家を出る
木精のナインマスに懐かれた翌日を迎えた。
私が起床すると、父から頬を叩かれた。
「カブサットぉっ、さっさと井戸に水を汲みに行けぇっ!」
「分かりました……」
私が玄関扉を開け、出ようとすると、チッと舌打ちをされた。
私は桶に井戸の水を汲んで行く。
「もうやだー!!今日も叩かれた……」
「なんで反抗しねぇんだぁ〜?」
「反抗したら、無駄にやられるじゃん」
「へぇ〜。そうだ、家を出ないか?見たことも聞いたこともないものを目指そうや!!」
「うぅ〜ん……それは良いね。戻ろ!」
ナインマスに提案されたことに賛成した私は自宅の中に戻った。
キッチンで支度をしている母に父が飲む酒を渡してもらい、旅に出ることを打ち明けた。
「ママ、私旅に出る。良いよね?」
「えっ?カブサット駄目よ、まだ幼いんだから、危険よ!もうすこし大きくなったらね」
「えぇ〜行く!!私ぃ、旅にでるからぁっ!!」
母の動揺を感じながらも、父の元へ駆けた。
「駄目よ、外がどれだけ怖いか分からないでしょ!!」
「なんだ、騒がしいぞ!!お前ら、静かにしろ!!」
「パパ〜お酒持ってきた!」
「なんだカブサット?今日はつかえるじゃねぇか、ありがとうよ」
私が酒を持っていくと、父は奪い取り、栓を抜いて、ガブガブと呑んでいく。
「捕まえた、カブサット。ママとお話ししましょ、ね?」
私は母に背後から両腕を回され、捕まった。
私は手を繋がれ、両親の寝室に連れてかれた。
「ねぇカブサット、外は貴女が思うようなところじゃないのよ。分かるでしょ?」
「ねぇママ。私がどんな思いで生きてると思う?」
「それは……」
母は言い淀んで、両手を震わす。
「ママ、旅に出る私は」
「カブサット、死んだとしてもママを恨まないでね」
「ママを恨んだりしない。じゃあね!!」
私はベッドから立ち上がり、立てかけられていた木剣を手にして、両親の寝室から飛び出た。
「ママ、行ってきます!!」
私は実家から飛び出した。
すれ違った村人は、気にもとめない。
私は考えなしに実家を飛び出し、村を出たのだった。
次の村には、どのくらい歩いて行けば辿り着くのだろう。乗り物も見かけない。
疲れた〜……
樹に成っている果物を食べて、食い繋いでいるがいつまで保つのか……?
実家を飛び出して、4日が経った頃、ある女性と遭遇した。
「キミ、親とは一緒じゃないのか?」
「はい。家を飛び出してきたんです」
相変わらず、木精のナインマスが顔の周りを飛び回っている。
「心配だ……良かったら、私についてくるかい?」
心配してくれる彼女はナインマスを認識していないようだ。




