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何で俺だけ  作者: コンソン
「俺」
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何で俺だけ「ボッズと言う魔族」

 ラーギッドを殺さないで済んだのは偏にボッズとの訓練の賜物であるだろう。

 かの筋肉馬鹿、脳筋魔族とはちょくちょく今まで格闘訓練をしていたのだ。

 このボッズ、戦えば戦う程に強くなる、どこぞの有名な漫画の主人公みたいな奴だった。

 当然訓練と言ったモノだけでは魔族の強さはそこまで上昇はしない。だけどもちゃんと「戦い方が上手くなる」と言う実績はある。

 そしてこのボッズ、その点が著しいのだ。成長性がずば抜けて高かった。


 因みに、本人の要望により、俺からポイントを振り込んだ「強化」をしていないボッズには。曰く。


『急に自分で苦労して得た訳じゃ無い力で強くなるのは勘違いとズレが大きくなり過ぎるのでやめてくれ。』


との事だった。それと追加で。


『いつか自分で鍛え上げた力で魔王様から一本取りてーんだ。あとミャウエルのアネさんからな。』


 との事である。そのセリフに俺は「どこのバトル漫画の熱血主人公だよ?」と突っ込みを入れようと思ったのだがコレをぐっと堪えた。そういうキャラなのであれば受け入れるしかないのである。


 そしてボッズはしょっちゅう「武者修行」と称してこの城から出て行く。

 この城の周辺の魔物と戦ったり、或いはプレイヤーが活動するフィールドに出て一騎打ちなどを申し込んで「試合」をするそうで。


 そんな行き当たりばったりな事をしていればその内に死にそうになる目にも合う訳で。


『そん時には全力を出し切ってから死ぬ。それでギリ生きてりゃ儲けもの。やられちまったらそれまでの男だったって事だ。』


 爽やかにそう言ってのけたボッズに俺は流石に「命大事に!」と叫んでいる。

 そしてそんな状況にボッズは一度以前に逢っている。


『ちょっと遠出をしたらプレイヤーが三人居てなぁ。近付いただけで一斉に襲われたぜ。そいつらどうやら俺たち魔族を殺すのに躍起になってるみたいだったんだよなー。』


 このボッズ、戦闘に入ると相手を殺す気で拳を撃ち込むし、それで相手が死亡をすればソレはそれと言うのだが。その一撃で相手が気絶して行動不能になったりすればそこでそれ以上の追撃をしないと言うのだ。


『先に俺が生殺与奪を得たんだ。それは相手よりも俺の方が強いっていう証拠だろ?それ以上は無駄に攻撃して殺すなんてツマラネエ真似はしねえ。』


 と言う事である。でも流石にこの三対一はかなりヤバかったようで。


『全力を出したぜ。あれは良い戦いだった。お互いに殺気バリバリでさ。俺も殺される気はサラサラ無かったし、最初から飛ばしてがむしゃらだった。』


 と傷だらけの身体で、しかもフラフラして玉座の間にボッズが来た時には流石に俺は慌てた。

 そして回復魔法を使える魔族を呼んでボッズの回復をと思ったのだ。だけどコレを本人が止めて来るのだからその時は心底びっくりした。しかもその理由にも。


『酷い傷で命やら後遺症がやべえと思う傷以外は治さねえようにしてるんだ。この痛みを受けてる間はよ?何でこんな攻撃受けちまったのか?とか、或いはもっと上手いやり方があったんじゃねーかってな。戦ってた時の事を鮮明に思い出せるんだわ。それをずっと傷が自然と治るまでの間を頭の中で繰り返す。そうすると実際に似た様な場面になった時に咄嗟の対応ができやすくなる。』


 要するに、傷の痛みでバトルシーンを思い出してイメージトレーニングにしている、と言った事らしいのだ。

 バトルジャンキーここに極まれり、である。思わずここで俺は「アホか!」と怒鳴ったくらいだ。そんな方法でイメトレなんて頭がイカレている。

 しかしそのボッズの考え、そして実行している自身が強くなるための手段を否定はしない。しないのだが、この時は流石に俺はボッズへと回復魔法を受けてくれとお願いした。


『あー、俺は魔王様の配下だもんなー。しょうがねえ。そう言われちゃ拒否もできねえや。その代わり直ぐに俺と訓練してくれ。痛みが無くなる代わりに。』


 このボッズの言葉に呆れてモノが言えなくなって大きな溜息と共に頷く俺。その時には一時間ぶっ通しで全力で向かってくるボッズ相手に俺はずっと付き合った。


「気絶させちゃったのは多分その時の経験が生きてるんだろうなー。で、ミャウちゃん、どう?拘束できそう?」


「・・・申し訳ありません。どうやらこのラーギッドの魔力がどんな拘束具も弾いてしまいまして。」


 先程から俺はこのラーギッドを牢屋にでも突っ込んで置けないかと拘束できる方法は無いか試していた。

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