何で俺だけ「今後の見通しとぼやき」
バイゲルからの報告を聞いた後、俺は今日の日課をする。魔物の操作だ。
こうして玉座の封印を偶然にも解除したにもかかわらず、以前と変わらずに二体迄しか操作できていない。
「これはシステムが別と言う事なのか?玉座の間から出られたのはきっとこの封印が解かれたからだと思うんだけど。それでも門の外には出られないのがねぇ。」
マップに映った魔物のアイコン二体。コレを側に居たプレイヤーへとぶつける。
「あー、今回はどうやらプレイヤーが勝ったか。負けが混んでるなぁ。」
どうにもプレイヤーの強さが日に日に全体的に上がって行っている様に感じる日々だ。
彼らはレベルだけを上げる訳じゃ無く「ジョブ」の熟練度を上げて次々に新たな力も得ている。プレイヤーはジョブ熟練度を一定まで上げると強力なスキルを使えるようになるのだ。
第一ジョブだけでなく、第二ジョブと言う二つの違う、或いは同一のジョブを重ねる事で新たな「ジョブ」が派生したり、スキル同士がシナジーを以て威力が馬鹿げた物に変わると言ったプレイヤー独自の多種多様な強さがあるのだ。
その組み合わせは複雑怪奇、千差万別、組み合わせは無限、と運営もそう言った表現でこのゲームの「楽しさ」を表現している。
とは言え、やはりまだまだ「光の力」を得ているプレイヤーは極めて少ないらしく、掲示板の方になかなかその話題は上がってこない。
「光の力」はそれらと比べても別格なのである。掲示板で「光の力」を得たプレイヤーが少しだけコメントをしていたのを見かけている。
その発言はと言うと「ヤベエ」の一言に尽きる。と言うか、それしかコメントされていない。特定される事を恐れての事だろうと思われるが、たった一言だけ「光の力使ってみた。結論、ヤベエ」だけだったのだから、その威力は表現できない程に凄まじかったんだろうとしか予想できないが。
「もう危なくなってきた、と思っておいた方が良いな。」
俺は外に出てプレイヤーを狩る魔族たち、軍の引き上げ時だと判断した。これまでがもの凄く幸運だったと思って良いんだろう。
今の今までは被害と言える被害がこちらに一人も出ていない。だがこれからはこちらに死亡者が出る可能性が急激に高くなっていると感じる。
「思い立ったが吉日?使い方がちょっとズレてるか?・・・あーテステステス。皆、魔王からの命令です。今からを以てしてプレイヤー狩りを全面的に終了を宣言するよ。全員帰還して。」
俺は魔王通信で全体放送をする。便利である。魔王の専用システム一つでこうして連絡が漏れ無く可能なのだから。
この後は恐らく次々に魔族たちは帰還を果たすだろう。俺からの命令は皆絶対に守るみたいなので、勝手をして一人だけでプレイヤーを狩ると言う事も無いはずだ。
今この時にプレイヤーと戦闘をしている最中だったとしても即刻引き上げてくると思われる。
「ふー、さてと。外へ狩りに出かけていた魔族たちにお仕事を割り振らないといけないよなあ。戻って来ても「仕事無いよ」とか言うと滅茶苦茶落ち込む所が目に浮かんでくるし。」
軍属の魔族たちはミャウちゃんに洗の・・・もとい、徹底的な教育をけているので俺の為に何かをしたいと心底思ってくれているのだ。
なので戻って来ても何らかの仕事を割り振ってあげておかないと逆にストレスを感じさせてしまうと言う事になってしまっている。
「勘弁してほしいよミャウちゃん。俺はブラック企業を経営してるつもりは無いんだから。」
社畜精神、と言って良いモノかどうか?そもそも魔族にとってはプレイヤーをキルするのが使命みたいなモノである。
なので俺としてもポイント稼ぎのために彼らを出稼ぎに出したいのだが。それでも俺は彼ら魔族が一人でも死んで欲しくは無いと今も思っているので難しい所だ。
「ゲーム、なんだけどね。でも、しょうがないじゃん?情が移ったんだから。」
日課で操作できる魔物は別にどうでもいいのだ。あれはリポップする幾らでも。けれども魔族は復活できない。そこが一番大きい点だ。だから、失いたくは無い。
「ぼやきもここらへんにして、訓練所に行ってトレーニングでもするか。もやもやした気分の時には体を動かすのがスッキリするよな。ボッズ居るかな?」
俺はこうして訓練所へと向かう事にした。




