさせてしまった。

 この日は戻っても師匠から続きの修行を付けて貰えずに放置されてしまった。


(興奮し過ぎてこの「イベント」を張り切り過ぎた。そうだった。まだまだコレは訓練の一環であって、僕は本格的に独り立ちできてる訳じゃ無い)


 師匠の下での訓練はまだ卒業した訳じゃ無いのだ。僕はまだ冒険者に成れていないのに外で迂闊にもはしゃぎ過ぎたのだ。

 未だこの身は師匠の管理の下に有る。それを忘れて勝手をやったのでは怒られて当然だ。


『教えは覚えておるな?先ずはそれらを全て駆使してゴブリンを仕留めるんじゃ。全部出し尽くせ。』


 これだ。そう、教えを全て駆使してそれらを出し切ってから仕留める、この手順を辿らないと駄目なのだ。

 ゴブリン相手に訓練、今までは素振りや言葉で指導を受けていたが、これらを実戦で身につくようにする為の相手なのだ。

 ソレを一撃で仕留めて喜んで浮かれていた僕は只のアホだ。翌日からは気を引き締め直さねばならない。

 そして今日という日をこれで無駄にしたと言っても良い。それを少しでも埋めるために師匠の家に戻って来てから僕は師匠から教わった事を最初から復習して剣を振る。自主練だ。


 これまでは三時間みっちりと訓練を受けていたのでその後は何もヤル気にならない程に疲れていたが、今日は別だ。何の疲れも無いままに街の外から帰って来てしまったのだから。


 明日に備えて剣の振りを一つ一つ確認しながら自主練を続ける。


「くっそ!もし回数制限とかが掛かっていたら一回分これで無駄にしたって事になるんだよな!?やっちまった!油断した!浮かれて迂闊に行動し過ぎた!」


 このゲームは自分が今までやって来た他のゲームとは一線を画すモノだと言うのはもう理解している。

 何が、といわれると具体的には何処がといえないが、それでも自分が体験してきたモノと全く違うと感じるのだ。

 この感覚を大事にしていかないとこの先も同じ失敗をしてしまいそうだ。


 こうしてこの日はずっと自主練で剣を振り続けてからログアウトをした。

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