↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
中二病の儀式が成功して世界を殴る係になりました  作者: てん


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
12/17

第10話 禁足地開拓、そして海が割れた

 禁足地――

 今や、ただの広大な平原となったその土地を、

 俺は一人で歩いていた。


「……本当に、平坦だな」


 どこまで行っても、

 起伏がない。


 森もない。

 丘もない。

 魔物もいない。


「整地、完璧すぎない?」


 振り返ると、

 禁足地の手前。


 リィナ、パパイヤ、ダーボンの三人は、

 レジャーシートを敷いてピクニックをしていた。


「……なんであの余裕」


「平和だからだろ」


 パパイヤが、何かを食べながら手を振る。


「行ってこい!

 領主様の視察だ!」


 ダーボンは木陰で紅茶を飲み、

 リィナは警戒しつつも、

 どこか気を抜いている。


 俺は、

 ひたすらまっすぐ進んだ。


 まっすぐ。

 ただ、まっすぐ。


 すると――


「……あれ?」


 遠くに、

 青が見えた。


 さらに進む。


 風の匂いが変わる。


「……海?」


 禁足地の端。


 そこには、

 大きな海が広がっていた。


「……よし」


 なぜか、

 無性にテンションが上がる。


「せっかくだし……

 一度、やってみたかったんだよな」


 俺は、

 海に向かって足を踏み出す。


 そして、

 両手を前に突き出した。


「――

 かーめーはーめー……波ぁぁぁぁ!!」


 もちろん。


 体内の気を集める感覚など、

 一切ない。


「……」


「……やっぱ無理か」


 そう思った、その瞬間。


 ドンッ!!!!


 手を突き出した衝撃が、

 海に伝わった。


 次の瞬間――


 海が、割れた。


「……え?」


 左右に押しのけられる水。


 露わになる海底。


 そして。


 戻る。


 凄まじい勢いで、

 海水が元の位置へ戻っていった。


「……やっちゃった?」


⸻


 その衝撃は、

 はるか後方――

 禁足地の外にまで届いていた。


「……?」


 ピクニック中だったリィナが、

 突然立ち上がる。


 ドンッ!!


 遅れて、

 風圧。


「……っ!?」


 リィナの派手な赤色の下着だけが、

 耐えきれずに裂けた。


「……」


 リィナは、

 目を見開いたまま固まる。


 ポカン。


 数秒後。


「……」


 顔が、

 みるみる赤くなる。


「……」


 その場に、

 しゃがみ込んだ。


 パパイヤが、

 ゆっくり振り返る。


「……あいつ、

 また何かしたな」


 ダーボンは、

 静かにため息をついた。


「……海、

 割れていたな」


⸻


 しばらくして、

 俺が戻ると。


「……」


 無言の視線が突き刺さる。


「……えっと」


 リィナが、

 低い声で言った。


「……何を、

 したの?」


「……海に向かって、

 叫んだだけです」


「……結果は?」


「……割れました」


「……でしょうね」


 リィナは深く息を吐いた。


「開拓っていうのは、

 少しずつやるものなの」


「はい……」


 パパイヤが、

 空を見上げて笑う。


「でもよ!

 海があるなら、

 港も作れるな!」


「……確かに」


 ダーボンが頷いた。


 リィナは、

 頭を抱えながらも呟く。


「……最悪だけど、

 最短ではあるのよね……」


 こうして禁足地は、


 平原ができ、

 水路ができ、

 湖ができ、

 海まで繋がった。


 領主としての仕事は、

 想像以上に――


 派手に進んでいくらしい。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。