何で俺だけ「楽しいスローライフ」
俺は今非常に充実している。あの封印解除から三ヶ月がもう過ぎていた。
その間にプレイヤーには三回程のイベント、それにコラボ、後はアップデートなどが盛り沢山でお届け!ってなモノだ。
しかしそれら全てが魔王の俺にはそこら辺一切の関係が無く、そして魔族関連の方にも何ら影響が無いものばかりだったのでゆっくりとスローライフを過ごさせて貰っていた。
そう、スローライフである。今俺はシミュレーションであっても今までの様なモノでは無く、心穏やかになれる遊びをしている。
畑仕事をして収穫できた野菜や果物に喜びを感じ。
鉱山で丸一日中カチコン、カチコンと鶴嘴を振るってレア鉱石を狙って掘ったり。
いつの間にか存在している家畜の世話に走り回り。
ドワーフに鍛冶を習いつつ一本のナイフを作り上げてみたり。
錬金術の初歩を学んで一番簡単なポーションを作ってみたり。
大きな湖があるのでそこで俺特性の料理を作ってピクニックしたり。
魔道具のアイデアを銀狐族と一緒になって捻り出そうと悩んだり。
軍事訓練に参加して大立ち回りをして運動をしたり。
子供らと一緒に森を駆けまわって鬼ごっこをして遊んだり。
その子供達に読み聞かせの為の絵本などをマイちゃんと一緒に製作したり。
ゲブガルと子供達の教育面での成長を促すための授業のカリキュラムを考えたり。
キリアスを面接して不満を抱えていないかどうかの聞き取りをするなど。
「いやー、俺ってばメチャンコこのゲームを遊べてるじゃん。いやー、この「魔王」になった時には考えもしなかったわー。」
そうやって俺が各所に出向くと最初は誰もが驚き、恐縮するのだが。何度も何度も俺が足しげく通って行けば皆直ぐに馴染んでくれた。
こんなイカツイ見た目の魔王だが、中身がコレだ。俺はちゃんと最初に言っておいたのだ。気を張らずに軽い気持ちで接して欲しいと。これを最初に伝えていたので受け入れが早かった。
言葉遣いなんて別に気にしない、その事をしっかりと広めておいた。寧ろ俺が積極的にこの様な軽い感じの喋り方をするので住民たちは段々と慣れていき、親しみを込めて話をしてくれるようになっていった。
ミャウちゃん、それと軍関連の魔族たちだけはキッチリカッチリを貫き通してきたり、と言った事もあるが。
「そんな中で、メリーの事だと思われる事件が掲示板内で結構な騒ぎになっている件について。」
「はっ!報告をさせて頂きます。以前に魔王様より魔力を込められ生まれた「メリー」は屋敷の周辺を警邏し、プレイヤーを発見次第に排除をする役目につけていまして。」
今俺は玉座の間でバイゲルからその点についての話を事情聴取していた。
そう、俺があの時に修理と言う事で魔力を込めたら自我が芽生えて、忠誠を誓われてしまったあの人形の事だ。
「あの後は一緒にバイゲルの守る拠点に一緒に戻ったんだよね?それで、そのー。メリーはその後、何て?」
メリーは自我を持つ。そして自分の意志があり、意見がある。だからだろうか?戻ってバイゲルに対して案を出してきたと言うのだ。
「はい。どうやら屋敷へと入られる前に事前に森の中でプレイヤー共を撃退してしまえないかといった事をメリーから提案されました。どうやら屋敷へと攻め入ってきたプレイヤーが各所を破壊してくる前にソレを止める事を考えての事であると。」
メリーが生まれた切っ掛け。それはプレイヤーがバイゲルを追い詰めた事だ。彼らは屋敷を破壊して回ると言う攻略法を独自に編み出したのだが。
それを今後もプレイヤーたちが仕掛けてくると屋敷の修繕や修理と言ったモノが追い付かないと言う事らしい。
「こっちから応援を出して短期間で屋敷をリフォームとか、建て直しも可能だと思うんだけど。」
「プレイヤーはその間攻めてこないと言えるでしょうか?多くの魔族が屋敷を修理しているのを見られてしまうと、ソレをプレイヤーが好機と捉えて即座に再び攻めてくる可能性も否定はできません。」
ひっそりと静かに直す。プレイヤーに「今だ!」と思わせる要素は極力見せずにおきたいと。
バイゲルの拘る部分だったりするんだろうここは。俺はそれに別に激しく反対する気はサラサラ無いのでここではこの点はこれ以上は深く聞かずにおく。
「じゃあその点は良いとして。メリーの事を聞かせてくれる?」




