長居しない
マスカレード家が治める国に馬車が到着し、馬車が停まった。
「お客さん、此処に残るかい?それならすぐに出発するが——」
「残る気はない。待っててくれ」
ナプドノがそう応えた。
彼女の声が少し冷たいものだった。
「カブサットちゃん、行くよ」
彼女に促され、私も降りて歩きだす。
「此処には滞在しないの?」
「しない。あいつらに隙を見せるな。良いやつらじゃないから気をつけろ」
「うん……」
「ナプドノ様にカブサット様。主がお待ちです」
燕尾服に身を包んだ老人が声を掛けてきた。
老人に着いていき、屋敷に到着した。
メイドがある一室の扉を開け、中に入るように促され、頭を下げたメイドだった。
「おぉ、来てくれたな」
マスカレード家の当主が歓迎してくれた。当主の隣に座っているのはその娘だった。
私と彼女は近付き、跪いた。
「褒賞は金貨1000枚だ。受け取りたまえ」
執事が大きな麻袋を抱えていた。
執事から褒賞を受け取った彼女。
屋敷を後にした私とナプドノだった。
「予想よりも高額だったな」
「うん……」
「金貨500枚はカブサットちゃんのものだ。次の国に着いたら渡すよ」
「ありがとう……半分も倒してないけど、良いんですか?」
「稼ぐのなんて容易だ。カブサットちゃんの今後の旅のことを考えたら少ないな。さぁ、急ごう」
ナプドノが走り出したので、私も走り出した。
馬車に着いて、乗り込んで謝る彼女だった。
「待たせて済まない。さぁ行ってくれ」
「お客さん、護衛の冒険者を乗せた馬車は待たなくても——」
「まだ来てないのか。足止めをくらいたくないなら、行ってくれ」
「そういうことなら。ありゃあ」
馬車が動き出し、マスカレード家が治める国を出発した。
同乗者の冒険者は、顰めっ面で前を向いた。
マスカレード家の護衛についた冒険者はついてないな、とナプドノは思った。
今後マスカレード家とは関わりたくないな。貴族の中でも関わり合いたくない貴族の一つだ。
「どうしたの?」
「あぁ、なんでもない」
彼女と同じような思いを抱いているように感じる同乗者の冒険者だ。
「ナプドノさんは何処に住んでるの?」
「タンオックっていうとこだよ」
「あんた、タンオックの住人か!?ていうと……《堅き拳》っていう冒険者パーティの1人か?」
「《堅き拳》を知ってるのか?」
「有名人だぜ、当人がそんな感じだとは思わなかったぜ!」
顰めっ面の1人の男性冒険者が、タンオックと聞いて驚いた声をあげた。
男性冒険者の有名っていう言葉に、首を傾げたナプドノだった。
「有名か……」
マスカレード家の当主とその娘の名前を出さなかったのはいい名前が思いつかなかったからです。
それに今後出る予定は無いので。
名前が出ないのは思いつかなかったか出す気がなかったかです。




