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何で俺だけ  作者: コンソン
「俺」
212/638

何で俺だけ「また逢う日まで」

 彼はこれでとうとうレベルが「1」になる。リスポーン地点に復活した際にこのプレイヤーの身体から赤い光が漏れ出て空に溶け消えていく。


「終わった・・・散々な目に遭った・・・もう、引退しようかな?しないにしても、暫くはインできないわ・・・」


 このプレイヤーが死亡した際、魔王へポイントが入っている。呪いに因るプレイヤーの死亡は攻撃判定となり魔王へとポイントが自動回収となっていた。

 そんな事は一切知らないこのプレイヤーは最後だと思って自らのした体験を全て赤裸々に掲示板へと投稿しようと思い立つ。

 せめて記録に残しておきたいと。自らの過ちを。そして少しでも魔王への仕返しにしたいと。

 あの城に入った事を喋らせないために呪いをかけて来たのだ。それがこうして無くなってしまった今、このプレイヤーを止めるモノは無い。


 自分が壁を苦労して乗り越えて魔王の城に独自の力で入り込んだ第一号。それを誇示したいと言った気持ちもあった。

 だが、掲示板のプレイヤーは冷ややかな反応をコレに見せる。


「やべえ頭の中してる馬鹿発見ワロス。」

「ある意味能天気な自殺志願者。」

「城の中の情報と引き換えにレベルが「1」になるとか、見合って無い。」

「誰も未だに見た事の無い景色が見れた?ソレはそれはようござんした。しかし、アナタの受けた呪いとやらは?それに見合うだけのペナルティでしたか?」

「あれほど魔族、魔王関連で掲示板ができていて「無理ゲー」って結論が出てるのに。見て無かったのか?読んでいなかったのか?この程度の情報も仕入れられない?有効活用できない?」

「やりたいようにやったんだろ?良いんじゃね?でも俺は御免だそんな体験。クソだろ?」

「勇気では無い。無謀でも無い。思慮が足りない、想像力も足りない。いわゆる、クソガキ脳。」

「俺も絶景ハンターだけど、コイツの行動は見習えない。」


 この意見に彼は心をバッキバキに、バリバリに砕かれてしまう。

 ソレを救い上げ、少しだけ立ち直らせたのはトップを走るプレイヤーたち。

 彼により一層の情報の開示を、城の内部の事を喋らせるために「よいしょ」をする。彼を褒め称えた。

 ソレはいつか攻め入る魔王の城の中を事前に情報収集しておくため。どんな情報でもこの様な掲示板でプレイヤーが「タダ」でペラペラと喋ってくれるなら、相手の気分を良くさせて口が回りやすくするために思ってもいない事を掲示板に打ち込むのだ。


「すげーじゃん!マジで。俺はお前を尊敬する!で、城の中ってどうだった?」

「えー?俺もその景色見たかったぜ?で、全景はどんな感じ?」

「魔族の迎撃を掻い潜る?まじで?どれだけ隠形系スキル上げてたん?魔王はどんな攻撃してきたん?」

「お前魔王に会いに行くとか勇気あり過ぎだろ。呪いってどうやって受けた?儀式系?魔力直接流される?」

「俺も観光してみたい!城の周囲ってどんな風だった?やっぱりファンタジー全開なお庭だった?植物園とかもあったりする?」

「良い景色とか、ファンタジー独自の景色とかはやっぱこう言う世界じゃ無いと見れないものだし?もし俺がレベル「1」になったとしても、またレベル上げしながらまだ行った事無い景色とか見に行くけどね。」


 上がったり下がったりする気持ちをどうにかこうにかコントロールし、この「不運」プレイヤーは書き込みを続ける。

 今だけは、この掲示板だけは、彼が主役になっていた。誰もが彼の書き込む体験へと注目をする。

 スレッドはかなりの速度で数を重ね、この話題はかなりの長い間プレイヤー間の中で続く事になる。


 だが、肝心の主役は全てを書き終えた後、最後の最後に「活動休止」の旨を最後に書き込んでゲームログインする事は無くなった。

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― 新着の感想 ―
[一言] 多分「呪いはまだ残っている」だろうからねぇ... 魔王の「少し力を込めた」呪いが「一度発動しただけで終わり」とは到底思えない
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