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二回目の異世界転移ですが実質ニート  作者: 君影想
第二章 死を呼ぶ宴
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2‐2

「…なるほど。」


 素敵なお姉さんことジェイミーさんの話をざっくりと纏めると、今度の土曜日にここからちょっと離れたベゴウォードという町にあるソルト城で行われるパーティに一緒に来てくれないか、という内容だった。だがもちろん、その一緒に来て欲しい理由というのもデミアンさんのようにボッチになりたくないから、とかそういうダサい理由ではない。どうやら、そのパーティー…ヤバいらしいのだ。

 そのパーティーは何百年も昔から十年に一度行われているものらしいのだが、そのパーティーに参加した人間はかなりの高確率で忽然と消えてしまったり、死んでしまうらしい。その時点でだいぶ眉唾ものだし、そもそもそんなパーティー開催するなよと思うが、主催者側には主催者側にものっぴきならない事情があってそのパーティーを開催しているらしい。じゃあ、参加拒否は?と思ったのだが、参加拒否をすると死が高確率から確実になってしまうらしい。まぁ、まさに呪われたパーティーで、招待されたらもう詰みということで諦めるしかない。とはいっても素直に諦めるのは嫌だ!!…ということで、なんだか不思議な占い師におすすめされて、ジェイミーさんは私たちのことを探しにこの合コンパーティーまでわざわざ来たらしい。


「それで、あの…占い師って…。」

「不思議な方でした。いつのまにか風の様に消えてしまって。」

「ヒィイ!」


 話の間ずっと外を見つめていたデミアンさんが悲鳴を上げた。顔が真っ青なところを見ると、聞かないように頑張っていたが気になって結局全部聞いちゃったパターンだろうか。ホラー苦手な人あるある。私も昔そうだった。


「そいつの名前って…。」

「たしか…カぺ助と。」


 やっぱり!!なんなんだあの占い師!!私たちへの嫌がらせか!!…いや、むしろ仕事斡旋してくれてるしありがたい?…うーん、まぁなんともいえないけど一応感謝しておくか。


「その占い師はなんて…?」

「カヤコちゃんとデミアンくんに会いに行くといいよ、今度アラン・ガスター氏の家でやるコンパに来ると思うから…とおっしゃられて、あとはお二人の特徴などを教えてくださいました。」


 なんであいつ私たちのスケジュールまで把握してるんだ!!怖すぎるよ!!というか、なに勝手に私とデミアンさんをセットみたいに認定してるんだ!!やめてくれ!いくらイケメンでもこんなビビりかつケチな野郎とコンビとか最悪だよ。


「あの、この依頼…受けてくださいますか?」

「…えっとぉ、その前に…


 まぁ、なによりも大事なことってあるよね。うん。命の次かそれよりも大切な例のアレ。


「…報酬って、どんな感じですかねぇ?」


 デミアンさんの蔑むような視線が背中に突き刺さる。さっきまで死にそうな顔してたくせに!!

 …まぁ、そんなことはどうでもいい。一応これはお仕事だしね。仕方ないね。美人から金むしり取るのは心苦しいけどさ。仕方ない仕方ない。それにジェイミーさん…品もいいし、見た目からしてお金もありそう…おっといけない。


「…命がかかっています。まず前払いで10万メル。もし、私が生きて帰ることができたなら…百万メル…いかがですか?」

「喜んで!!!!」


 やっぱりジェイミーさんは見た目通りいい人だ!!好き!!こういう人のことが一番好きだ!!デミアンさんみたいな馬鹿とは大違いで大変ありがたい!!


「…あの、デミアンさんは?」

「いや、その…僕は…

「あ、そっちの馬鹿はオカルト相談室の者じゃなくて依頼者なので。」


 これでデミアンさんも連れていくことになって報酬を折半とかってなったら最悪だからね。連れていくわけないね。バイバイデミアンさん。


「きて、くださらないのですか…?」


 ジェイミーさんがうるうるお目目でデミアンさんに近づき、つぅっとデミアンさんの手の甲に指をつたわせる。

 そんなことをされてしまったデミアンさんは、先ほどまで青かった顔がボフンっと赤くなり、今にも湯気がでそうだ。

 どうしてイケメンなのにこんな女性耐性が低いんだ!…まぁ、でもこれぐらいの美人さんにこんなことされたら仕方ないのかもしれない。私もジェイミーさんにこんなことされたらタジタジになる自信がある。だが、私としてはジェイミーさんからの誘惑に耐えて行かないという選択をデミアンさんにはして欲しい。頑張れデミアンさん!私の報酬のために!


