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飛び火  作者: 梅子


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7/9

誕生

 美有は、ぎゅっと手すりを握って、力を込めるようになった。周りに助産師が集まってきて、指示を飛ばす。いよいよなのか…と思っていると、破水した。美有の顔は、真っ赤になった。美有は、常に苦しそうにその顔を歪めた。

「頭が見えますよ…」

と言われると、美有は、

「え…」

と高い声を漏らした。

 そこからも結構時間がかかった。美有が身体を起こして、あごを引いて、いきみ続けている間、青年は頭の横に立っているしかなかった。青年にも頭が見えた。美有は、

「痛い!痛い!」

と叫んだ。赤ちゃんがずるりと出てきて、お腹に残っていた水も、一緒に流れた。美有は、やはりぐったりとしていた。青年は赤ちゃんを見ると、自然と涙が溢れて、美有を見た。美有の顔には疲れと達成感が浮かんでいた。


 美有の産んだ子は、男の子だった。美有は、ベッドの上で、胸の上に乗せられた赤ちゃんを優しく抱きかかえ、柔らかい頭に口を付けるようにして、何やら話しかけている。

「何話してるの?」

と聞くと、

「うん?」

と、ぼんやり聞き返してくる。青年が、

「かわいいね…」

と言うと、美有は頷いて微笑んだ。赤ちゃんも美有の胸の上で、眠っているか、時に真剣な顔できょろきょろするか…どちらにしろ、とても静かだった。


 青年が家に帰ると、封筒が届いていた。開くと、やはり美有とは、いとこだと分かった。

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