何で俺だけ「重要キャラっぽい」
俺の身長はデカイ。そしてそれと比べるとラーギッドは小さい。リーチがそもそもあったのだ。
だからソレを埋める様にラーギッドはその魔力で固めて作った剣を倍以上の大きさにした。
しかし浅はかとしか言いようが無い対処法だ。届きにくい、ならば届きやすくすればいい。簡単な答えで、ある意味真理だったが。
ソレを扱うラーギッドの体捌きがなっていない。連続で三、四、五、とラーギッドは斬り掛かって来るが、それは俺が全て躱せるくらいのモノであった。
「ワザとじゃ無いんだよなぁ。なんかピリピリした空気が肌を指している様な・・・これが殺気とか言うやつなのかね?」
中身は一般人の俺がそんな目に見えないモノを感じられる様な鋭い感性を持ち合わせてはいない。
しかしここはゲームの世界で、そして俺は「魔王」だった。とすると、この感覚はゲーム的なシステムの中に組み込まれていて俺へとそう感じる様にしてある仕様なのだろう。
「埒が明かないな。なら、こっちから一撃入れないと駄目か。」
ラーギッドは疲れを見せずに連続で剣を振るってくる。話をしてくれるような状態じゃ無い。
俺はワザとラーギッドに隙を見せる。膝をほんの少しだけワザと崩したのだ。カクッと。
そこに「死ね」と叫んでラーギッドは斬り掛かって来るが、そんな分かり切った攻撃にカウンターを入れるのは簡単だ。
俺が見せた隙は罠であり、そこに攻撃してこい、と言う誘導をいれてあるのだから。
散々にミャウちゃんとの訓練でやられた事を俺がラーギッドに仕向ける。それは綺麗に決まった。
唐竹割、ラーギッドの攻撃は俺を真っ二つにしようとする意志がビンビンに込められた分かり易い一撃。
コレを躱すなんて今の俺なら朝飯前だった。身体をさっと横に滑らせるようにして向けて剣を避ける。その後は。
「ぐべぼっぉぉおはほぉ!?」
変な声を出しつつラーギッドは吹っ飛んで行く。俺が躱しざまにカウンターで居れたボディブローが綺麗に決まったからだ。
その場で膝を付く訳じゃ無く、威力があり過ぎてラーギッドは玉座へと吹き飛んだ。ズドン、そんな派手な音が玉座にぶつかった時に響く。
「どれだけなんだよ、そんなヤベェ音させるとか・・・まあ、良いか。死んだ?」
玉座はその場からピクリとも動かない。どれだけ頑丈なのだろうか?とは言え、確か以前にミャウちゃんがこの玉座に「魔王の翼」だったかが封印されていると言っていたので、これくらいで壊れたりなんてする柔な代物では無いんだろう。
ラーギッドはどうやら気絶したようで痙攣をして白目である。どうやら殺す程の威力を出さないで済んだようだが、しかし意識は保てなかったようだ。
「面倒臭い・・・これで大人しくなってくれていたらもうちょっとだけ話も出来ただろうけど。気絶、気絶ねえ?」
対応が難しい。意識があれば交渉もできたが、それは今無理。殺してしまっていれば、そこではい終了。
しかしそのどちらでも無い結果を出してしまった事に俺は反省する。
「殺したくは無い、って思っちゃったのが、今の状況を生み出してるんだろうなあ。もうちょっとしっかりと覚悟と決断はしないと駄目か。」
ラーギッドには聞きたい事が色々とあった。どうしてこいつだけがプレイヤーを倒して直接ポイントゲットできるのか?
コイツのキャラ背景はどんなストーリーを組んでいたりするのか?である。これだけの事ができるラーギッドだ。おそらくはこのゲームでもかなり重要キャラクターである事は間違いないはずだった。
ソレを殺してしまうのは勿体無い。それと、影響がどれくらい出るのかが分からない。迂闊にラーギッドをこのゲームの中から消してしまっても良いものだろうか?と。
「おーい、ミャウちゃん。入って来ても良いよ。さて、こいつを無力化して牢屋とかに入れておけないかなあ?」
俺はそうボヤキつつ「そんな手段は無さそうだ」などと思いながらそっと扉を開けて中を慎重に覗いて来るミャウちゃんへと視線を向けた。




