何で僕だけ「始まりの街の反応」
「よし!今はコレを無視だ!悩んでも無駄っぽいから後々で性能とかは分かるだろ。掲示板で後でこのジョブの情報を探しても良いし。さて、このゲームのストーリーは今「悪魔王」編だったよな?確か正面真っすぐ、突き当りを左の建物に第一悪魔と戦うためのフラグを回収できるイベントがあったはず。」
既にその点の情報はかなりの拡散を見せていた。だけども僕はこれにちょっとだけ「おかしい」と言う感情を持っていた。
(僕は大分遅れての参戦だけど、それにしても最前線組が未だに一体も「数字付き」を倒せていないって)
僕はスタート出現地点から真っすぐに広場を歩いて進む。ここで周囲にいるプレイヤーたちの視線が僕へと集中しているのが分かる。ひそひそと僕の事を話題に上げている。
「おい、なんだコイツ?ヤバくね?」
「あんなアバターって、アリか?いや、流石にやり過ぎだろ。」
「アレって課金?逆じゃね?」
「嘘だろ?もしかしてデフォルトでアレか?」
「いやいや、流石にネタでしょ?って言うか、アレがデフォなら心底勇者。笑う。」
「俺は今まであんなプレイヤー見た事無い。」
「コイツ初期装備だけどさ?なんか違くね?」
「いや、こんなもんじゃね?つか、ジョブなんだよ。」
「あの体型で体当たりしてきたりとか?武闘家かなんかか?」
「お前笑わせんなよ。あのまま体当たりって・・・ぶふっ!ゴロゴロ回転して突進してくるのか?」
「新参かぁー。もう今は結構な情報流れてるし、育成はやり易そうだよね。」
「あんな体型でどんなジョブをやるっつーんだよ?笑わせんなって。」
「いや、もしかしたらあの体型でしか出てこないレアジョブとか存在するかもよ?」
「なんだよ?あのデブの体型でしか出てこないジョブって?想像できねーよ?」
「え?うーん?「バランスボール」とかじゃね?」
「ぶふっ!笑う!ソレはジョブじゃねぇ!」
そう、僕は太っている。太っているのだ。引きこもり、そして運動せず、食べて寝る、ゲームの繰り返しで。
コレが僕のコンプレックスだ。しかしこのゲームで僕は自分を曝け出す事を決めていた。
だからこれからあんな心無い事を言われても気にしない。目を付けられてこのゲーム内で虐めを受けたとしても挫けない。
この体型で僕はこのゲームの中で人との直接的なコミュニケーションを学んでいく。
「誰か話しかけろって。新人ちゃんによ。」
「いや、お前のパーティ確か一枠開いてただろ?お前が勧誘したら?」
「あれは寧ろ文字通りの肉壁にしかならんだろ。リアル肉壁ワロス。」
「お荷物過ぎる。あんなの連れて行ったら少しも道中進まないでヒイヒイ言ってそう。」
「暑そう、圧迫感ヤバい。あれは狭い通路通れませんわー。」
「壁に挟まって抜けないでもがいてる姿想像したら爆笑だったんだが?」
「ぎゃはははは!それ面白過ぎ!」
「アイツなんか真っすぐに進んでるけど、どこ行くつもりなんだ?」
「あ、左に曲がった。そっか、効率重視系ね。あそこで第一のフラグ起てるじゃん?そしたらそのまま回り込んでいくと初期の持ち金で買えるちょっとマシな装備を売ってる店があるんだよね。」
「あーなるほどねー。あんまりにもこの街にもう用事が無いからこの場所ってただのリスポーン地点とか思ってる。」
「悪魔王編とか言って新しくストーリが入った時はこの街の密度ヤバかったからね。」
「あー、伝説のアレね。蜘蛛の子を散らすとはあの事だった。」
そんな会話をするプレイヤーたちの中で一向に僕へと近づいて来る者は一人も居ない。
「おばあさん、お話を聞かせてもっらって良いですか?」
そんなプレイヤーたちを気にせずに僕は第一悪魔へと挑むためのフラグを持つNPCへと話しかけた。




