何で俺だけ「決断を」
2パーティのレイドで攻めてきているプレイヤーは当然二つに分かれている。
一つの盾の後ろに2パーティの人数、十二人が入れないと言うのもあるし、それだけのデカい盾が作れなかったと言うのもある。
そもそもそれだけの大きさの盾になれば構えて移動させる事が困難極まる重さとなる。貫通攻撃に対しての対策で厚みも出しているのだ。金属の塊なのである。
今も1パーティがすっぽりと庇える大きさの盾は非常に重量があり、三名が支え合って前進しているくらいだ。
二手に分かれての前進は作戦上も一纏めでいっぺんにやられてしまわない為と言うのもある。分散して一纏めに攻撃される可能性を避けているのだ。
とは言え、今は攻撃を受けたプレイヤー側だけが立ち止まり、もう一方の方は前進を仕掛けていた。
「俺たちは前に出る!そうすればお前らの方には攻撃を仕掛けてこないだろう。前へと出るだけ相手が俺たちに注目を集める。その間にお前らは態勢を一旦整えろ。直ぐに追いついて来いよ?時間を掛けたら負けだ。」
目標としている森の中にそびえる塔の中に入ってしまえば狙撃はもう使えない。相手の懐に入る事ができれば自分たちの勝ち。プレイヤーたちはそう考えていた。
「駄目だ!前に出るな!また魔力が高まってる!そっちが狙われるぞ!」
攻撃を受けて盾に穴を開けられたプレイヤーたちは木の陰に向かい一旦移動していた。重たい盾を一生懸命に動かして一番太い木の裏側へと隠れてその身を一旦より安全な場所へと置こうとして。
「ぐわっ!脚を射抜かれたぞ!?畜生!これって撤退を視野に入れないと駄目だろ!?」
「今はコレが精いっぱいなんだから文句言うなよ今更!アダマンタイトは今手に入らねえんだからしょうがないだろ!」
「コレは表層にアダマンタイトを入れたら防げそうだけどな。一時期安く仕入れる事ができていたはずなのに急激に値段が高くなりやがってよ!」
「未完成でも効果があると分かっただけ良かっただろ!ゴチャゴチャ言わずに回復魔法・・・はよ!」
一部のプレイヤー、この場合は商人をしているプレイヤーが出回っていたアダマンタイトを一気に大量に買い漁っていた。しかもその速度は電光石火。
徐々に市場に出回る相場値段が上がって行くような動きを出す事無く、一気にその買占めは行われた。そのせいでプレイヤーがその行動を起こしていると言う情報が出回るのが遅れた。
ライドルへと挑んでいるプレイヤーたちは盾に使う予定だったアダマンタイトを買い損ねたのだ、そのせいで。
今回ライドルはその商人プレイヤーに助けられている形、と言えるのだが、そんな事はライドルが知る由も無い。
脚を射抜かれた事で前に出ようとしていたプレイヤーの前進が止められた。
コレは偶々では無く狙った一撃、それをリーダーであろうプレイヤーがその可能性を疑う。そしてそうなったらと言う想定で相手の意図を見抜く。
「向こうは意図的に時間稼ぎを狙っている可能性がある!時間との戦いになるかもしれない!・・・覚悟はできているか!?」
以前に攻めた時に辿り着いたラインはまだ少ししか超えられていない。しかしここで既にこの作戦が失敗に終わりそうな予感をプレイヤーたちは感じた。
充分に彼らは優秀である。全滅を免れるために速めの撤退を決める事ができる精神力を秘めていた。
(随分と厄介な者たちだ。逃げる気は・・・無いらしいな。ならば徹底的にやり合うしかないか)
ライドルはプレイヤーたちの強さ、その勇気を称えた。プレイヤーたちが盾を構えて再び前進を始めたからだ。
しかしコレを受けてもライドルは怯んだりする事は無い。またしても最弱の威力の魔力弾を先程脚を打ち抜いた「穴」めがけて撃ち込む。
その弱い一撃、プレイヤーからしたら嫌がらせとしか思えない攻撃をその穴へとライドルは通した。
「ちっ!いってぇ!チマチマ削りにきやがって!」
「・・・おい、今の見えたか?まさか、だよな?俺たちの位置がずれたから見えたんだろうけど、同じ場所だ。貫通で開けた穴からスゲー細い光の線が走ったぞ?」
次にはその言葉を吐いたプレイヤーの腕が射抜かれた。
「やべえ!こっちの盾を抜くのにどれだけの魔力を込めれば良いのか相手が分かって来てる!発射感覚が狭まってる!」
「こうしちゃいられないぞ!全滅覚悟で突進するか!?あるいはここから必死の撤退をするか!?どっちにするお前ら!」
彼らは前回、撤退の決断が早く、大損害は免れていた。だからここでも早々に撤退をする。
そうライドルは踏んでいた。そうやって撤退をプレイヤーから引き出し追い詰める為に攻撃間隔を少々無理して早めていた。
魔力を溜めるのに力むと魔力操作に影響が出るのだが、それでもソレを犠牲にして貫通攻撃を仕掛けている。
プレイヤーがコレに取った行動は。




