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何で俺だけ  作者: コンソン
「俺」
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何で俺だけ「パンが食べられないならお菓子を食べれば良いじゃない?」

「おーい、そっちはもう終わったか?」

「こっちは調整済み。向こうがまだ。」

「あ、こっちも今さっき最終確認終わったよ。」


「じゃあ、スタートさせるぞ?これでやっとストーリーが進む・・・のかぁ?」


 開発陣、そして運営は今大きな大きなプロジェクトを実行しようとしていた。

 ソレは「魔王に手を出せないなら、別のを立ち上げてしまおう」作戦だ。

 上からは魔王に手を出すなと言う命令が出ているので、その点からストーリーの進み具合が運営の方で調整が入れられずに困っていたのだ。

 プレイヤー内でも「魔王関連にはかかわらない方が身のため」などと言った風潮が出て来ており、それは確実に広まっていてメインの筋が全然進まないと言った事態を引き起こしていた。

 誰もかれもがサブクエストを探し、受け、そちらのクリアに必死。それは彼ら自身が強くなることに繋がっているからまだ良いのだが。

 最前線組と呼ばれていたストーリー攻略を中心に進めていたプレイヤーたちは足止めを大きく食らっている状況だった。


「そんな事ではプレイヤーの心が離れちまうからな。魔王の「替わり」を作ればこれも解消できそうだ。シミュレーションは散々やった。後は実行だけだ。」


 魔王でストーリーを進められなくなったのなら、そのストーリーを代用品に入れ替えて進めさせる。

 そうである。この理論で「悪魔王」が作り出された。今このゲームには二重にストーリーが組まれている状態になっているのだ。

 一方は「魔王」。もう一方は「悪魔王」と言う二本立てである。これまでのゲームには余り無い珍しい試みである。

 しかし運営と開発陣はかなりの回数シミュレーションを重ねた事で「これなら問題は無い」と判断して成功を確信した上でこの仕様をゲームへと取り込む事にした。


 この事が新たな嵐の導入になるとは露ほども考えていない。いや、考えたくは無かったのだと思われる。


「さて、プレイヤーたちにはこのアップデートも報せは出してある。この悪魔王のストーリーもキッチリ練った。今日の昼から導入だ。画面に張り付け。準備だ。微かなバグもズレも見逃すな。スパコンに頼りきりにならずに自分たちでも確認行為は怠るなよ?・・・さあ、時間だ。」


 こうしてプレイヤーたちに新たな燃料が投下される。これに真っ先に動き出したのは最前線組と呼ばれるプレイヤーたち。

 魔王のストーリーが進められない事にフラストレーションを溜めていた者たちが一気に悪魔王関連のストーリーの情報を搔き集め始める。

 あらゆる場所のNPC,もしくはダンジョンを虱潰しに捜索し始めた。これに焦る運営。


「ちょっと!この速度で行くと第一悪魔との戦闘が今日中に終わっちゃうよ!?」

「フラグが乱立している!第二を通り越して第四との戦闘にこのままだと突入するぞ!?」


 運営はプレイヤーの底力を甘く見ていた。そしてその人数も。数の暴力、とでも言えば良いだろうか?

 プレイヤーのレベルも考慮してかなりの力を持った敵「悪魔」を用意していたのだが、それがどんどんと撃破されてしまうかもしれない状況に追い込まれてしまう。「悪魔王」導入直後に。


「おい!重要悪魔との戦闘のフラグを一旦停止しろ!このままじゃ三日以内で悪魔王撃破の勢いだぞ!雑魚悪魔をその代わりにフィールドに多めに出せ!いや、溢れさせろ!」


「処理がこのままじゃ追いつかない!一旦メンテナンスを出した方が・・・」

「駄目だそれじゃ。プレイヤーの不満が一気にこっちに向かってくるそうなれば。電話対応の方がパンクする。メール問い合わせもだろうな。いや、炎上を通り越すだろソレは。できない相談だぜ。」


 大炎上と言う呼び方でも生温い、そんな事に追い込まれるのは運営は御免だった。

 必死になってコレを止めるためのプログラムを新たに組む。しかしシミュレーションでは可能だと思われた計算が尽くにプレイヤーにひっくり返されていく。

 ソレを修正、調整。追いかけっこは続く。この戦いを運営が制する事ができずに終わった場合、このゲームの寿命も大幅に縮まりかねない事態に追い込まれつつあった。


「やったぞ!一時的にでもプレイヤーの得られる情報を制限できた!ここから侵蝕は止められそうか!?」

「間に合ったのか!?詳しいフラグポイントのナンバーを!早く!」

「29!85!37!103!それとコード「11469038」!行けるか!?」


「間に合え・・・間に合えぇぇぇぇぇぇぇぇえええええ!」


 運営は今誰もかれもが上下関係無し、今この瞬間だけは文字通り一体となってプレイヤーとの戦いへと挑んでいる。そして。


「俺たちの・・・勝利だ!」


 こうして運営は新たに導入した「悪魔王」の件での戦いに一時の平穏を得たのだった。

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― 新着の感想 ―
[一言] 「魔王軍」が強すぎるだけでプレイヤー達は寧ろかなり強いんだよね...「魔王軍」が強すぎて霞んでいるだけで他のイベントとかもしっかり全部クリア出来たり「光の力」を入手できる人がいる程度には …
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