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中二病の儀式が成功して世界を殴る係になりました  作者: てん


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第8話 バラ騎士団、来訪。そして即ドン引き

 パイパイ湖が完成してから数日後。


 湖は順調に水路として機能し、

 同時に、噂も順調に広がっていた。


「……王都から、調査団?」


 ギルドで報告を受けた瞬間、

 リィナが嫌な顔をする。


「しかも、

 バラ騎士団ですって」


「バラ騎士団?」


 パパイヤが首を傾げる。


「王都直属の女騎士団だ。

 全員、実力者」


 ダーボンが淡々と説明した。


「……嫌な予感しかしないわ」


 リィナの予感は、

 たいてい当たる。


⸻


 郊外のパイパイ湖周辺。


 馬蹄の音とともに、

 十名の女騎士が姿を現した。


 統一された鎧、

 引き締まった動き、

 無駄のない視線。


 胸元には、

 薔薇の紋章。


「……すごいな」


 思わず声が漏れる。


 その瞬間。


 俺は、無意識のうちに

 リィナの後ろに回っていた。


 半歩。

 また半歩。


 コソコソと。


「……?」


 女騎士たちの視線が、

 一斉にこちらへ向く。


「団長。

 あの男、挙動が怪しいです」


 次の瞬間。


 バラ騎士団は、

 一糸乱れぬ動きで俺を包囲した。


「え、ちょっと――」


 十人分の圧。


 鎧のきしむ音。


 近い。


 とにかく、近い。


「……」


 俺の呼吸が、

 荒くなった。


「ハァ……

 ハァ……」


 沈黙。


「……」


「……」


 女騎士たちの表情が、

 一気に冷える。


 ドン引きだった。


 リィナが、即座に口を開く。


「この人、

 変態なんです」


「ちょっと待って!」


 俺はすぐに反論した。


「変態じゃないよ!

 変態という名の紳士だよ!」


「……」


 今度は、

 リィナがドン引きした。


 バラ騎士団の団長が、

 低い声で命じる。


「……この変態を捕らえよ」


「変態確定!?」


 女騎士たちが一斉に踏み出す。


「待って!

 誤解だから!」


 俺は、

 ほんの少しだけ抵抗した。


 腕を振り払う。


 それだけ。


 ――それだけ、のはずだった。


 ドンッ!!


 衝撃波が、

 円を描いて広がる。


「……っ!?」


「きゃっ!」


 次の瞬間。


 風圧が吹き抜け、

 女騎士たちの服が――

 耐えきれずに悲鳴を上げた。


「……」


「……」


 さらに。


 後方で見守っていた

 リィナの服も、

 同時に限界を迎える。


「……」


 全員、

 一斉に赤面。


 女騎士たちは、

 咄嗟にしゃがみ込み、

 身体を隠す。


 リィナも、

 顔を真っ赤にしてうずくまった。


「……」


 静寂。


 俺の顔が、

 真っ青になる。


「……」


 次の瞬間。


「正座」


「はい」


 反射で座った。


 リィナは怒りで震えながら、

 叫ぶ。


「興奮するな!!

 抵抗するな!!

 そもそも変態を名乗るな!!」


「すみません!!」


 バラ騎士団の団長が、

 深くため息をついた。


「……報告内容、

 すべて理解した」


「え?」


「この男が、

 災害の原因だな」


 ダーボンが静かに頷く。


「概ね、合っています」


 パパイヤも同意した。


「本人、悪気はないんだ」


「余計に厄介だ」


 団長はそう言い残し、

 部下たちに指示を出す。


「本件は王都へ持ち帰る。

 これ以上の刺激は避けろ」


 そして、俺を一瞥する。


「次に興奮したら、

 本気で拘束する」


「気をつけます……」


 リィナが、

 横から低く言った。


「私が止めるから大丈夫です」


 団長は、

 少しだけ同情するような目を向けた。


「……苦労しているな」


「はい」


 こうして、

 バラ騎士団の調査は始まり、

 同時に――


 俺は王都公認の危険人物候補になったらしい。


 正座しながら、

 俺は静かに誓った。


(……次は、

 本当に大人しくしよう)


 なお、

 この誓いが守られたかどうかは、

 まだ誰も知らない。


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