何で俺だけ「イケる!と言う手応え」
「いやー、ここ最近では魔族を見かけなくなったよなー。何でだろ?」
「それよりもさ、新しく導入された悪魔がキツイよな。それでもそこら辺でポップしたりする雑魚なら気持ち良く適度な手応えで狩れるから楽しいけど。」
「キツイって言っても数字が付いた悪魔だろ?」
「でもこの間掲示板に第四に挑んだってパーティが書き込みしてたぞ?攻略板だったかな?」
「え?話では第一すらも撃破報告出て無いのに?それって無理ゲーだろ?」
「そうそう、それなんだよなー。先ずは順番に数字付きを撃破しないと駄目なんじゃいか?序列って言うの?」
とあるパーティはついこの間に導入されたアップデートの話をしている。
運営が思いきり力を入れたであろうその最新の「遊び」はどうやらこのゲームの「新」ストーリーであるようだった。
魔王の方が全然進まない中でこれは思いきり大胆な事をしたとプレイヤーの間でもかなりの話題を攫っていた。
いつの間にか魔王のストーリーはプレイヤーたちに「ムリゲ」などと呼ばれてバランス崩壊だと批難の声が上がっていたのだ。それは少なくない数である。
そこに導入されたのがこの「悪魔王編」である。この事で再びプレイヤーに火が付いた。
始まりの街にプレイヤーが殺到。そして人海戦術で情報の収集をしていったのだ。
これを計画したプレイヤーは最前線組と呼ばれていた有名プレイヤーたちだ。
一気にこの悪魔王編を攻略して最前線に立ち、再びの栄光を得ようと画策した。
これに乗ったのは魔王ストーリーを批難した者たち。この計画が掲示板に開示された時には協力を惜しまないという声が多かった。
そして開始と共に動き出す。隠れた位置に居るNPCすら見つけ出してこの始まりの街に散らばるフラグを一気に起ち上げてしまう。
プレイヤーたちのそんな勢いがどうやら行き詰った時には既に「数字付き」と呼ばれるボスの立ち位置に居る悪魔の四番目までの挑戦できる状態にまでフラグを立ち上げていた。
この数字は第十まで存在するのだが、それはまだプレイヤーたちに広まってはいない。プレイヤーたちもどうやら今はまだ第四までしか情報が出ていないと言う結論で一旦は落ち着きを見せたのだが。
「なあ?これってどう思う?もしかして第一弾は「四」までしか作れてないとか?」
「いやー、もしかするとその「四」を倒さないと続きのフラグが起たないんじゃない?」
「その数字付きを一から四まで全部倒さないと駄目とか?」
「もしくは四までしかいない?」
「まだ運営が何弾までこの悪魔王編を作り込んでいるかだよなー。」
「今の状態までしか無いって言うのは無いと思うけどね。」
この時点で本当は運営は「最後まで」作り込んでいるなんて事をプレイヤー知る由も無い。そしてソレを全て今回に導入している事も。
そして余りにもプレイヤーの勢いがあり過ぎて慌てて運営が一時制限を仕込んだ事すらも分かりはしないのだ。
「で、俺たちは第二悪魔に挑んで死にそうなんですが?これは?」
「いやー俺たちも馬鹿の一員だった、って事で。ここはひとつ納得するしか無いね。」
このプレイヤーパーティは最近になってメンバー全員が強力な攻撃スキルを身に着けたので、一丁ここは試し切りだと言って無謀にもリーダーは悪魔「第二」に挑んでしまった。
調子コイた事をこの場の六名は心底後悔していた。しかし手応えも一緒に感じていた。
倒せない訳じゃ無い、しかし、今の自分たちには無理。
魔族との対峙の時には何でか勝てるビジョンは浮かばなかったが、この悪魔になら勝てる。
そんな感想を持っていた。誰もが自分の使用した大技の手応えでこの第二悪魔を倒せる手応えを感じたのだ。
だけども六人では足りない、そう、レイドを組んで人数を増やす必要がある。そんな感想である。
しかしこの手応えはそもそも最前線を走っていたトッププレイヤーたちが同じ感想を持たない訳が無い。
それで未だに第一にすら勝てていない状況は不可思議でもあると言うのは、この第二悪魔と戦っているプレイヤーたちも分かっていた。
弱点がある、それが解明できない限りこの「悪魔」には勝てない。ソレをまだこの時点で全プレイヤーの中で気付いている者は一握り程の数しかいない状態だった。
それ以外のプレイヤーたちはこの「倒せる」と言った手応えに惑わされていて、悪魔に挑んで返り討ちにあっている最中である。
悪魔が大きく息を吸ったかと思えばその身体がどんどんと膨れ上がっていく。いや、正確に言うならば肺、胸が風船のように膨らんでいた。
次の瞬間にこの六名のプレイヤー全員がこの悪魔から放たれた「ブレス」を食らう。
こうして今日も一つのパーティが悪魔に全滅させられたのだった。
次回、第二章「僕」編




