何で俺だけ「攻めてきよった」
どうやらこの間のプレイヤーの話はかなりの広まりを見せているようだ。
これに城の周囲の警戒、それと外壁の哨戒などの仕事を魔族たちに追加しなければならなくなりそうな感じだった。
「絶壁を登って来る奴らは早々は居ないと思うんだけど、どうかな?ここをこうした方が良い、とか、無い?良いアイデア。」
俺は今、玉座の間に四天王を呼んで防衛に関しての会議を開いている。書記はキリアスである。
一応はボッズ、ベルガーン、ミャウちゃん、ドワーフたち、エルフも居る。獣人の代表も数名ここに呼んでいた。
この会議では俺の事も、階級や偉い、偉くない関係無く自由に発言して欲しいとお願いしている。そう、お願いだ。
魔王の俺が何かを求めればソレは「命令」にもなってしまうが、一応はここは「お願い」として皆に伝えている。
そして議論も自由に、話し合いや内容の詰めなども一々俺に許可なんて取らずに各自の裁量に任せるといった形を取っている。
その代わりに関係各所にはちゃんと報連相を、と言う約束を厳守するように指示を出していた。
「番を置くのは少々あの場所には難しい。警邏をするにしても・・・」
「迎撃装置はどうでしょう?いや、設置が難しいかもしれませんね。いや、しかし・・・」
「警戒所を建てて見張りがあれば・・・隠密の術を使う者を看破できる者を置かねばならないですか。これは数が限られ・・・」
「警報装置は置けそうです。これには良い感じの設置場所があれば現実的になります。」
「罠を張っておくと言うのは?プレイヤーを特定の道へと誘導するような。相手の動きを制限させられれば予測もしやすい。」
「警戒されていない場所を探してプレイヤーは侵入してきますよね?ならばこちらから一つ、ワザとそう言った場所を作って誘い込むと言うのはどうでしょう?これもやれない事は無いですよね?」
「いやいや、今回入って来たプレイヤーのルートだけでは無い。その他の場所に関しても防衛計画を練り直さねばならんて。」
「入って来たプレイヤーの目的を読む事ができなければ、こちらが裏を掻かれかねない。プレイヤーのあらゆる行動を制限、或いは抑え込む事は難しい。警戒数を上げるしか無かろう。」
「取り敢えず見つけたらブッ飛ばせば良いんだろ?」
「発見次第に処理する。」
最後の二つの発言はボッズとベルガーンだ。シンプル・イズ・アホである。しかし真理もちょっとだけ含まれているので俺には何も突っ込めない。
「よし、それぞれが各自に良いと思った計画を進めてくれ。増員警戒も良し、罠良し、迎撃装置良し、行き当たりばったり良し、だ。皆、お疲れ。解散してくれ。」
この会議の後は俺はログアウトしている。翌日はいつも通りに出社、仕事をこなし、退社して、いつものように魔王へとログインだ。
しかし俺はここに攻めて来る奴は「プレイヤー」だとずっと思っていた。だから、翌日に起こった事は思考の死角を衝かれた気分だ。
玉座の間に来たら騒ぎが起こっている。ずっと待っていたんだろう。焦った様子のキリアスが安堵したように報告をする。
「ラーギッドが単独でこの城へと侵入してきました!今、精鋭たちが迎撃を試みていますが、奴を押し返す事ができません!寧ろ少しずつ押されてきております!」




