老木と交わり
大木があった。
前から 朽ち果てていて 中身が空洞だってことは 外からでも 見ればわかった。
そんな 年老いた大木は かなり前に切られたのであろう 大きな3つの枝分かれするところで ぷっつりと切られていた。
雨ざらしとなって 中の空洞は更に進行し
スカスカの皮だけで 立っているといった感じの老木だった。
「寿樹、どこ行くの?」
寿樹は 老木に手を触れた。
「私と同じにおいがする。」
寿樹は導かれるように その老木の中に入って行った。
止めて欲しかった。
なにか、止めてほしかった。
「何だか 私を求めているようだ。」
(求めているだろうよ 寿樹を欲しがらない人なんて居ない)
寿樹は 老木の中で 深呼吸をした。
僕には、寿樹が老木と交わっているように感じた。
そして、その老木が 寿樹の若さを吸って 元あった力をよみがえらせたようにも見えた。
「寿樹、木が若返ったように見える。」
「だろう!私にも 木が、元ある素晴らしかった姿を取り戻した気がする!」
寿樹は 無邪気に喜んでいた。
「木がこう伸びて 枝分かれした3又も力強く龍のように天に登って行くんだ!なんとも 長い歴史を見てきた大木だよ。」
(そうだね、そうだね。……その人は3つの凄い功績を残した人だよ。今は衰退してしまったけど、その人は歳をとった今でも 自分の生涯が凄かったと 継承したいみたいだね。)
健太が悲しんだ。
寿樹は 妊娠しないのをいいことに
お偉いさんに呼ばれては 身体を捧げていた。
それが、江戸時代から伝わる 神童のシキタリなのかはわからない。
真正家では、当たり前かのように行われている。
僕は どうして止めさせようか 身を削る想いで考えた。
胸が 痛い。
寿樹が 他の誰かに抱かれる事は 胸が張り裂けそうなほど 辛い。
僕は、寿樹を……寿樹を……愛してしまったのか。




