同姓同名
言い合いのような雰囲気に母親がやってきた。
「どうしたの…?」
「……。い、いや…。」
「美有さんは…どうなの?」
「体調が悪いみたいで…寝てる…。」
「ふぅん…赤ちゃんは順調なの?」
「ああ…前、検診でも、順調だって…」
「初期は気を付けた方がいいわ。」
「そうだよね…」
家に帰ると美有は、ソファにもたれかかっていた。
「体調どう?」
「ちょっと吐き気があって…」
「そっか。」
「ご飯作れなくてごめんね…」
「いいよ、いいよ…」
青年は、美有に遠慮して何も聞けなかった。
青年は、生真面目な性格なので、もし、夫婦でいとこ同士なら、お腹の子に何か…と思うと、いとこでない、と証明したくなった。青年は、出産を目前に控えて、ようやく美有に、
「ごめん…美有のお母さんについて知りたいんだ…」
と切り出した。美有は、大きくなったお腹を撫でながら言った。
「分かった…。何が聞きたいの…?」
「もしかして、美有のお母さんって、奈良の人?」
「……。ごめん、知らないの…」
気まずい沈黙が続いた。青年は、このまま話を逸らそうかとも思った。でも、大事なことだ、もう、話し始めてしまったのだから、と思って、続けた。
「実は…」
「何?」
「美有の戸籍謄本見た時…」
「うん…」
「お義母さんとお義父さん、離婚してて、お義母さんの旧姓が載ってた…」
「そうなんだ…」
「美有のお母さん…俺のおばさんと同じ名前…」