「あ、あ、あの…

「だめ…?」

「い、行きます!!!」


 …ま、だよね。うん。途中からわかってたよ。だが、私には最後の切り札がある!!


「でも、別にデミアンさんいなくても…

「霊感があるのはデミアンさんだけなんですよね?」


 うっ!!なんでそのことを!!…あの占い師か!!そうなんだろ!!くそう…!!

 

「…ま、そんな感じですね。」

「でしたら、もしその死の原因が幽霊だった場合あなただけでは厳しいのでは?」

「…デミアンさんは必要ですね。はい。」


 私がそういうと、思いなしかデミアンさんは少しだけ胸を張ったようにみえた。

 それがまたムカつくが…けっ!別にいいさ。…報酬は私多めね?あーゆーおーけー?

 

「だけど、明らか無関係な私たちがその晩餐会に一緒に参加しちゃっても大丈夫なんですか?」

「…たぶん大丈夫なのではないでしょうか。」

「たぶん、ですか…。」


 だったら…うーん…一応私たちがジェイミーさんと一緒に参加しても不自然ではないような理由をつけるべきな気がする。

 もし、そのパーティーの参加者が消える原因がその館主だった場合…というか、その可能性がMax高いと思うのだが、いきなり来た客人というのはあまり歓迎されない気がする。わざわざパーティーに行ったのに追い返されたりしたら最悪だ。

 で、だとしていきなり参加しても不自然じゃないジェイミーさんの同伴者ってどんな存在だろう。友達は不自然だろうし…うーん…。


「ジェイミーさんがもしよろしければ、私たちはジェイミーさんの使用人として行く…というのはいかがでしょうか?」

「えっ。」


 デミアンさんが「えっ、僕が使用人!?」という顔をしている気がするがそれは知らない。デミアンさんなんか私のいうことに黙って従っていればいいのだ。今回は依頼者どころか私の助手みたいなもんなんだから。まぁ、言ってしまえば助手でもなく単なる幽霊探知機だけど。

 

「…使用人、ですか…。」

「難しいですか?」

「いえ…。」

「そちらの方が不自然なく、ジェイミーさんの同伴者として入れると思いまして。」

「…わかりました。それでよろしくお願いいたします。」


 よし、よし。これでジェイミーさんがやたらびんぼったかったり、普段から下着は葉っぱです!!みたいな人だったら逆に不自然になるけど、彼女はかなり上品なお嬢さんだからたぶん大丈夫だろう。


「恰好が悩みどころですが…。」

「それは私がご用意させていただきます。」


 えっ、なにそれ。そういう趣味あったりするんすか?こんないかにもお嬢さんって見た目でメイドカフェのバイトとかしてるの?そのバイトなんか立場逆転してない?


「じゃあ、それはお言葉に甘えて…。」


 これでデミアンさんとかとおそろいになったら嫌だなぁ…と、思っていると、デミアンさんと目があった。なにやら攻撃的な目つきをしている。たぶん、ジェイミーさんの前なので猫を被っているが、本当は文句たらたらなのだろう。そうだね、デミアンくんはどちらかというとメイドカフェに行ったり、リアルなメイド雇ったりする側の人間だもんね。ま、すべてはジェイミーさんの誘惑に負けて、一緒に来ることを了承したデミアンさんが悪い。


「なんだか面白そうなお話してるねぇ。」


 どすん、と私の頭の上になにかが乗っかった。そしてなんとなく嗅ぎ覚えのあるホットミルクにバニラエッセンスを混ぜたような独特の香りが私を包み込む。

 …嫌な予感がする。


「刑事さん?」


 デミアンさんの驚いたような声が聞こえる。どうやら私の予想は正解だったらしい。できればあたってほしくなかった。


「…なんでここに…?」

「上司の命令でね~。遅刻しちゃって今ついたばっかなんだけどねぇ。なんか、ここの館の主のアンさん?だっけ?と僕の上司がお友達なんだって。」


 クロムさんに上司の命令に従うという概念があったことがなによりの驚きだけど、まぁ、上司の付き合いのためにクロムさんがここに召喚されたということだろう。この館の主の名前に関しては、そもそも男だった気がするからアンさんはほぼ確でありえないけど、私も正直名前覚えてないのでつっこむことはやめておくことにする。


「クロムさんも恋人いないんですね。顔はいいのに意外です。」


 もちろん嫌味だ。いくら顏がよくてもこんなやべえ男に彼女なんかいるわけない。彼氏も絶望的だろう。もしこいつにそういう恋人とかの類がいたらもう私は自分の顔と神に絶望する。人生顏なんだと素直に認める。

