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バケツの初恋  作者:
2/3

1話

 人が人を好きになる。


 これを読んでいる人である皆様なら当然の事実ではないかと思いでしょう。なら人がその人のどの部分から好意をもつのかといえば、ほとんどの方が顔などの外見からターゲットに興味を引かれるはず。


 しかし、森下バケツはルックスではなく彼の優しさに心を惹かれたのであった。


 ある日、バケツが愛犬のシルバー カッシュと散歩をしているときの事。運悪く接触してきた車に愛犬が引かれてしまい、愛犬は血だらけのひん死の状態におちいってしまった。

 さらに、車は気がつかずに走り去ってしまい突然のアクシデントにより動揺と混乱でバケツにはどうすることもできなかった。


 そのとき、たまたま近くを通りがかっていた同じ学校に通う男子生徒が無力と化したバケツの前に現れ。血だらけの犬に自分の着ていた制服を包帯代わりに巻き、


「こい!!」


 と犬を担いでバケツとともに600m先にある野獣病院を目指して息を殺しながらも必死に走った。


 結果。一時間の手術の末に犬は無事に一命を取り留めることができた。


 医者は、


「いや~、犬に制服巻いて血を抑えてたから良かったんだなあ。これしてなかったら危なかったと思うよ。それにしてもお譲ちゃんカワユイね、おじちゃんビックリ!」


 スケベな獣医だった。


 バケツの横で座り続けた彼は犬の無事を聞くと何も語らないまま帰ってしまった。


 台風のように過ぎ去ったアクシデントの幕が下がり、バケツは犬の血が染み付いた彼の制服を見つめた。


 自分が生まれて、これほどまでに男の子に親切にしてもらったことは今までに無い事だった。そう思った瞬間、バケツの胸の高まりが全身を刺激し、なんだか顔も熱くなってきた気がした。


 バケツは家に帰り、さっそくお風呂に入る事にした。お気に入りのファシャータの花の香りがする石鹸は自分の汚れと疲れを洗い流してくれた。だけど不思議なことに今日、出会った彼のことは石鹸で洗い流した後でも頭から消えることはなかった。


 夜、長く大変だった一日が終わりを告ぎ、バケツは睡眠につくため布団に入ることにした。だけど、布団の中でさえ彼の存在は頭の中から離れることはなかった。

なぜ自分は彼のことを思い続けてるんだろうか。


 そんな自問自答を繰り返してる内にバケツはようやく眠りにつくことができた。そして、深い眠りの中で自分が初めて恋をしているのだと気ずいたのだった。



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