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16[LOG] PM17:54 /

月水金の週三更新


大体夜の11時10分ごろを目安に更新していきます

 「待ってくれ!俺たちはまじないや祈祷を頼みに来たんじゃない!!」




 見てわかるくらい警戒心を露にする玄境(ゲンキョウ)に向かって俺は叫ぶ。

 妹が【天】の軍人達に攫われたこと、そして攫われたと思わしき【天】への行き方を教えてほしいことを出来る限り必死に伝えた。

 グレモリーから上手く利用された怒りと、死にそうになった理不尽な暴力が許せないという感情が先走り、自らの言葉を早める。

 つい"分かってもらいたい"という自らのエゴを押し付ける最低なことをしてしまった。自覚はしているが、今はそんなことを考えている余裕はなかった。

 

 しかし玄境(ゲンキョウ)は、そんな感情の露呈に近い言葉を黙って聞く。彼は1つ頷くと、深くため息をつく。

 そして告げるのだ。自分の事情が優先されると思い込んでいる子供()を断罪するかのように——。



 

 「……上層区画に行くためには、それ相応の権利と供物がいる。お前さんみたいな下層区画の犬っころが人を探しに行くためだけに、赴くことなど到底できない場所なんだよ」



 

 ここまで来るまでに色んなものが無くなったり消えたりした。それは【天】が勝手に権利を主張して奪ったのが発端だ。俺はついムキになって言い返そうとした。何が権利だ!何が供物だと!勝手に奪うのは権利じゃなくて強奪だ!ふざけるなと。

 でもそれはきっと玄境(ゲンキョウ)にとっては関係のないことだ。言ったところで理解は得られない。

 

 肌に突き刺さるくらいの痛い静寂を打ち破ったのは、驚くことに玄境(ゲンキョウ)のほうからだった。彼は述べる。冷たい言葉を、さも平等だと語るかのように。




 「……選ばせてやる。1つは諦めてここで腹を切る、2つ目は今ある手段で【天】へ行く権利を証明する。どっちも選べないのなら、今ここで始末する」




 なんで【天】に行きたいと言うだけで、そんな選択肢を突き付けられなきゃいけないんだ。どっちにしろ死ねって言ってるもんじゃないか。でも言われてしまった以上、後には引けない。必死で今の自分ができることを脳内で考える。

 だが、考えてるときに1つの疑問が浮かんできた。【天】へ行く権利ってなんだ?俺は思いつく限り、権利となりうる全ての要素を浮かべてみた。

 まず一番考え付くのは金だ。でも毎日生きることすらギリギリな貧乏人にあるわけがない。俺の煤に塗れた見た目で、玄境(ゲンキョウ)もそれは察しているだろう。

 じゃあ血筋だろうか?そんなもんどうやって用意するんだよ……血液パックで寄こせってか?あまりにも現実味がなさすぎる。【天】の連中が血を吸う怪物じゃない限り、あり得ないだろう。

 

 深く長考すると、1つの案が思い浮かぶ。——そうだ金や血筋が無くても権利を得られる方法があるじゃないか。自身にしかできない"技術"を見せつける。これが唯一【天】に行けそうな権利だ。

 だが自らの技術を証明するにしても、材料がない。これじゃあ、咄嗟に何かを作ることもできない。思いついたはいいものの、唯一証明できそうなことすら現状況じゃできっこない。

 

 

 もうここでもう1回死ぬしかないのか——という諦めにも似た結論を出そうとした。

 が、そのとき俺の肩に止まり様子を伺うチュンの姿が見えた。小刻みに動く機械人形を見たとき、1つの方法を思いつく。

 俺はチュンに縋りつくように話しかける。自身にできることは現状無い。頼れるのは予想外の動きをする、この一機だけだ。




「チュン、お前は俺が想定しない動きをする。不甲斐ない作り手に免じて、バレずに【天】を探ってくれないか……その様子を見せれば最低限、玄境(ゲンキョウ)だけには貴重な人材だと判断してもらえるかもしれない」




 分かってた。チュンにはそんなことはできっこない。俺が搭載したのは方向案内と軽い対話機能だけだ。こんな時なのに、機械に縋りつくしかできないなんて惨めだと思ってる。

 でも俺はどうしても最後まで足掻きたかった。それが恥知らずだったとしても情けなかったとしても、なりふり構っていられなかった。縋る俺にチュンは予想外のことを静かに言う。



 

 『PPP……PPP……いいよ……PPP』




 チュンの瞳のレンズが、見たこともない複雑なパターンで点滅を始める。俺が組み込んだ覚えのない、未知の暗号を音で刻んでいるようだった。仕舞いには、ガガッガガガガッッなどというけたたましい騒音が内部から発するようになってしまい心配になる。しかし何かを探ってくれてる。それだけは一目瞭然だった。

 

 ——こうしちゃいられない!チュンが出来ないことを無理にやろうとしてる。なら俺もできることをやらなきゃ駄目だ!出来る限りの知識を絞り出して、騒音のような暗号を解読しようと集中して聞いてみる。

 その音はなんだか奇妙な音で……多数の機械が擦り合う音や、カタカタと何かが打ち込まれるような音、そして不確定多数が蠢く気持ち悪い”何か”を感じた。

 自分の身体を得体のしれないものに乗っ取られたような気がして、足元がフワフワする。身体全身の神経が奪い取られたように感じた。視界はノイズで霞み、遠くのほうに眩しい光が見える。


 あ、あれ……おかしいな、頭が割れソうだ。なんダろう……誰かガ呼んでル豌励′縺吶k……………………11000001001010 101001001001101 11000001101111 1000101010110000 11000001100000。

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