第29話 強敵 ~大いなる危機~(後編)
レオネスは触手水蛇の触手を斬り飛ばし、触手の再生中の隙を突き、下半身を飲み込まれているミレスを触手水蛇の口から引っ張り出す。
「うぅ~、噛まれた……。面目ない」
「相手が丸呑みする蛇じゃなけりゃ、大変なことになってたぞ」
触手水蛇の体表の粘液と唾液でベタベタになったミレスを抱きかかえ、触手水蛇から距離を取るレオネス。
「……ねえ、なんだか足元がスースーするんだけど、私の足大丈夫なの!?」
ミレスに問われ、足元を見るレオネス。
「白か。……いや、まあ、足は大丈夫だから」
レオネスがミレスを抱え直した事でミレスは自分で下半身が見える体勢へと変わる。
「ちょっ! パンツ丸出しじゃない!」
ミレスのスカートは、レオネスがミレスを触手水蛇の口から引っ張り出した際に、口の中で引っかかり、触手水蛇の口に置き去りにされたのだった。
今現在、ミレスの下着を包み隠す衣は存在しなかった。
「下着が濡れてるぞ、ミレス」
「魔物のヨダレだからね!? てか、見るな!」
ミレスはレオネスを睨み付ける。
そんなミレスをフェレティスのそばに寝かせ、レオネスは魔法の小袋から着替えのコートを取り出し、ミレスの下半身に掛ける。
「風邪引くなよ?」
「うっさい! スケベ!」
ミレスを退避させたレオネスは触手の再生を終えた触手水蛇に向き直る。
「三体目ともなると、作業感があるな……」
レオネスは触手水蛇の触手乱打に真っ向から立ち向かい、アルハザード流、衝破裂風を繰り出す。
交差斬りで触手を薙ぎ払い、触手水蛇の本体に拳で闘気を叩きつけ、昏倒させる。
「これでトドメだ!」
昏倒した触手水蛇の頭部を刎ね飛ばし、触手水蛇を塵にする。
「ルナリス、そっちはどうだ?」
「ぐえぇぇ~……」
ルナリスに呼びかけるレオネス。
帰って来たのは情けない悲鳴(?) だった。
「お前もピンチか!?」
ルナリスの方を見るレオネス。
「おおぅ……」
ルナリスは触手に絡みつかれ、両腕の自由を奪われていた。
また、身体にも触手が絡みついており、触手はルナリスの大きめの胸を強調するような絡みつき方をしていた。
「どうやら、噛まれてはいないようだ」
「うがー!」
ルナリスは上半身の動きを封じられていたが、足を踏ん張り、丸呑みにされないように抵抗していた。
「今行くぞ、頑張れルナリス!」
ルナリスを助けるために近づくレオネス。
接近してあることに気付く。
「ルナリスは黒か。まあ、イメージ通りだな」
踏ん張るルナリスのキュロットスカートは触手の先端に引っかかっており、ルナリスのキュロットスカートはめくれ上がり、際どい角度で食いこむハイレグのようになっており、下着の一部が丸見えになっていた。
「コラー! 見てないで助けなさいー!」
「お、おう!」
レオネスの視線に気づいたルナリスは、レオネスにお叱りを入れる。
「コツは掴んだからな」
レオネスは剣魔法・円輪連刃を展開し、無数の戦輪でルナリスに絡みつく触手を斬り払う。
「うへぇ~、後は頼んだ~!」
触手の拘束が解け、自力でレオネスの下まで這い寄って来たルナリス。
「確か、ルナリスは光属性が使えるんだったな」
「ええ、そうよ……」
「なら、光属性の付与を頼む」
「分かったわ……!」
ルナリスは粘液まみれでへたり込みながらも、レオネスに光属性を付与する。
「行くぞ!」
レオネスは光属性が付与された剣を地面に突き立てる。
──アルハザード流、護衡光魔陣。
剣を地面に突き立て、自身の周囲に光の結界を形成し、結界内を光圧で攻撃する技である。
レオネスが展開した光の結界に閉じ込められた触手水蛇は強力な光圧に押し潰され、魔石を残し、灰となる。
「これで四体だ。センジ、無事か!? まさか、あいつもパンツ出してないだろうな……」
変な心配をしつつ、センジの方を見るレオネス。
センジは大剣を触手水蛇の頭部に突き立て、触手水蛇を討伐していた。
「大丈夫だ! こっちは今終わった! というか、パンツって何のことだ?」
センジはレオネスに声を返す。
「よし、五体全部討伐したな」
レオネスはセンジのパンツの質問をスルーする。
「あー、やっと動けるようになった……」
「ひどい目に遭いました~……」
退避させられていたミレスとフェレティスも起き上がり、レオネス達の元へやってくる。
「ミレス? どうしたんだ、その格好は?」
レオネスのコートを腰に巻き付け、スカート代わりにしているミレスの格好に疑問を持つセンジ。
「聞かないで……」
「そ、そうか」
触れてはいけない雰囲気を察知したセンジはそれ以上追及する事は無かった。
「……パンモロが一人、モロ出しが一人、食い込みが一人、悪くない戦果だった」
レオネスの呟きを聞いた女性陣は一斉にレオネスを攻撃する。
「うわ、何をする」
「うっさい!」
「レオネスさんの変態!」
「スケベ!」
「あいつは戦闘中に何をしたんだ……?」
◇◇◇
触手水蛇の群れを退け、ケノス洞窟の奥地へとやって来たレオネス達。
「ここで竜魔鋼が取れる。多めに持って帰りたいから、荷物持ちを任せたい」
「おう」
センジは竜魔鋼を採取し、レオネス達が竜魔鋼の入った袋を持ち運ぶ。
「このくらいあれば、いいだろう。みんなのおかげで大量に持ち帰れる」
竜魔鋼の採取を終え、帰還の準備を行う。
「早く帰って、お風呂に入りたい……」
「ぬめぬめ、べたべたで気持ち悪いです……」
「せめて着替えたい……」
触手に絡まれた女性陣は、触手水蛇の粘液でベタベタであり、その女性陣を抱きかかえて運んだレオネスもヌメヌメであった。
何度かケノス洞窟を訪れ、触手水蛇との交戦経験もあるセンジは比較的奇麗なままだった。
「シシアンの港で宿を取って、明日にサンドゥの里に帰ろう。今日はもう無理だ……」
レオネスの言葉に同意するミレスたち。
ケノス洞窟の出口へ向かうレオネス達。
「うわ、触手水蛇だ!」
「あとは帰るだけだ、戦う必要はない!」
「逃げるんだよぉ!」




