↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
何で俺だけ  作者: コンソン
「俺」
228/638

何で俺だけ「増える犠牲者」

 その攻撃をメリーは先程と同じ様に剣で受け止めようとする。しかしそのまま剣を叩き折られてしまった。

 それだけならまだしも、威力が落ちないプレイヤーの剣撃はそのままメリーを真っ二つにした。かと思われたが。


「ちくしょうがぁ!また消えやがった!カラクリはこれかよ!」


 メリーの姿は消えたのに、折られた剣だけはそのまま地面に落ちた。そして僅かにその剣にまとわりついている「糸」。

 そう、メリーは剣を持ってプレイヤーの前に現れたように見せかけただけ。実体は無く幻影。剣だけが実物でソレを糸で操っていた。


 大技後の硬直時間は長い。攻撃を振り切った事でそのままの姿勢でプレイヤーは5秒間はたっぷりと動けない。

 なのにそのプレイヤーの顔を近距離でまじまじと見つめる目が側に在る。メリーだ。

 ずっと無言でその五秒間をジッとプレイヤーを観察する事に費やしている。

 コレがプレイヤーには堪らなく重圧だった。5秒よりはるかに長い時間に感じられた。

 いつ攻撃されて致命傷を受けるか分からない。キルされてしまえばかなりレベルが下がる。

 森に来た当初の目的は素材回収だったはず。それがこの様な事になってしまってプレイヤーの心の中に後悔が浮かび始める。


「だらっしゃああああああ!」


 動けるようになると同時になりふり構わず剣を思いきり振り回すプレイヤー。それは自分のすぐ側まで接近しているメリーを追い払いたいが一心での乱雑に動かしている攻撃とも呼べない代物だった。


「フフフフ・・・楽しい時間はもうお終い。さようなら、バイバイ。」


 ソレは準備が整ったメリーの完璧なる一撃だった。この攻撃にプレイヤーは唖然とするしかない。何せどうして自分で自分の腹を剣で刺しているのかが理解できないからだ。


「うげぇ・・・なんだよこれは・・・ごふっ!」


 最初は剣の先だけだった。腹にめり込んでいるのは。だけども次第にプレイヤーは自身の意思とは関係無くその剣をズブリ、ずぶりとゆっくりとだが深く刺しこんでいく。


「う、そ・・・だろ?こんな、死に方・・・って!アリかよおおおおお!?」


 そのプレイヤーは光となって消えていく。理解不能、理不尽、心の中をその様な感想で一杯にして。

 そんなプレイヤーをもうメリーは見ていない。次の獲物が既に見つかっているからだ。そちらの方向へと顔を向けて美しい笑顔と共にこう言う。


「獲物が一杯来てくれて、メリー嬉しい。もっともっとたーくさん、魔王様の為にプレイヤーを狩りたいな?」


 いつの間にかこの場所を漂っていた白い霞は消え去っている。それは相手に様々な状態異常を引き起こすもので、メリーの魔法で生み出されていた。


 メリーの姿は森の中へ溶ける様に徐々に消えていく。


「私メリー、今、アナタの後ろにいるの。」


 姿を消す魔法でメリーは再び森に侵入したプレイヤーパーティの一人の背後に忍び寄る。

 この言葉で驚いたプレイヤーが後ろを勢い良く振り返る。

 このパーティも六人編成なのだが、残りの五人は森の奥を警戒していてこの仲間の行動を気付けない。


「ぎやあああああああ!?」


 そのプレイヤーが叫び声を上げてからやっと仲間たちはどうしたのかと振り返る。そこには光となって消えていく仲間の姿。その消えゆく仲間の顔は恐怖で引きつったまま。

 この間にもメリーは魔法で少しづつ霞を発生させていく。突然の事で固まったプレイヤーたちの事をあざ笑いながら。


「フフフフ・・・遊びましょう?遊びましょう?私メリーって言うの。宜しくね?」


 この森はメリーの庭、そして領域。容易な事では攻略できない。

 そして何の作戦も覚悟も無いプレイヤーがこうして犠牲者として刈り取られ増えていくのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。