何で俺だけ「諦めてください」
「うわぁァぁァぁああんんん!一気に5レベルも下がったァぁァ!?くっそ!これだけ上げるのにドンダケの戦闘を繰り返して魔物ぶっ倒したと思ってんのよ!?なんなん!」
魔王に蹴られて消滅をさせられたプレイヤーはリスポーン地点の始まりの街で叫んだ。しかしコレは別段珍しい光景では無くなっていた。
そしてこの叫びでこのプレイヤーは呪いが発動してしまっている事を気付けない。伝えたら駄目、一切の自らの情報を他者への耳に入れる様な行為は禁じられていたのだ。
しかし思わずこのプレイヤーは周囲へと聞こえてしまうくらいの声量で叫んでいた。引っ掛かったのは5レベルも下がった事。本日自らが死亡判定を受けてリスポーンした事は厳しくもこの禁止条項に接触した、してしまっていた。この叫びはこのプレイヤーにとって迂闊であり、悲劇と言うしかない。
この叫びを聞いて周囲に居たプレイヤーは口を開くと。
「あー、また魔族にやられた被害者が叫んでら。ちょくちょく居るよな、運が悪い奴。俺まだ出会った事無いんだよな。」
「お前まだなの?俺なんてこの間アダマンタイト配ってた時に戦闘したぜ?で、結論は無理ゲーってな。でもゲットできた素材は上々だったから良いんだけどな。」
「キルされるとレベルダダ下がりでしょ?コレが一番キツイんだけどさ。どうやら、やられ方一つでレベルの下がり幅が変わるらしいよ?」
「デスペナがこのゲームで一番キツイ。俺この間「7」も下がったぜ?条件なんなんだよ?」
「あ、俺さ新たに発見されたモンスターと戦闘してやられちゃったけど、1レベルしか下がらんかったな?そん時はラッキー!って思った。だけどさ?「99」から「100」になるまでにドンダケ経験値必要か、モンスタードンダケの数倒せば良いんだよ?ってなったら一気に落ち込んだよね。」
そんな会話がプレイヤーたちの日常茶飯となっていた。周囲のその反応を知ってか知らずか、このプレイヤーは歩き出す。ぼやきながら。
「くっそー!こんなことならもっといろんな場所見て回れば良かったなー。さてと、「100」じゃ無いと入れない場所一杯あるのに。はぁ。レベル上げからだなあ。」
このプレイヤーの言った事は嘘では無かった。彼は確かにソロで様々な場所を見て回る事をこのゲームのメインとして遊んでいたのだ。
しかしレベルが一定まで到達していなければ入る事すら許されないフィールドが存在し、そう言った場所は大抵は「絶景」を見られる事から、このプレイヤーは泣く泣くまたのレベル上げを決心する。
「あー、誰かとパーティ組んで経験値稼ぎした方が効率いいかぁ。・・・その前に、この「呪い」ってヤツを解呪とかできないのかな?」
自分が受けた攻撃「呪い」を先ずはどうにかできないかと、このプレイヤーは始まりの街の教会へと向かった。
このまま迂闊に誰かに事の次第を喋ってしまえばこの呪いが発動してしまう。そうなれば自分の身がどの様な目に遭うかは分からないとしても、その結果はレベル「1」にまで下がってしまうだろうと言うのは確実だと直感していた。しかし既に呪いが発動している事は気付いていない。
「なんだよ「不幸」って。そんなので俺キルされるの?有り得ないだろ、いや、マジで。」
彼はこの時侮っていた。幾ら何でもその様な物で自分が死亡させられる、しかも何度も何度も、レベルが1になるまで。そんな事を信じられはしなかったのだ。
「すいませーん。呪われたんで、解呪をお願いします。お布施は幾ら払えば良いですかー?」
教会へと到着早々に中に入ってその要件を述べるプレイヤー。声の質は何処までも軽い。
そこで対応したのはこの教会での司教を務める「NPC」だった。
「はい、解呪でございますね?しかし、アナタは随分と珍しい。この様な時代に「呪い」を受ける程の何かを成されたのですな?いえ、中身までは詳しくはお聞きしません。さあ、こちらへどうぞ。」
プレイヤーは言われるがままに教会の奥へと案内される。お布施は成功報酬で良いと言われたのだが、次第にプレイヤーは不安を覚えていく。司教の言葉を思い出して。
(なんだろ?珍しいって?この様な時代に?どんな言回しコレ?俺めっちゃヤバい事したみたいな言われようだけど?)
教会の一番奥深くに案内されて小部屋へと入る事になったプレイヤーは驚いた。そこで見た物を。
それはこの世界にプレイヤーを召喚したと言われているこの世界の神の像。
「こちらに跪いてください。そして祈ってください。救って欲しいと。」
プレイヤーはその場で言われた通りの行動をした。そして心の中で言う。
(この呪い早い所解呪してくれー。これじゃオチオチパーティも組めない所か、他のプレイヤーと一切接触できねーわ。うんえー、よろ)
その祈りは適当で、システム的にこうすれば解けるんでしょ?と言った感じである。
別にソレが悪い訳では無かったのだが、司教からプレイヤーへと残酷な事実を述べられた。
「残念ですが、どうやらアナタの受けた呪いは強力過ぎて手に負えません。」
「・・・え?エエぇ?!」




