↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
9/11

〜第八話 宮殿魔術師の傲慢と誤算〜

たかもろんの至近距離で、見習いの少女が放った【じゃじゃ馬の火焔(ワイルド・ファイア)】が狂暴な牙を剥く。紅蓮の炎が渦を巻き、全てを焼き尽くさんと爆発した。

だが――。『甘い。甘すぎるぜ。そんな不完全な魔力、俺の『虚無』の前に曝け出したのが運の尽きだ』

たかもろんのダガーが紫の軌跡を描き、爆炎の真っ芯を切り裂く。

次の瞬間、吹き荒れていた大火災が、まるで幻音だったかのように一瞬で「消滅」した。熱量も、爆風も、光すらも残らない。ただの不自然な静寂が森を支配する。

魔法使い見習い「嘘……私の魔法が、根こそぎ消された……!?」

神官「魔法そのものを消滅させたというのですか!? なんという不条理な力……!」

見習いが絶望に顔を引つらせ、神官がその異様さに戦慄する。たかもろんは冷酷な笑みを浮かべ、

完全に反撃の態勢へと移行した。紫の閃光を爆発させ、一歩で宮殿魔術師の間合いへと踏み込む。

宮殿魔術師「チッ……化け物め! だが、国の威信にかけてここで引くわけにはいかない!」

宮殿魔術師は自らのプライドを懸け、懐から神聖な刻印が刻まれたオーブを取り出した。

それは神殿の「神力」を直接引き出すための国家特級の魔道具だった。

宮殿魔術師「神の恩寵よ、不敬なる絶無を拒絶せよ!――【王権神授の絶対障壁】(レガリア・マキシマ)!!」

神殿からラインを伝って流れ込む膨大な神力が、宮殿魔術師の魔力と融合する。

先ほどとは比較にならない、黄金の神々しい光を放つ圧倒的な結界が展開され、

たかもろんの接近を力任せに弾き返した。

宮殿魔術師「終わりです、アクシスの首領。神の御前で塵に還りなさい……!」

宮殿魔術師の背後に、天界の門を模した巨大な光の魔法陣が浮かび上がる。

国家全土を揺るがすレベルの最強の戦術破壊魔術が、今まさに放たれようとしていた。

(クソッ、神力まで引き込みやがったか……! あんなの喰らったら、跡形もなく消し飛ばされる……!)肌を焼くような神聖な魔力のプレッシャーに、たかもろんは己の「死」を本能で確信した。

まともに受ければ確実に終わる。ならば、生き残る道はただ一つ。

『へっ……死に土産にしては上等すぎる大技だな。だが、神の力がなんだってんだ。俺の命と、どっちが重いか試してみようじゃねえか……!!』

たかもろんは自らの命を完全に削る覚悟を決め、深淵のさらに奥底へと意識を沈めた。――闇の神の力を、自らの肉体という器に直接宿す。

『開門。……深淵の主よ、全てを拒絶する『無』の帳をここに!!』

たかもろんの身体から、紫を通り越して「光を一切反射しない漆黒の泥」のような闇が噴き出した。その闇の波動が津波となって押し寄せ、空間を、概念を、そして――天からこの場に供給されていた「神力」のラインそのものを、力任せにブチブチと切断していく。

神官「なっ……神殿からの神力が、完全にシャットアウトされた!? 嘘でしょう、神との繋がりが消えるなんて……!」

宮殿魔術師「な、に……!? バカな、魔法陣が、維持できな……がはっっ!!?」

最強の魔法を放つ直前、エネルギー源である神力を完全に絶たれた宮殿魔術師に、

凄まじい反動(バックラッシュ)が襲いかかった。構築しかけた大魔術を維持するため、彼の肉体は強制的に「自らの体内マナ」を限界を超えて激しく消費し始める。

宮殿魔術師「ぐ、ああああああッ!! 馬鹿な……私の、私のマナが……干上がっていく……!!」

宮殿魔術師の顔から一気に血の気が引き、その場にガクリと膝をついた。一瞬にして魔力を吸い尽くされ、立っていることすらままならないダウン寸前の状態に陥る。

神官「宮殿魔術師様!? ……くっ、形勢が逆転したというのですか……!」

魔法使い見習い「そんな……あんな凄腕の人が、一瞬で……」

たかもろんもまた、闇の神の力を宿した反動で激しく息を切らせていたが、

その眼光の鋭さは失われていなかった。ダガーを構え直し、静かに宮殿魔術師たちへと歩みを進める。

神官「……ここまでですね。これ以上の戦闘は全滅を意味します。引きますよ!」

魔法使い見習い「で、でも……!」

神官「命あっての物種です! 宮殿魔術師様を担ぎなさい!」

神官は悔しげに歯を食いしばりながら、煙幕の神聖魔術を展開した。激しい光と霧が周囲を包み込む。

『チッ……逃げ足だけは一流だな』

霧が晴れたときには、既に宮殿魔術師たちの気配はカーム山の森の奥へと消えていた。

静寂を取り戻した森の中で、たかもろんは開眼(リージョンフォーム)を解除し、深く息を吐き出した。

ひとまずは、この危機を乗り越えたのだ。

少しでも「面白い!」「続きが気になる!」と思ってくださったら、ページ下部の【☆☆☆☆☆】(評価)やブックマークで応援していただけると、執筆の励みになります!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。