誕生
美有は、ぎゅっと手すりを握って、力を込めるようになった。周りに助産師が集まってきて、指示を飛ばす。いよいよなのか…と思っていると、破水した。美有の顔は、真っ赤になった。美有は、常に苦しそうにその顔を歪めた。
「頭が見えますよ…」
と言われると、美有は、
「え…」
と高い声を漏らした。
そこからも結構時間がかかった。美有が身体を起こして、あごを引いて、いきみ続けている間、青年は頭の横に立っているしかなかった。青年にも頭が見えた。美有は、
「痛い!痛い!」
と叫んだ。赤ちゃんがずるりと出てきて、お腹に残っていた水も、一緒に流れた。美有は、やはりぐったりとしていた。青年は赤ちゃんを見ると、自然と涙が溢れて、美有を見た。美有の顔には疲れと達成感が浮かんでいた。
美有の産んだ子は、男の子だった。美有は、ベッドの上で、胸の上に乗せられた赤ちゃんを優しく抱きかかえ、柔らかい頭に口を付けるようにして、何やら話しかけている。
「何話してるの?」
と聞くと、
「うん?」
と、ぼんやり聞き返してくる。青年が、
「かわいいね…」
と言うと、美有は頷いて微笑んだ。赤ちゃんも美有の胸の上で、眠っているか、時に真剣な顔できょろきょろするか…どちらにしろ、とても静かだった。
青年が家に帰ると、封筒が届いていた。開くと、やはり美有とは、いとこだと分かった。




