何で僕だけ「めげない」
途方に暮れた。斡旋所の受付はもう仕事が無いと言う。これまで熟してきた仕事の中で僕がこの街から外に出られるであろうヒントなんて一つも得られなかった。
ここには有用な情報は一つも無かったのだ。得られたものと言えば報酬で溜まったゲーム内通貨である。
それらを使って僕が装備を揃えた所で冒険者ギルドは僕を登録してはくれないだろう。
あそこでは「ジョブ」を見ていた。なので見た目だけを繕った所で無駄だ。無職である僕はこの先の目標を失った。
斡旋所の仕事を受け続けていれば何かしらのイベントが起こって現状が大幅に動くと見ていた僕の希望は断たれた事になる。
「だけど諦めない・・・そうだな。今までに受けて来た仕事内容で僕の仕事ぶりを気に入ってくれた所に正式に雇って貰えないかどうかを聞いてみるか。」
斡旋所からは何ら手がかりになるものは得られなかった。ならば他を探すのみだ。
そして僕は仕事をしていた中で洗濯の依頼をしてきた人物に会う気になった。
ソレは僕の仕事ぶりが真面目で丁寧だったから依頼人の目に留まったという理由だけだ。
「ごめんくださーい。先日に此処で斡旋所から仕事を受けて手伝いに来た者なのですが。」
僕はその家のヌシに面通りをして欲しい事を出てきた家人に伝える。そしてここで雇て貰えないかどうかも。
「あいやー、ごめんねえ。ついさっき人を雇っちゃったんだよ。もう少しだけ早く来てくれていたら君を採用しても良かったんだけどねぇ。」
断られてしまった。時間差だったらしい。正式な雇用契約をもう既に僕よりも早く来ていたその人物としてしまったと。
「そうなんですね。どうも有難うございました。失礼します。」
こうして僕は再びこのゲームで何をしていけばいいかを見失う。
「諦めない。けど、これはきついな。でも以前にやったクソゲーと比べれば遥かにマシだなコレは。」
もっと酷い内容のゲームを思い出して足に力を入れて歩き出す。今は何処に向かうでも無くフラフラと街の中を散策する事に決めた。
(この街にいる間の当面の目標は外に出る事。そうしたら、だ。その目標の足掛かりになるフラグでもヒントでもを見つけるのが今の最大の目的になる)
この街を隅々まで調べ尽くす。僕はそう方向を決めて首を左に右に、視線を上に下にとグルグルと動かし続けながら歩く。少しでも何かしらの兆しやヒントが無いかどうかを見逃さない様に。
もちろんこんな奇妙な動きをしていれば通りを歩くNPCにも、プレイヤーにも目につく訳で。
それでいて僕の体型は太っている。コレを見て余計にプレイヤーたちは僕の印象を強く持って忘れる事は無くなるだろう。
そんな時だ。狭い路地に入った時に僕へと声を掛ける者が現れた。
「おい!そこの!気持ち悪い動きをずっとしながら歩きやがって。迷惑だからやめろや!」
立ち止まった僕に近寄るのはどうにもこの街のNPCだ。プレイヤーでは無い。三人のNPCに僕は囲まれた。
「ん?迷惑?気持ち悪いと言う印象を与えちゃったのなら申し訳無いけど。それでも迷惑とまで言われる程の事をした覚えは無いんだけどな?」
「ふざけるなよテメェ・・・知ってるんだぞ俺たちはよ。斡旋所の仕事を立て続けに受け続けて無くしちまったのはテメエだろ。一体そんな事をして何が目的なんだ?ああ!?吐いて貰うぞ?ごらぁ!」
脅された。凄んで僕へと睨み顔で寄って来る三名のNPC。だが、僕にはコレが「オイシイ」と思えた。
「ねえ君たち、雇われてくれないかな?そうだな。ほらこれでこの街の事を案内して欲しいんだ。特に重要な施設とか、或いはここに近付くと危険とか。そう言った観光案内をして欲しいんだ。」




