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中学~大学までの健太の日記  作者: 蔓草登上
10/13

神無し神社

キノコの塩バター焼き 白菜の漬物 大根の味噌汁 白御飯……。

健太が 真正家の食事を目の当たりにして固まった。


「寿樹?メインが無いと思うけど……。」

「メインは キノコだ。」

「うそー!メインって普通 お肉とかお魚でしょ?」


寿樹は黙々とキノコを食べている。

このキノコはお昼前に 草むしりと一緒に収穫したキノコだ。


「このキノコもさっき採ったキノコじゃん。」 

「色んなキノコが食べれるぞ。」

「そうじゃなくて、毒キノコとか当たらないの?」


大根の味噌汁を飲みほした。


「当たった時は 当たった時じゃ。」

さっぱりしている寿樹に 不満をぬぐい切れず。 真正家では益々 痩せて行きそうだと確信する健太。


「キノコってカロリーないんだよ。これで山登ったり草むしりしたり 体力もたないよ。」

ぼやきながらキノコを食べる健太。


「この山で採れたキノコだぞ。この山のレベルに適した栄養分だ。山登りとかいって、ただの参道さんどうではないか。」

「寿樹にとって ただの参道さんどうなんだ! 階段があればまだましみたいな山道で 坂道続きのれっきとした山道やまみちですよ!」


健太が半分怒って言うのに

寿樹はほうじ茶をすする。


「まぁ、やってみてダメだったら 次に考えれば良いだろう。」


そんな、寿樹の考え方は 時を得て 今から思うと 神がかっていたんだと思う。


 一人っ子で、婆ちゃんが作ってくれたご飯を 三度どんぶりで食べていた生活だった。

婆ちゃんにも悪いと思って、残さず食べるのが 僕の流儀だった。

だから、手足が短い僕は 更に丸くなって成長期には太ってしまった。

たまに、真正家でご飯を一緒に食べる時には、いつも質素しっそな御飯に物足りなさを感じるのだったが、なんだか この頃 どんぶり飯が正しい僕のサイズではない事を知った。


「いいか、健太。神社ではむやみに殺生せっしょうはしてはならない。けれど、自分が生きるにあたって必要な殺生を神社ではお祓いでリセットしてくれるんだよ。」

「お祓いが?」


 時折、寿樹が神主さんみたい(のちの宮司さん)な事を言う時があるが、それは僕が後ほど大人になって身に染みる内容となるのだ。


 殺生せっしょうは 生き物を思い浮かべる、この時の僕は 肉を食べていないのに 何が殺生だと思っていた。

生き物は キノコも立派な生き物で お米の一粒も生き物なのだと 後から知るのである。




 カメラを持った人が度々 やって来る。

ここは 総理や官僚が会談にやって来る場所なので カメラというだけで 過剰な警戒をする神社だったが、今日は寿樹がカメラを持った人と話をしている。


「寿樹、あの人には警戒しないの?」

「あの方は 神の神使しんしだ。」

「へ?紳士でしたけど?」

「その紳士ではない、神の使いという意味だ。」

いつも信仰していないようで ときたま信仰ぶって見せる寿樹に困惑する。

「どして わかるの?」

「話に耳を傾けると わかる。」

寿樹のごもっともですけどいまいち解っていない健太が居る。


 真正家はもともと宗教法人なので 祀る神が居ない。

宗教の信仰は江戸時代からの歴はあるが、神社としての等級はないに等しい。

新聞記者は、よく信者を語って境内に入って来るが、寿樹はうちは神が居ないから 参拝する必要はないと毎度、追い払うのだ。

 神が居ない神社だよ。僕は最初 ジョーダンだと思っていた。

けれど、本当に祀っている神様が居なかったのだ。

じゃあ、あの鳥居は?祭壇は?お賽銭入れて 鐘鳴らすよね?と聞いたことがある。

寿樹は 顔色一つ変えずに 静かに口を開いたんだ。


 ここに神は居ないが、自分の心の神を拝む場所として 祭壇を作っている。


と言ったのだ、まるでそれが正しいかの如く 自信に満ちていた。

僕は寿樹の横顔を眺めながら、本当の信仰とは そうゆうものかも知れない。と初めて「拝む」とは何かを知った気がした。


 寿樹は先ほどの 紳士だけど神使しんしの人に 心から信仰している人だと 解ったという事なのだ。

解る人とは 話をする。でも、分からない新聞記者とは話をしないという訳だ。

僕が そこで見極めているんだねと寿樹に話すと、軽く否定された。


「私は 信者かそうでないかで 話をしないといった事は一切していない。」

「じゃあ、何で 新聞記者やマスコミの人は直ぐ帰っちゃうの?」

「話をしているのに、向こうが終わりにするのじゃ。」

あ、逆被害者ですか。そう思ったが 口には出さなかった。

きっと 信者としか 通じない内容の会話をしているんだろうな と思った。


 新聞記者やマスコミが話になんないやと帰ってしまうのと、本当の信者がやってきて 自分の神様へ拝むことが出来るのは良い事だと思った。

 それで、ここの境内の聖域は守られているのだけれども、政府はうまく利用して秘密の会談をしている。神無し神社はひっそりとやっていけてるって訳だ。


 こんな毎日を過ごしていて、僕はすっかり寿樹教の信者になっていた。それは、甘い誘惑もありますが、心身の方も鍛えられたというか、尊敬しているのです。心の底から。



 







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