何で俺だけ「残酷とは?」
ここはとある別の場所。そこではモンスターと戦闘をしているプレイヤーたちが居た。
その中に魔法職のプレイヤーがド派手な魔法を放ってモンスターへと止めを刺す所だった。
「威力制限良し!込める魔力量良し!それじゃあ・・・いけえええええ!!」
このプレイヤーが使った魔法は大規模な隕石を落すド派手な魔法なのだが、威力を制限するスキル、使用魔力量を小さくするスキルを併用すると落ちてくる隕石の制御ができ、衝突した際の衝撃波での周囲の被害も少なくできる代物だった。
「・・・あ!ちょっと皆!警戒してくれ!魔力暴走起こした!」
「お前せっかく制御したのに何でそこで暴走引くんだよ笑える!」
魔力暴走とは凄く低確率で発動する。放った魔法の威力を上げる効果があるのだ。
普段ならこれに「ラッキー」くらいの気分になるプレイヤーたちだが、今は威力を抑えたとはいえ、強力な魔法を使った後だ。
この魔法で落ちてくる隕石は目標に当たるまでに時間が掛かる。そしてその攻撃が目標に当たった後に起こる衝撃波はプレイヤーを容赦無く吹き飛ばしてしまう。
そう、本来の威力で魔法を使うならこの森の木々を吹き飛ばすくらいは訳は無い魔法だ。
堕ちて来た隕石は二つ。上空遥か高い場所に燃える岩が見える。だが、そこでプレイヤーたちは「おかしい」と思った。
堕ちてくる隕石が二倍になった。魔力暴走で。それは分かった。だけども何故かその内の一つがこちらには落ちてこずにあらぬ方向へと向かって行くのが見えたのだ。
「これ、ヤバいんじゃねーか?」
そんな呟きは「不運」の呪いが掛かっているプレイヤーには聞こえない。聞こえるはずが無かった。
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ソレは空で燃え尽き掛けて今では握り拳程の大きさでしかない。しかしこのプレイヤーを殺すには充分な威力をたっぷりと内包していた。
魔力暴走は伊達じゃない。しかしそんな事など知る由も無い「不運」なプレイヤーはコレを避ける事すらできずに頭部へと直撃。リスポーンをする事になる。
周囲はこのド派手に「運悪く」隕石に当たって吹っ飛んだプレイヤーをなんだなんだと注目する。
再び復活を果たしたプレイヤーは光と共にリスポーン地点へと現れて即座に叫ぶ。
「のおおおおおおおおおおん!?何だよ今の!?こんな事あり得ないだろうが!どれだけの「運」だって言うんだよおおおお!?」
またしても死亡し、こうしてリスポーンを即座にした事でプレイヤーは錯乱しかけている。
「ステータス!ステータス!・・・ああああああ!またレベルが「1」下がってるぅ!?どうなってんのよ!?」
怒りと、困惑と、悲しみと、焦りと、不安と、他にも様々な感情が混ざり合って自分でも理解できなくなってしまったこのプレイヤーは走り出した。
直感でこの場に居たらまた何かが自分に降りかかって来るのでは?と。何かがおかしい、と。
「呪い!呪いって何て言われたっけ!思い出せ!思い出せ!えーっと!伝えたら駄目!俺は別に何も言って無かった!いや!もう発動してるって事はどっかで何か漏らしてた!?何だ!考えろ!」
もう今更遅いと言えども自分が納得できなければ今の状況すら受け入れられない。
そう思って必死に走りながらプレイヤーは教会に来る前の言葉を思い出す。リスポーンした直後の言葉。
「自分が!やられて!レベルが!下がった事を!叫んだ!・・・だあああああああああ!あんな一言だけでも駄目だったのかよ!冗談じゃねええええええええええ!」
怒りが湧き出て来る。どんどんと走りながら、走り続けながら。同時に少しでも止まってしまえばまた「不運」が自分を殺すのではないか?と。
怒りをエネルギーにしてプレイヤーは走り続ける。止まればまた自分はリスポーンさせられるのではないか?と言った強迫観念によって。
「不運が俺を殺すの!?それもレベルが「1」になるまで!?あり得ないって!ありえないって!そんな連続でぇ?」
そして呪いの効果を思い出していた。自分が死亡し続けて、リスポーンし続けて、レベルが「1」に落ちるまでこの呪いは解けないと言う事も。でもそんな事は「あり得て堪るか」と言う怒りも同時に持つ。
この時モンスターの出るフィールドへと既に出ていたプレイヤーは周囲の警戒を怠った。いや、怠るのもしょうがない。呪いの事で思考が一杯一杯だったのだから。
そして不運に見舞われる。このフィールドで最弱と言っても良い魔物。額に一本の立派な角を持ったウサギが草むらの陰から飛び出してきた。
咄嗟の事に避けられないプレイヤー。いや、違った。この魔物にすら気付けなかったくらいに別の事に集中していた。
どうやったらこの呪いは解けるのか?しかし今のこのプレイヤーの力では無理であった。せめて「光の力」を得ていれば何とか解呪もこの時点で出来た可能性は高かったのだが。
持っていないものはどうしようもないのである。
そして飛び出て来た角に腹を貫かれて絶命したプレイヤーはまたリスポーン地点、始まりの街へと戻って来てしまった。
そして絶望に打ちひしがれてしまい、膝を付く。顔は力無く上を向いてその表情は死んでいた。
この時に落ちたレベルは「20」だったのだが、レベルの下がり幅を確認する気力も無く、プレイヤーはこのままログアウトしたのだった。