 と、煽ってみた私だが、クロムさんはなぜか満面の笑みだった。え、なにこの反応。


「うふふ、そう?」

「え、いや、まぁ予想通りですけど。」


 予想外すぎる反応にうっかり本音をもらしてしまった。

 だが、クロムさんの笑顔は変わらない。こぇえ。もしかして嫌味を嫌味と気づいてない&さっきの私の言葉を聞き間違えたとかってミラクルコンボかましたりとかしてる?まぁ、さっきの嫌味はわかりにくかっただろうし、気づかなくても普通なのかもだけど…。


「えっと、そちらの方は…?」

「クロムだよ。よろしくね。」

「刑事やってる知り合いです。」


 突如登場した大男にきょとんとしていたジェイミーさんが、ここで戸惑いがちに私たちに声をかけてきたので、軽くクロムさんの紹介をしておく。


「さっきの話聞いてたんだけど、僕もいっちゃだめ?」


 なにがだめ?だ!!ダメに決まってるよ!!コイツも報酬を狙ってるのか!!私の報酬を!!これ以上の分割は許さないからな!!


「一応僕警察の人間だし色々役にたてると思うんだけどなぁ~。」


 クロムさんが優し気な笑顔でジェイミーさんに語り掛ける。


「いやぁ、どうでしょうねぇ…。役にたちますかねぇ…?」

「僕は遠慮しておくことをおすすめします…。」


 デミアンさんとともに小声でジェイミーさんにクロムさんやめておきましょうコールを送る。デミアンさんとしてもクロムさんの同行はなんとか防ぎたいらしい。まぁ、トラウママシーンだしね!


「…わかりました。一緒に来ていただけますか?」

「わ~ありがとう☆」


 嬉しそうにぴょんぴょんとその場で飛び跳ねるクロムさんに対し、私たち二人は死んだ顏だ。もう終わった…。…なんてこった!!なんつー選択をしてくれてんだジェイミーさん!!


「ジェイミーさんの使用人のふりしなきゃですけど、大丈夫なんですか?」


 だいじょばないと言え…。

 クロムさんに演技は無理だ…きっとそうだ…。


「大丈夫☆」


 どこにそんな自信があるんだ!!キラキラした目でサムズアップすな!!くっそぉー!!


「…クロムさんのアh


 ゴーンゴン


 突然、大きな鐘の音が響いた。まるで、除夜の鐘のような…。その音はここから酷く近い場所から聞こえてきている気がする。


「…うるさ。」

「…三時の鐘ですね。」

「三時の鐘?」


 なんじゃそりゃ?おやつ食べようぜ!みたいな?


「この家では毎日三時に鐘をならす伝統があるんです。この鐘で街に三時を知らせるんですよ。」

「知らせてどうするんですか?」

「どうする…と言われましても…。」

「文明堂のカステラ食べる合図とかそういうのではないんですか?」


 ジェイミーさんはうーんといいながら首をかしげる。そんな姿も綺麗だな…なんて思っていたら、デミアンさんに脇を小突かれた。なんだと思って眉をしかめながらデミアンさんの方に向くと、デミアンさんもなぜか眉をしかめていた。そして小さな声で「馬鹿!ジェイミーさんを困らせるな!」といいながらどついてきた。

 いや、困らせてないし!!困らせて…ないよね?…困ってそうかも。とりあえず怒ってはなさそうだし、まぁいっか…と思いつつ軽く謝罪を述べる。


「いえ、お気になさらず。理由は特にないと思います。」


 へぇー、理由ないのか。…まぁ、考えて見れば理由のない伝統なんて結構あるしね。除夜の鐘だって、煩悩消えるとかいうけど聞いたところで正直「煩悩消えたな~!」なんて思うことないし、そういう風に考えると、除夜の鐘も意味のない伝統の一つだしまぁ伝統ってそんなもんだよね。というか煩悩消えるんだったらもう私ごと消えてるよね。


「…三時か…そろそろ帰らないと。」


 ジェイミーさんばぽつりといった


「もう帰っちゃうんですか?」

「はい。少し用事があって。」

「なるほど。」

 

 その後、次回会う約束を取り付けた後私たちはジェイミーさんと別れたのであった。

 ちなみにその後のコンパは一言でいうと地獄だった。なぜかクロムさんがたらとモテていて、それを見て気絶しそうになるデミアンさんを必死でなだめるという行為の繰り返しだった。ついでにクロムさんはなぜか私から離れようとせず、期せずしてモテ男を侍らせることとなった私は会場中の女性陣の目の敵となり、果てしなく居づらかった。デミアンさんが粘らなければ絶対帰ってた。これはどうでもいい話だが、デミアンさんが粘ったところで特に勝利も女性も彼のもとに訪れることはなかった。




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