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そいつが犯人かね。

北川がヘルメットの男に暴行を受けていた頃、謙一は謙二の病室を出て病院の正面玄関にいた。


「秀一の奴遅いな」


なかなか病院に現れない秀一に痺れを切らした謙一は携帯を鳴らす。


「秀一か?」


「ああ」


「どうした随分時間が掛かってるな?」


「すまん、足が痛いんだ」


「足が?」


「走りすぎた」


秀一の言葉に謙一はバイクを全力で追い掛けた事を思い出す。


「迎えに行くから待ってろ」


「すまん」


謙一は苦笑いを浮かべながら秀一から場所を聞きバイクを走らせた。

そこに着くと秀一は歩道で足を伸ばし座っていた。

謙一は秀一にヘルメットを渡しバイクで深夜の病院に向かった。


「筋肉痛ね。どれだけ走ればこんなに痛めるのかしら?」


医師から処置を受けた後、連絡を受けやって来た秀一の母が呆れ顔を浮かべながら言った。


「すぐに治るかな?」


ベッドで足を投げ出しながら秀一は尋ねた。


「まあ数日は痛いでしょうね、足の裏の皮も少し捲れてるから暫く走れないわよ」


「まいったな」


先程医師からも同じ事を言われたが何度も聞かずにおれない秀一だった。


「まあ自宅で療養するんだな」


謙一は秀一の足が重症で無かった事に安堵する。


「タクシーを呼んだからね、謙一君とバイクで帰っちゃダメよ」


「分かったよ。ありがとう」


秀一の母の言葉に素直に従う秀一、母親には頭が上がらないのだ。


「真夏に言っといたから」


「喋ったのか?」


「当たり前でしょ。愛佳ちゃんにも言ったから」


「え?」


これはまた心配されると覚悟する秀一。


「麻里には?」


謙一はイタズラっぽく秀一の母に聞く。


「麻里ちゃんはさっき帰ったわ。随分疲れてたから言ってないよ」


「良かった」


秀一は安堵の表情を浮かべた。


「さて帰るか」


立ち上がる秀一に謙一は車椅子を持ってきた


「座れ」


「大袈裟だな、歩けるよ」


「そんなヨチヨチ歩きで何言っとるんだ」


2人のやり取りを見ながら秀一の母は笑う。


「秀一、早く座りなさい。早くしないと真夏達が来るわよ」


「さあ謙一押してくれ、母さんまた明日」


慌てて車椅子に座る秀一に謙一は笑いながら処置室を後にした。

タクシーに秀一1人乗り込み自宅に着くと深夜にも関わらず真夏と愛佳が自宅前で待っていた。


「兄ちゃん大丈夫?」


「秀ちゃんしっかり!」


2人は素早くタクシーのトランクから車椅子を出して秀一を座らせようとする。


「車椅子は要らないぞ」


「ダメ!」


「いや車椅子でどうやって家に上がるんだ?」


「あ、そっか」


「なら兄ちゃん私の肩に掴まって!」


真夏は秀一の腕を取ろうとする。


「真夏、お前も腕を吊るした怪我人だろ?」


「あ!」


「ふふ、真夏ちゃん残念でした。ここは私に任せなさい」


愛佳が嬉しそうに秀一の腕を取り肩に掛けて自宅に入った。


「うー」


真夏は羨ましそうに愛佳を見た。

自宅に入り2階まで上がり秀一をベッドに座らせた。


「ありがとう愛佳、また頼む」


秀一の感謝の言葉に愛佳は幸せを噛み締め久々に妄想の世界に浸る。

(『また頼む』って頼られてるの私?これは付き合ってるって事?そうよね!)


「はい愛佳ちゃん、兄ちゃんの邪魔になるから私の部屋に行こうね」


妄想全開の愛佳を片腕で引きずり出す真夏だった。

翌日の日曜日、秀一達3人は自宅でのんびりしていると謙一から事情を聞いた麻里が息を切らしてやって来た。


「秀一大丈夫?」


「ああ、愛佳に助けて貰って助かってる」


「へへ」


真夏と麻里の視線が愛佳に突き刺さるが愛佳には全く通じない。


「愛佳ご苦労様、疲れたでしょ?後は私がやるわ」


麻里は秀一の隣の椅子に座る。


「ダメよ麻里だって怪我してるし」


「私の怪我は怪我じゃないわ!単にスプレーが掛かっただけよ」


「ダメ!」


「ダメじやない!」


2人のやり取りを見ながら真夏は早く腕を治して参戦したいと強く思った。


秀一は早く自分の足が治る事を強く願った。


その時玄関の呼び鈴が鳴る。


「はい」


愛佳がインターホンの通話ボタンを押して話す。


『すみません、山下です』


「え?」


インターホンから聞こえて来た声は生徒会会長の山下桜だった。 


「は、はい今開けます」


愛佳と麻里、真夏の3人は玄関の鍵を開け扉を開く。


「すみません...って何で青山さんが居るの?」


玄関で山下は固まる。


「山下さん、愛佳は幼馴染みですよ当たり前です」


「そうよね、当然よ」


一方の愛佳達も固まっていた。

なぜなら山下だけでなく敷島香織と川井涼子の2人もいたからだ。


「あの...今日はどうして皆さんお揃いで?」


愛佳が震える声で尋ねる


「愛佳ちゃん、香織ちゃんと涼子ちゃんは分かるけど山下さんって?」


真夏が愛佳に聞いた。


「あ、山下さんは私達の高校の生徒会会長で女子寮の寮長でもあるのよ、今回の事で色々調べて貰ったの」


「あの報告書の?」


麻里も報告書を作ってくれた人だと分かった様だ。


「おい、早く上がって貰えよ」


秀一はリビングから顔を出して言った。

足を引き摺りながら壁づたいに歩く秀一に山下達3人は激しく動揺する。


「まさか広田君も被害に?」


川井は震える声で聞いた。


「違うよ、大丈夫だから」


リビングに案内し愛佳達は秀一の足の説明をする。


「そう、良かった」


説明を聞き終えた山下は安堵の表情で呟いた。


「それで今日は?」


山下の秀一を見る視線に麻里は少し語気を強めて尋ねた。


「ごめんなさい本題に入りますね、最後の犯人の目星が着きました。

警察にも先程報告しました」


山下の言葉に敷島と川井も頷いた。


「誰ですか?」


唖然とする愛佳達3人を余所に秀一は聞いた。


「西山公平。中学時代、私の苛め被害を放置した教師です」


山下は強い口調で言った。




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