何で僕だけ「再びの冒険者ギルド」
冒険者ギルドで雇えば良い。僕はそんな簡単な事を今まで思いつかなかった事に呆れた。
しかしこれにもまた手厳しい返しが待っていた。
「依頼は街の外での活動の護衛と言う事ですが、難しいですね。」
「あの、何ででしょうか?理由をお聞きしたいんですが。」
受付に相談して依頼を出したいと言ったら早速手続きをすると言う事でこちらの要求を説明したのだが。
「そもそも先ず、この街の周囲に出て護衛、ですよね?その様な依頼を受ける冒険者は皆無でしょう。こんな依頼をしたいとおっしゃった方は貴方が初めてですね。」
僕はこれに内心で「えー?」となる。顔には出さない。
「この街の周囲に出る魔物を考えるとですね、どんなジョブを持っていたとしても負ける要素がありません。それこそ、生産職の方であってもです。レア魔物が出てきた場合は多少そこら辺は変わるでしょうが、それでも危険は極低いのです。街の外に出て護衛、しかもそんな弱い魔物から身を守って欲しいと言うのは少々・・・」
「あの、前にも僕はここに登録しようと来た事があるのですが、「無職」だからと言う事でできないと断られたんですけど。」
「あー、そうなんですね・・・確かに、幾ら何でも無職の方は登録は無理ですねぇ。」
僕はこの無職のせいで門番から止められて外にも出られない事を告げる。そして自分はプレイヤーで、魔物を倒してレベル上げもしない事にはどうにもならないとも。
受付NPCはうーん、と唸って僕の事情を理解した上で悩んでくれている。まあこれもイベントの一つで悩んでいる演出なだけという形かもしれない。
「護衛依頼なら隣街までの道中、と言った形にならできそうではありますが、それでも少々厳しいかもしれません。雇う冒険者のランクと人数によりますが、金額がかなりのモノになりますからその場合は。」
今の僕の所持金では相当な無理がある額を提示された。確かにこれでは現実的では無い。
ここで僕はまた思考の方向転換をする。それをこの受付に話してみた。
「あの、無職の僕でも冒険者として登録できるようになるにはどうすればいいですか?」
「・・・え?無職の方が冒険者登録ですか?あー、そうなると最低限の強さを確保できていると見なせる事ができれば何とかできるとは思いますが。」
「では、僕が強くなるためにはどの様な方法があったりしますか?ここのギルドで僕を強くしてくれるよう依頼を出せば誰かがその依頼を受けてくれるでしょうか?」
やっとここで話が回って来たと言う手応えを僕は感じられた。
「うーん、とですね・・・そうなると・・・あー、えーっと、ハイはいハイ。」
受け付けはこの求めをしっかりと受け止めてくれたようで色々な資料を棚から持ち出して来て広げて調べ始めてくれた。
前回来た時に対応してくれた受付は滅茶苦茶美人だったのだが、しかし滅茶苦茶機械的な受け答えしかしてくれなくて冷たい対応だった。
だけども今目の前で書類を作成してくれている受付は僕の悩みに寄り添って対応してくれている。
(何なんだろうかこの差は?でも、そんな事は今更関係無いな。おそらくだけどこのまま行けば上手くすると次は戦闘訓練とかかな?)
きっとソレを終えれば僕は冒険者として登録をしてこの街からやっと出られるようになるんだろう。
そうなればやっと本格的に悪魔王編のストーリーを進められる、そんな風に思って少しだけ浮かれながら出来上がった書類に僕はサインをした。




