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「れ、連絡先を・・・」
「う、うん。君たちも携帯使うんだ」
なんとなく魔族は魔王での通話が主流と聞いていたので、表の通信機器など少し以外ではあった。
「失礼な。魔人に世界には娯楽は少ないのでな。上位種はたまに表の世界に娯楽を楽しむために姿を変えて行き来しているぞ?」
「はい?」
表の世界に来れることは知っていたが、まさか娯楽の為とは思わなかった。
取り合えず僕は自分の連絡先を書いた紙を彼女に渡す。
「幸一!」
蓮二から声が聞こえると同時に僕の超感覚に反応がある。
空間が歪み僕とオルテラを包むようにドーム状に複数の渦が現れ、そこから火球が放たれた。
「オルトラ!」
僕は彼女を抱きしめて片手に握った拳銃で渦をいくつか破壊してそこから飛び出す。
「魔王!大丈夫?肩が」
「だいじょ・・・くっ。掠ったか?」
オルトラは火傷した僕の肩を見て心配そうにする。
『オルトラ。人間にたぶらかされたか?』
「お婆様!?なんで・・・」
『私はもう家族を失うわけにはいかぬのだ。そこから離れろオルトラ!』
「この魔力・・・いつしかの九尾か!」
『魔王の器よ。わが孫返してもらうぞ!』
すると周囲にいくつもの渦が現れる。
どの渦も高濃度な魔力を含んでおり、渦の先に高威力の魔法が待機しているのはすぐにわかった。
「くそっ・・・オルトラ。一旦、帰れ。連絡先の紙は持ってるな?今、この世界を解除は?」
「だめ。お婆様が干渉して不安定になってるから下手に説くと虚無につながる。」
虚無。無の空間にして、破滅の空間。虚無はその性質上、その場に何かがあることを許さないブラックホールよりも恐ろしい存在。
「あ、紙はちゃんと持ってるよ」
オルトラは僕の渡した紙を僕に見せる。
自身の構築した世界を他者の手によって、半分支配権を取られ申し訳なさそうにしていた顔は神を見つけて僕に見せた時には少女のような純粋な喜び鵜を感じさせる笑みだった。
僕は、その顔に自分の追うリスクを些末なことと考えた。
「この攻撃は僕が何とかする。お婆さん?のすきをついてこの世界を解除してくれ」
「・・・わかった。絶対に連絡するから。ちゃんと出てね?」
「わかってる。来るぞ、八岐の首でくらい尽くせ〈暴食〉!」
暴食の魔方陣はその円周上に細部の違う8つの暴食の魔方陣を展開させて蔭へと消えた。
『『『『『『『『グラァァァァァア!』』』』』』』
地の底から鳴り響くその音は影から8つの龍を召喚した。
一つ目の龍。体に雷や炎を纏う龍。無数の牙をもつ龍など8種類の龍が現れ渦を次々へと食べてゆく。
「オルテラ!」
「送還!」
龍がすべての渦を食べ消えると僕はオルトラに叫んだ。
気づくとそこは教室で、そこにはこの学校ではない制服の人が多くがこちらに銃を向けていた。
「こちら、異形対策部隊です。・・・失礼ですが、ライセンスはお持ちでしょうか?」
「ちょっと待ってください。・・・彼らの傷いやしてもいいですか?」
俺は教室の住で怪我をして動けない2人を指した。
「そちらは我々にお任せを。何があったか聞かせてもらえますか?」
「わかりましたよ。ポーションひとつもらえますか?」
俺は懐からライセンスを取り出し、あったことを話した。
オルトラの事はぼかしつつ、腕試しの魔人に挑まれたという。
この話はそう珍しくないから半信半疑のようだが納得してもらえた。
あの不本意なあだな『魔王』と言うのが、腕試しで勝負を挑まれたという話を納得させる材料になったのが良かった。
「・・・すみません。ちょっとトイレ行っていいですか?」
「ああ、すみません。我々も撤収しますので」
「お疲れ様です」
「ありがとうございます。かの有名な魔王にお会いできてうれしく思います」
この場の責任者と言った第一部隊長さんが僕頭を下げると部下と共に去っていった。
「もう出てくれば?」
「「・・・」」
光学迷彩を使っていた星良と転移魔法でこの場を関していた静香が現れた。
「・・・二人とも、ごめん」
「ここにいないソフィアちゃんにもあとで謝っておきなさいよ?」
「ああ、そうだな静香。うぐっ!」
魔王の力を使った反動が来て心臓を締め付けられるような苦しい感覚に僕は倒れそうになるのを星良が支えてくれた。
「せいら、あり―――!」
支えてくれたお礼を言おうと顔をあげると、口をふさがれる。
「―――もう、無理しないで」
ようやく口を話してくれた彼女の目には涙がたまっており、その涙が僕の顔に落ちた。
※※※
「こうちゃんの力ためとはいえ、セッちゃんだけキスしてずるい」
「え?」
「いや、静香?これは―――」
「他も外れかけてるから、私が蓋するよ?」
そういって静香は僕の口をふさぐ。
その様子に星良はぴくっと反応し何も言えず見てるだけだった。
俺の中であふれかけていたモノ達にしっかりと蓋されていく感覚がする。
契約の交わされていない4つの力。
魔封じの一族であり、契約者の一人である静かだからこそできることであるがそのために得るべき栄光を奪い去ってしまったことに後悔が残る。
「ちょ、ちょっと、静香。もう、いいでしょ!?」
軽く1分半ほど互いに口を重ね合わせていた。
思い切って引き離してみると、静香の目はトロンとしており僕の強大すぎる魔力の余波で酩酊状態のようだ。
「もうちょっと~」
「だめ!」
「静香、落ち着け。はぁ、星良。とりあえず俺が静香を家まで送る。まあ、隣だが。この後予定あるか?よかったらうちでご飯食べていくか?」
「え?いいの?」
「今日、助けてもらったからな」
「まあ、暴食は私の担当だし、原因も私だから当り前よ。・・・これ以上は帰りながら話しましょう」
そういわれて外を歩く俺と委員長(星良)。
それに俺の背中で眠る静香。
「こうして、3人で歩いているこの時間が俺はいつまでも続けばいいと思ってしまう」
「まあ、私も今まではこうして落ち着くことができて楽しいですし、何よりあなたの隣にいる資格があるようでうれしいです」
「何言っているのさ。誰かの隣にいるのに資格なんていらない!俺がそういうの嫌い名の知っているだろ?」
「・・・すみません。ぐすっ」
「お、おい。泣くなよ・・・」
「いや、うれしくて。あのときも言ってもらえましたが、もう一人じゃないんだと思えて・・・」
「まあ、一人にできなくしてしまったのだがな。ごめんな?」
「謝らないで。私は嬉しいから」
「せっちゃん。私も一緒だよ~むにゃむにゃ」
俺たちの声が聞こえていたのか返事をする静香。
眠りながら言うその様子に思わず俺と星良は顔を見合わせて笑ってしまった。




