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4[LOG] AM00:10 /

0話と1話は同時更新

5話までは毎日更新

6話からは月曜と金曜の週二更新


大体夜の11時10分ごろを目安に更新していきます

 2人で帰路に就く中、女は歩きながら自らの名を「グレモリー」と名乗った。彼女は自らの目的を軽い調子で語る。それは何も軽くない、まるで神話のような想像しがたいものだった。



 

 「私たちが信仰してるカミサマがなーんか四肢分裂しちゃってさー。でも“この世界に遺骸の一部が落ちてる”って教えてもらったから、取り返しに来たの。

でもね――……私この世界のこと全然知らないんだよね!」


 


 なんだか独特の表現が混ざっており、正直理解が追い付かなかった。

 まず神様って四肢分裂するものなのか?そんなの、まるで修復できない状態までバラされた機械みたいな言い草だ。少なくとも、神様という不確定な存在に対して使う言葉じゃない。そもそも神様って物理的に存在するもんじゃないだろ多分。

 ま、まぁ……人がいる限り神様も多種多様なんだろうということにしておこう。俺の親しみ深い宗教とは、あまりにかけ離れていて現実感がないが。それはそれ、これはこれだ。

 

 分かりにくいが彼女が助けを求めてるというのは恐らく間違いないだろう。だから俺は、思い切って彼女に疑問をぶつけてみる。



 

「その遺骸って今はどこにあるんだ?……もしかして場所すらわからないのか?」

 

「んー?この世界の王様のトコ」

 

「て、天帝……」

 

「君、その天帝ってやつのトコまで案内してくれる?」



 

 彼女の満月色の瞳が俺を真っ直ぐに貫く。突き刺さるように痛い。俺は生まれてから約18年、それなりの期間をこの下層区画で過ごしている。だが天帝及び【天】と言われる上層区画への行き方は、全然知らなかった。

 ここでハッキリと分からないと言っても良かった。だが相手は人間というには、あまりにも枠外れの相手だ。否定すれば彼女に用無しを言い渡されて、この命を抜かれてしまうかもしれない。

 折角生き返ったのだ、命は無駄にしたくない。ここは慎重に話を進めなければいけないと気を引き締める。

 

 ──それに、俺も天帝のところに行かなきゃいけない。李沈(リーシェン)と景春(ケイシュン)が連れ去られたのは、多分……いや、考えたくはないが恐らくは【天】だろう。

 だが【天】(あそこ)は、そう簡単には行けない場所のはずだ。そもそも、この下層区画から【天】に行ける道など存在するのだろうか?

 下層区画(ここ)は思った以上に汚い場所だ。煤の大気は勿論、ゴミは路地裏を中心に散乱しており目も当てられない。おまけに生活廃水も垂れ流しの為、強烈な腐敗臭を各所で感じるほどだ。

 もし【天】へ向かう場所があるなら、そこから下層区画の臭気が漏れてしまうのではないかと安易に予想を立てられる。用意周到で潔癖さを感じる【天】の連中がそれを許すだろうか?いや許せないと思う。

 このことから【天】へ行く入り口は存在しないと仮定できる。でも無いから諦める……わけにはいかない。


 僅か数秒間の短い時間だったが、グレモリーになんて言えばいいか物凄く悩んだ。どうやったら彼女の機嫌を損ねないで済むだろうか。でも、機械以外に頭を使ってこなかった弊害だろうか……答えはサッパリ出てこなかった。

 足りない脳みそが、急激にフル回転する。俺が言い悩んでる間、彼女はものすごくニコニコしてた。ちょっと怖いから、その微笑みは他に向けてほしい。

 

 

 だが、考えが纏まる前に家の真ん前まで到着してしまった。小さい橋の向こう。無計画な建設を繰り返し凸凹になった歪な建物、これが今住んでいるビルだ。

 しかし、今日は少し様子がおかしかった。俺たちが住んでる一階部分の窓の光が全て灯っていたのだ。それは、辺りの夜の帳を追い出すように輝いていたと言ってもいい。

 このビルは家賃と電気代が一緒になって請求される。住んでる人間は節約のため必要以上に明かりをつけることはない。だから夜になったとしても、窓からは僅かな光しか漏れない。


 奇妙な違和感を感じた俺は、こっそり窓から室内を覗き込む。するとそこでは予想もしなかったことが室内では行われていた。

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