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何で俺だけ  作者: コンソン
「俺」
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何で俺だけ「お別れはこの手で」

 どうやらかなり深く意識を刈り取ってしまったらしくラーギッドはまだ起き上がって来ていない。

 目が覚める前にどうにか暴れられない様に縛っておきたかったのだがそれもどうやら無理である様子。


「どうしようか?せめてラーギッドが静かになる様に出来たら良かったんだけどなー?」


「ソレは・・・無理かと思われます。こやつの言葉を魔王様も直接お聞きになられている様に、この者は上に立つ者の「器」を擁してはいません。」


 ミャウちゃんが俺にバッサリとそう言い切った。確かにこのラーギッドが「王」の器を持っているとは言えないと思う。

 持っているとしても、王は王でも暴虐をメインにするおおよそ敬われるのではなく、只々に恐れられるモノになるだろう。


「ここまで、なんだろうな、こいつは。」


 俺は悲しい気持ちになってそう呟いた。俺がもしこのゲームで「魔王」などにならなかったら、きっとこのラーギッドがこのままこの玉座に座ってこのゲームでの本来の「魔王」になっていたのだろうか?


 玉座にもたれかかったままの目を覚まさないラーギットを俺は見つめる。そして近づく。


「恨むなよ?まあ、お前の性格上きっと逆恨みするんだろうけど。もうこれ以上はお前をほっとく事ができなくなっちゃったよ。」


 ミャウちゃんが殺されそうになった。それだけで俺はこのラーギッドを始末しなければならない。

 生かしておいてこのまま逃がした場合、後でまた改めて強くなって攻め入って来たりしたらと思うと、その時にどれだけの被害が出るかは予想は無理だ。

 出るのが怪我人くらいなら許せる。けれども、死人が出たりしたら話は変わる。俺はそうなったら自分が許せ無くなる。今回の件で結構そこら辺がギリギリだったのだ。これ以上の余裕はもう無い。

 それを思うだけで今、俺はラーギッドを殺す決心ができる。中身の「俺」としては本来ならボッズの信条に乗っかりたい所なのではあるが。


 ここに存在するのはもう「魔王」なのだ。背負っているモノがある。


「じゃあな。」


 俺は久しぶりに「刀」を抜いた。せめて全力で。そう思っての事だ。俺は刀に魔力を込める。

 自身の手で直接、こうして命を奪うのはこのゲーム内で初だ。プレイヤーは復活すると分かっているから別段何ら思う所は無い。

 しかし、ラーギッドは消滅してしまえばもう二度と復活する事は無い。そう思うと苦い物が俺の喉の奥にこみ上げるが、それは全力で無視する。


 そして魔力充填満タンと思った所で刀を振り切った。その一撃が入ったラーギッドは光に体を隅々まで一気に侵蝕されて弾けて消えた。その際に光が一緒にラーギッドの消滅と共に飛び出て来た。

 プレイヤーを殺し奪った「ポイント」なのだろう。青白く小さな光が玉座の間にパーッと広がる。

 その光景はラーギッドの性格からは想像もできない美しいものだ。けれども俺はこれに何となく悲しい気分になる。


「あーあ。この事はプレイヤーには広められないぞ?ラーギッドの代わりにプレイヤーを攪乱してくれそうなキャラ出てこないかな?」


 ラーギッドは良い意味でも悪い意味でも役に立っていてくれていた。しかし今こうして彼は消えてしまった。

 魔族へのヘイトを大分肩代わりしてくれていたのだラーギッドは今まで。それがもう今、居ない。

 そんな代わりになってくれるいい感じのキャラが今後に都合良く表れてくれないかな?などと俺は願う。


 と、ここでどうにもおかしい現象が起こっている事に俺は気が付いた。この部屋に充満する青白い小さな光が未だに消え去ったりしないのだ。

 俺はこれに「?」である。てっきりこの光も演出として少しづつ消えていくのかな?と思っていたのだが、どうにもそうでは無いらしかった。

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