何で僕だけ「壁」
今僕はこの街の防壁を回っている。案内のNPCと共に。あの囲んできたNPCの一人が僕の申し出を受けてくれたのだ。前金で代金を先払いにしてこうして案内をして貰っていた。
そうして各所を回って最後に僕はこうして壁の一部から何とか外に出られそうな部分は何処かに無いかを見て回っているのだ。
その他にも何か怪しい家屋や重要NPCなどが居そうな場所の目星などもつけながらこの街を歩いていた。
「大体ここでもう回るだけ回ったぜ。ったくよ。変な奴だな、お前は。取り敢えず俺が案内できるのはこれくらいだ。じゃあな。」
僕との約束を守ってくれたこのNPCの若者には感謝だ。様々な所を回れて僕も楽しかった。
「有難う。大分参考になったよ。それじゃコレ、追加の報酬ね。僕の感謝の気持ち。また何かあったら頼むよ。」
追加で渡した代金を複雑そうな表情で受け取ったNPCは大通りの方へと消えて行った。
名前も知らない、聞こうともしなかったが彼の顔はもう覚えた。その内にまた何か聞きたい事ができたら探して見つけてみると言うのもアリだと思う。
「さて、考え方を変えないといけないな。外に出る方法は直接的な面で言うと、見つからなかった。ならもう少し回りくどい方法を考えないと駄目かもな。」
商店をめぐり、役所の場所を知り、食事処を知り、そして。
「生産プレイヤーが経営する店も何店か分かったからその内にそこで買い物も良いかもな。とは言え、今はそれどころじゃないか。」
探し探してこの街を守るための防壁を内側から見て回ったが、外に出られそうな抜け道なんて見つからなかった。
いよいよもってして僕の冒険の道は塞がれてしまったように思えた。でも諦められる訳が無い。
「・・・お?そうか!僕が直接外に出るにも「単独」だから出させて貰え無かったんだよな。無職じゃ無理だって言って門番に。転職しろって言われたけど、そのシステムはまだ導入されてないか、見つけられていない。そうなれば・・・」
仲間が必要だ。僕の思考はそこに辿り着く。しかし、コレは大問題を孕んでいた。
「僕と組んでくれそうなプレイヤーを探す・・・?相当な難易度になるぞ?でも、コレを乗り越えられなくちゃ始まらない事は確かだよね・・・」
僕を見たプレイヤーの反応を思い出す。誰もかれもが僕の事を拒絶する様な、馬鹿にした発言ばかりだ。
どの様に考えても僕とパーティを組んでくれそうにも無い。それ所か、そもそも他のプレイヤーとシステム上でパーティが組めるのかさえ怪しいと僕は感じ始めている。
NPCの僕への対応や言動からして、このゲームでは僕を「プレイヤー」として扱っていない様に感じたのだ。
プレイヤーは魔王を倒す為に神から遣わされた戦士であり、それにNPCは協力を惜しまないはずなのに、僕への対応はどれもこれも冷たい物ばかりだ。
例外と言うとこの悪魔王編のフラグ関連のNPCの会話だけ。これらは決められた情報を僕にもちゃんと丁寧に語ってくれる。
だけどもコレも一度フラグを起てた後ではそのNPCの僕への態度は冷たくなる。
こうなると僕とその他のプレイヤーは「同じなのか?」と言った疑問が浮かんでくる。そうなればシステム上もそこら辺の差異が関係してもしかすればパーティを組めないと言った可能性が存在する。
「今の僕でもちゃんとこの悪魔王編を遊べるようにはなっている事は確かなんだ。でも、NPCの僕への冷たい態度は一体何なんだろうか?・・・無職用の特殊な対応、だと言うのは何となくわかるんだけど・・・」
独り言が多くなってきている。敢えて言葉にして意識や意見を纏めて自分の声で耳にして再認識をすると言う手法というのも無くは無いが。
今の僕はこの手詰まり感に少々参って弱気になっている。誰の助けも期待できないと言う状況に思わず独り言を漏らしてしまっている状態だ。
これまでも一人専用ゲームでも弱音を吐いた事くらいは幾らでもある。別に一人が寂しいからと言った理由はその中には入っていない。そして今回も別にソロプレイに関しては何ら文句は無い。覚悟はちゃんともう完了している。
「協力者を求めるにしても他の方法を思いつかないと・・・ん?そう言えばソレをやれる方法があるじゃないか。」
早速僕は思い付いた方法を実践するためにその場所へと向かった。




